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中国会企画①

2019年02月号

開山1300年の「大山」
その魅力を歴史・文化・自然から知る

中国地方最高峰の大山は古くから人々の信仰の対象として霊山とあがめられてきました。昨年には伯耆国「大山開山1300年祭」が開催され、大山山麓地域の自治体、観光・経済団体などが一体となって各種行事を展開しました。その内容とともに大山にまつわる歴史や文化、自然食といった魅力について、伯耆国「大山開山1300年祭」実行委員会事務局(鳥取県西部総合事務所地域振興局内)に取材しました。

山開山1300年の歴史と「大山信仰」

中国地方最高峰、標高1729mの「大山」は大山隠岐国立公園に指定されており、鳥取県のシンボルになっています。県中・西部の旧国名が伯耆国であったことから「伯耆大山」、または見る場所により、その山容が富士山と似ていることから「伯耆富士」とも呼ばれています。

大山周辺地域では古くから山そのものが神として祀られ、人々の信仰の対象となっていました。また『出雲国風土記』(733年)によると、地蔵菩薩を本尊とする大山寺が奈良時代(718年)に金蓮上人によって開創され、仏教信仰も始まったそうです。以降、大山の中腹に建立された大山寺は修験者たちの修行道場として栄え、鎌倉・室町時代には「僧兵3000人を抱えていた」とも言われ、比叡山延暦寺や高野山金剛峯寺と並ぶ大寺となりました。

現在、大山寺から自然石を敷き詰めた700mの石畳の参道の先には、大神山神社奥宮があります。こちらは大国主命を祀った神社です。もともとは僧が修行のために大山寺に登り、その道場として遥拝所を設けたのが起源とされています。

このように大山は山岳信仰だけでなく、寺院や神社など、多様な信仰が融合した地でもあります。そして、地域の人々はそれらをひとまとめにするように「大山さんのおかげ」と口々に語り、感謝の念を抱き続けているのです。

日本遺産の「地蔵信仰が育んだ日本最大の大山牛馬市」に登録

大山寺の本尊、地蔵菩薩は万物を救う仏とされていますが、「牛馬守護の仏」という一面もあります。そのため、大山は平安時代末期以降、牛馬の安全を願う人々から篤く信仰されてきました。そして、平安時代から牛馬の放牧が行われ、江戸時代には大山寺に庇護され地蔵信仰に裏打ちされた全国唯一の「大山牛馬市」が隆盛を極め、明治時代には年間1万頭以上の取引のある日本最大の牛馬市へと発展しました。また、諸国からの参拝者や牛馬の往来でにぎわった大山道沿いには、今も往時をしのぶ石畳道や宿場の街並みが残っています。こうした大山の歴史と文化を物語る一連のストーリーは、「地蔵信仰が育んだ日本最大の大山牛馬市」として2016年に日本遺産に登録されました。

大山までのアクセス

大山までのアクセス

朝焼けの大山

朝焼けの大山

大山寺から石畳の参道を上がったところにある大神山神社奥宮。社殿は全国最大級の壮大な権現造り

大山寺から石畳の参道を上がったところにある大神山神社奥宮。社殿は全国最大級の壮大な権現造り

地蔵菩薩を本尊とする大山寺本堂。以前の本堂は過去に何度も焼失し、現在の本堂は1951年に再建されたもの

地蔵菩薩を本尊とする大山寺本堂。以前の本堂は過去に何度も焼失し、現在の本堂は1951年に再建されたもの

毎年6月最初の週末に開催される「大山夏山開き祭」。その前夜祭として大神山神社から神事の後に出発する2000人による「たいまつ行列」

毎年6月最初の週末に開催される「大山夏山開き祭」。その前夜祭として大神山神社から神事の後に出発する2000人による「たいまつ行列」

開山1300年記念行事には合計25万人が参加

日本遺産、大山隠岐国立公園

2018年は大山寺が開創されてから1300年という節目の年でした。この機会に大山の歴史・文化を次代に後継し、大山の多様な魅力を広く発信することを目的として、伯耆国「大山開山1300年祭」が行われ、5月から11月までの期間に多種多彩な記念イベント・プロジェクトが展開されました。

