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四国会企画①

2021年10月号

30回を迎えた「まんが甲子園」などで次世代のまんが文化を育成

富山県北西部に位置する高岡市は県庁所在地の富山市に次ぐ県第2の都市です。高岡は、江戸初期に高岡城の城下町として開かれ、武士の町から町人主体の「商工業の町」へと発展を遂げた珍しい歴史を持つ町として、文化庁の日本遺産第1弾に認定されています。さらに昨年、市内の吉久伝統的建造物群保存地区が国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されました。吉久は加賀藩の年貢米を収納した「御蔵」が設置され、米の集散地として栄えたところであり、伝統的な町家が現在まで残ることで知られます。今回は「吉久」の歴史、魅力などを同市既存の重伝建地区「山町筋」「金屋町」と併せて、高岡市教育委員会事務局・文化財保護活用課にご紹介いただくとともに、日本遺産の構成文化財であり、このほど平成の大修理が完了した国指定重要文化財「勝興寺」の歴史・見どころについても公益財団法人勝興寺文化財保存・活用事業団の高田 克宏専務理事にお話しいただきました。 

多くのまんが家を輩出してきた「まんが王国・土佐」

 高知県は『フクちゃん』の横山 隆一氏をはじめ、『アンパンマン』でおなじみのやなせ たかし氏、岩本 久則氏、はら たいら氏、青柳 裕介氏、くさか 里樹氏、黒鉄 ヒロシ氏、西原 理恵子氏など、多くの著名な漫画家を輩出しています。そこで、高知県では「まんが」を貴重な文化資源と位置付け、まんが関連施設の開設、まんがフェスティバルなどのイベントを通して「まんが王国・土佐」を築き上げてきました。そして、まんが文化のさらなる発展のために1992年に設立されたのが「まんが王国・土佐推進協議会」です。同協議会は官民が協力し、県を挙げてまんが文化を推進し「まんが王国・土佐」のブランディングを通して、まんが、アニメ、フィギュア、キャラクター、映像、音楽などのコンテンツを活かし、文化の振興、地域の活性化や経済発展につなげていくことを目的としています。

今夏の「まんが甲子園」には国内外から178校が参加

 「まんが王国・土佐」の数あるイベントの中でも最も注目度が高いのが「まんが甲子園」(正式名称:全国高等学校漫画選手権大会)です。92年にスタートし、今では国内外の高校生を対象にしたまんがコンテストです。参加生徒は「高校ペン児」と呼ばれ、出題されたテーマに沿ったまんがをチームで制限時間内に1枚の紙に描き上げます。その後、厳しい予選審査を経て40校が本戦に出場し、第1次競技、敗者復活戦、決勝戦ごとに出題されるテーマに沿ったまんがを描き、プロの漫画家による審査を経て、日本一の作品を選出します。例年、本戦から決勝戦は8月上旬に高知市内で開催されるのですが、昨年の第29回大会は全国的なコロナ禍の影響により中止になりました。今年の第30回「まんが甲子園」は初めてのオンライン形式での開催となり、国内外から178校(39都道府県の169校および海外9校)がエントリーしました。予選のテーマは「リバウンド」または「在宅○○」で、参加178校から予選通過40校が選ばれましたが、そのうち海外校の予選通過は韓国、シンガポール、台湾の3校でした。そして、8月6日には本戦の第1次競技が行われ、決勝戦に進む20校が選出されました。

 本戦大会の第1次競技、決勝戦のテーマは前もって知らされず、当日、第1次競技のテーマが「アナザーオリンピック」、決勝戦のテーマが「30度目の正直」であることが知らされました。「まんが甲子園」の最大の特徴は作品が「1枚まんが」であることです。「自分たちの力を1枚の紙にぶつけるのはリアルでもオンラインでも同じ」とペン児らは元気よく時間内に作品を仕上げていました。その様子はオンラインで生配信され、その後の審査も東京・高知の審査員によってオンラインで行われ、決勝上位3校と各賞が決定しました。

 近年では出版社によるスカウト制度が導入されるなど、新人漫画家の発掘にもさらに力が入っています。「まんが甲子園」はいまやプロ漫画家デビューへの新たな登竜門になっているのです。

第30回まんが甲子園決勝戦

「まんが」は世界の共通語!第4回「世界まんがセンバツ」を開催

 「まんが甲子園」に加えて「まんが文化を世界に発信!」ということで、県ではグローバルなまんがコンテスト「世界まんがセンバツ」を創設し、現在、第4回コンテストの参加作品を募集しています。1枚まんが高校生部門(テーマは「我慢」)、1枚まんがフリー部門(テーマは「約束」)、ストーリーまんがフリー部門(テーマは自由で8~32枚のまんが)の3部門で、予選審査は2022年2月上旬、決勝審査・結果発表は3月5日に行われます。ちなみに、第3回「世界まんがセンバツ」の決勝審査の模様は、今年3月6日にオンラインでライブ配信されました。

 こうした大会の他に、県民、市民にもっとまんが文化に親しんでもらおうと、「まんが王国・土佐」の情報発信拠点として、20年4月に「高知まんがBASE」をオープンしました。「まんが王国・土佐」の歴史や活動を展示紹介する他、「まんが甲子園」の歴代入賞作品の展示、まんが塾や作画体験教室などのイベントも行っています。また、高知市内には「横山隆一記念まんが館」、香美市香北町には「香美市立やなせたかし記念館アンパンマンミュージアム」があり、どちらもまんが文化発展の拠点としてフル活動しています。

 こうしたさまざまな催しやサイト、施設に加えて「まんが王国・土佐」を支えていただいているのが全国のまんがファン、漫画家の先生方、そして県民の皆さんの〝まんが王国住民〟としてのプライドと温かい応援であることは間違いありません。まずは「まんが王国・土佐」にオンライン訪問されてみてはいかがでしょうか。

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