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会計人のリレーエッセイ

2019年07月号

審査請求

矢田 善久

近畿会

  

京都府京都市  矢田 善久

 先生方は、国税不服審判所に審査請求をした経験はおありであろうか?

 私は、税理士になって約30年が経つが、今まで審査請求などすることは一生ないと思っていた。しかし、非常に不合理な課税のシーンに直面し、初めてやってみることになった。誌面の都合上、詳しくは説明できないが、関与している法人が、某国税局から過去に受けた債務免除益に対して第二次納税義務を課された。その課税自体は、条文通りでやむを得ないものであった。

 しかし、その債務免除益に対しては、それを受けた事業年度において当然課税をされ納税をしていたので、第二次納税義務者として納税した金額は、過去の債務免除益の金額が減額されたものと考え、所轄税務署に更正の請求を行った。結果は更正の理由がないという処分であった。そこで国税不服審判所に対し、制度として不合理な課税になっているとして、その処分の取り消しを求める審査請求を行ったのである。

 「審査請求書」を提出すると、あとは審判所が独自に検討し、判断してくれるものと思っていたが全くそうではなかった。審査請求書が提出されると審判所は、処分をした所轄税務署に対して「答弁書」を要求する。その答弁書は当方にも送付されるが、所轄署の審理担当者が上司である審判官に対して、自分たちの仕事ぶりをアピールするものであり、審査請求人は何も分かっていないと言わんばかりのそれは感じの悪い文面であった。その答弁に対し、当方は「反論書」を提出するのであるが、仕返しとして負けないぐらい感じの悪い文章でやり返す。その反論に対して、所轄署がまた感じの悪い「意見書」を出してくる。それに対して、当方もまた負けずに考えを主張した意見書を提出する。

 そうしたやりとりが続いた後、審理手続は終結し、裁決がなされた。最初に審査請求書を提出してから約9カ月を要した。「何を言われても負けずに力強く言い返してくれている」と、関与先の社長は喜んでくれた。

 裁決の結果は、「審査請求を棄却する」であった。裁判をするつもりで3人の弁護士に相談したが、「不合理な課税になってはいるが、法律の構成上争えない」と言われた。

 非常に残念な結果で終わったが、審判上のやりとりは、課税庁と納税者、それぞれの立場による考え方の違いが顕著に表れ、非常に面白かったし、良い経験にもなった。

 先生方も、一度チャレンジされてみてはいかがであろう。

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