まず5月から6月の「第一章・開く 祈りと山開き」では大山寺での開創法要、伯耆国大山開山千三百年祭御輿行列、皆生・大山SEA TO SUMMIT 2018、大山夏山開き前夜祭・山頂祭、地BeerFest伯耆国「大山」、大山お地蔵さまフェスティバル、金田川ホタル観賞、星空コンサート、大山歴史探訪ウォークなどが開催。7月の「第二章・遊ぶ 神事と山遊び」では大山山麓の謎解き宝探し、大山「星」のフェスティバル水木しげるリニューアルオープニングイベント、特別版もひとり神事、福万来ヒメボタル観賞など、8月の「第三章・灯す 献灯と山祭り」では伯耆国「大山開山1300年祭」記念式典、第3回「山の日」記念全国大会in鳥取、大山の大献灯、大山山麓の至宝展などが開催。9月から11月の「第四章・調ふ 秋祭と承継」では秋のたいまつ行列、大山紅葉満喫ウォーク、新しい「大山詣り」ホーリートレイル大会、大山ワンダーフォーラムなどが開催されました。

この他に通年行事として大山寺本堂での特別祈祷、特別御朱印・御朱印帳の提供、大山寺阿弥陀堂一般公開なども行われました。

こうしたイベントやプログラムを通して大山山麓の人々が抱く「大山への祈り」、大山によってもたらされる「大山の恵み」を多くの方々が体験、満喫しました。ちなみに、伯耆国「大山開山1300年祭」には約25万人もの方々が参加し、県の発表ではイベント参加による直接経済効果は13億円に達し、大山登山者は同10%増(7〜10月)、大山寺参拝者は同30%増(4〜9月)となったそうです。実行委員会事務局としては、この伯耆国「大山開山1300年祭」による波及効果を一過性のものにしてはならないと考えています。そしてそのためにも、引き続きさまざまな観光資源に恵まれた大山地域の魅力を広く発信していく予定だそうです。

毎年お盆前後には大山寺の境内と大神山神社の参道で「大献灯」が行われる。大山寺本堂をバックに和傘や絵灯籠が灯され、夜の大山を彩る

登山、スキー、トレッキング、食で大山の雄大な自然を楽しむ

大山には西日本最大級のブナ原生林が広がっており、その豊かな自然のもとで登山やトレッキング、サイクリング、スキー、スノーシューなどのさまざまなスポーツ、アウトドアアクティビティを楽しむことができます。なかでも「だいせんホワイトリゾート」のスキー場は海の見えるゲレンデとして人気です。

また、大山には豊かな水、豊かな自然が生み出したおいしい食材がたくさんあります。伯耆国「大山開山1300年祭」記念として創作された数々の「おもてなし料理」とともに、名物の「大山おこわ」、「大山そば」、「大山宝牛ステーキ丼」をはじめとした大山の豊かな食文化を楽しむこともできます。

今後も集客力のあるイベントを企画・実行し、米子空港を活用したインバウンド誘致にもさらに注力していくそうです。大山に根付いた歴史・文化をテーマにした観光振興に注目です。

毎年お盆前後には大山寺の境内と大神山神社の参道で「大献灯」が行われる。大山寺本堂をバックに和傘や絵灯籠が灯され、夜の大山を彩る

毎年お盆前後には大山寺の境内と大神山神社の参道で「大献灯」が行われる。大山寺本堂をバックに和傘や絵灯籠が灯され、夜の大山を彩る

大山の名物の「大山おこわ」(左)と「大山そば」(右)

大山の名物の「大山おこわ」(左)と「大山そば」(右)

「大山紅葉満喫ウォーク」は大山寺から奥大山まで、西日本最大のブナ林の中を通る大山環状道路を歩いて楽しむ人気のイベント。マイカー通行を制限しているため、ゆっくりと紅葉を鑑賞しながら散策できる

「大山紅葉満喫ウォーク」は大山寺から奥大山まで、西日本最大のブナ林の中を通る大山環状道路を歩いて楽しむ人気のイベント。マイカー通行を制限しているため、ゆっくりと紅葉を鑑賞しながら散策できる

海の見えるゲレンデが魅力の「だいせんホワイトリゾート」。弓ヶ浜半島から、日本海、島根半島、遠くは隠岐諸島まで見渡せる

海の見えるゲレンデが魅力の「だいせんホワイトリゾート」。弓ヶ浜半島から、日本海、島根半島、遠くは隠岐諸島まで見渡せる

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