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顧問先紹介

2019年03月号

SAYSFARM

富山湾を望む高台にあるワイナリー「SAYSFARM(セイズファーム)」。 地元の魚問屋が立ち上げたこのワイナリーは、徐々にブラッシュアップを重ね、近年では「日本ワインコンクール2017」の欧州種系白ワイン部門で金賞を受賞するまでに。現在に至るまでの経緯や特徴について、梶義明税理士事務所の梶 義明所長がインタビューしました。

氷見の魚問屋が始めたワイナリー

梶 義明所長(以下、敬称略) まずはあらためて起業の経緯から伺えますか。

飯田 健児取締役兼マネジャー(以下、敬称略) ワイナリーとしてのオープンは2011年なのですが、そのアイデアが出たのは06年、開墾し始めたのは07年、ぶどうの栽培を始めたのは08年です。母体は地元・氷見市で江戸時代から続く「釣屋」という魚問屋で、その次男にあたる釣 誠二さんの農業やものづくりに対する情熱から誕生しました。もちろん、当時の社員は全員、ワインはおろかぶどうの栽培にすら携わったことがなかったのですが、担当者が新潟でぶどうの栽培やワイン造りを学び、その他のスタッフと協力しながら山を切り拓き、ワイナリーをつくっていきました。こうして2011年10月にどうにかオープンに漕ぎ着けたのですが、残念ながらその4カ月前に発起人の誠二さんは癌で他界してしまいました。以来、誠二さんのお兄さんである釣 吉範さんがその意思を継ぎ、このワイナリーを経営しています。

 どのようなワイナリーを目指したのでしょうか。

看板商品の「シャルドネ」

看板商品の「シャルドネ」

飯田 氷見には寒ブリをはじめとした魚介類や氷見牛など、魅力的な食材がたくさんあるので、そういった食材にマッチするようなワイン造りを目指しています。特に母体が魚問屋ですので、魚介類との相性はかなり意識するようにしています。

 氷見の気候や環境はワイン造りに適しているのですか。

飯田 ぶどうはそもそも長い日照時間と昼夜間の寒暖差を要する作物なので、日照時間が少ない日本海側は決して最適地とはいえません。そのため、私たちはオープン以来、何度となく異なるぶどうの品種の栽培にチャレンジし、どの品種が最もこの気候と環境に合うのかを模索し続けています。その中で最近ヒットしたのが、主にスペイン北西部で栽培されているアルバリーニョという白ぶどうの品種です。当ワイナリーと同様、海に面した高台で栽培されることが多いので試したところ、氷見らしいぶどうになり、ワインのクオリティの幅も格段に広がりました。

 そのほかの品種はどうでしょうか。

飯田 シャルドネやソーヴィニヨン・ブラン、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンなどを栽培し、それぞれの名を冠したワインを造っています。看板商品は「シャルドネ」と「オジコシャルドネ」で、樽を使用せずぶどうの風味を前面に押し出したオジコシャルドネは「日本ワインコンクール2017」の欧州種系白ワイン部門で金賞を受賞しました。また、最近はロゼの評価も高いのですが、ロゼに関しては毎年使用する品種を変えており、しっかりと辛口になるように栽培段階から調整しています。

 生産量に関してはどうでしょうか。

飯田 現在の生産量はフルボトルに換算すると、年間2万5000本くらいです。オープン時と比べるとおよそ倍近くの生産量になりましたが、それでも品切れが相次いでいるので、畑を拡大するとともに、低地などでもぶどうを栽培してみたいと考えています。

山湾を望む抜群のロケーション

山湾を望む抜群のロケーション

食材にこだわり、ワインとの相性を追求した料理を提供。写真は桜鱒のコンフィ

食材にこだわり、ワインとの相性を追求した料理を提供。写真は桜鱒のコンフィ

ワイナリーの枠に留まらない取り組み

 ワイナリーを拠点とした食文化の発信にも努められており、敷地内でレストランを経営されていますね。

飯田 もともとはカフェ程度の規模を想定していたのですが、ワインが評価されていくにつれて、より素晴らしい料理と一緒にワインとロケーションを楽しんでほしいと考えるようになり、料理や食材にもこだわるようになっていきました。母体が魚問屋ですから魚介類には絶対の自信がありますし、肉や野菜についてはできるだけ地元産の厳選したものを使用しています。また、自分たちでハーブを育てたり、養鶏して卵を取ったりもしています。

 敷地内にはゲストハウスもありますが、これはどのようなスタイルで運営されているのでしょうか。

飯田 2014年から1棟貸し、1日1組限定というスタイルで提供しています。キッチンや家具、食器なども備え付けてあるので、町で氷見の食材を購入し、調理しながら楽しんでいただくこともできます。宿泊可能人数は合計6人で、ご夫婦やご家族、グループで宿泊される方たちが多いです。

昨年10月に開催された感謝祭の模様

昨年10月に開催された感謝祭の模様

 収穫祭も実施されていますね。

飯田 毎年10月上旬にワイナリーの敷地内で「SAYSDAYS(セイズデイズ)」という感謝祭を2日間、催しています。1日目は関係者を中心にご招待させていただき、2日目は地元の人たちや観光客も受け入れています。昨年で6年目となる催しですが、いまやシャトルバスが運行されるまでになりました。その他にも、最近では敷地内で料理教室やウェディングを実施したり、東京で交流イベントを開催したりしています。これからも多彩な取り組みを通して、富山のワインや食材の素晴らしさを発信し続けたいと思います。

梶義明税理士事務所

所長
梶 義明
所在地
富山県高岡市本郷1-2-7 河井ビル2F

株式会社T-MARKS(SAYSFARM)

代表者
釣 吉範
設立
2007年
資本金
500万円
事業内容
ワインの製造・販売、レストラン・ゲストハウスの運営
所在地
富山県氷見市余川字北山238
席数数
50席
定休日
月曜日
TEL
0766-72-8288

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