第31回全国統一研修会 沖縄大会
開催報告 式典 基調講演 第一分科会 第2分科会 懇親パーティー 記念ゴルフ大会 記念旅行
第1分科会

午後4時30分から午後6時/参加者:317名

 第一分科会は、岡野工業(株)の岡野雅行代表社員をお招きして、「不可能を可能にする経営哲学」をテーマに講演していただきました。
第1分科会風景
▲第1分科会風景
司会の嘉陽・大会実行委員 開会の言葉を述べる島袋・大会実行委員
▲司会の嘉陽・大会実行委員 ▲開会の言葉を述べる
島袋・大会実行委員

 岡野工業(株)は東京都墨田区にある従業員6名の中小企業です。しかし、ただの中小企業ではありません。同社の金属加工、プレス加工のレベルは世界レベル、その製品は多くの大企業に採用されているのです。
 その例のひとつとして、壇上にあがられた岡野氏は簡単に自己紹介をされた後、持参した小さな鈴を会場の皆さんに配布されました。その鈴の金型は岡野氏が40年以上前につくったもので、何とたった1枚の金属板を加工してつくったものだそうです。「40年以上前と比べると、加工技術や加工機械は格段に進化を遂げた。それでも、いまだにこの鈴の金型をつくることができる企業は現れていない」のだそうです。まさに、オンリーワンの技術といえそうです。
 では、岡野氏はこのようなオンリーワンの技術をどのようにして生み出しているのでしょうか。岡野氏は「オンリーワンの技術を生み出すには、感性とアイデアが必要だ」と強調されていました。誰もが不可能だといったことを実現するには、人と違う着想が必要になるというわけです。ですから、岡野氏は「とにかく人ができないことに挑戦する」ことをモットーにしているそうです。つねに失敗をおそれずに不可能なことに挑戦する、この姿勢がオンリーワンの技術を生み出し、オンリーワンの会社をつくる原動力になっているのです。
 また、岡野氏は子どもへの教育についても熱心にお話しくださいました。というのは、感性とアイデアを育てるには、子どものときの環境や教育が大切だからです。また、子どもたちには「何よりも明確な目標をつくってあげることが大切だ」とも。実際、岡野氏は修学旅行などで岡野工業を訪れた勉強嫌いの中学生たちに対して、勉強していることが商売をするうえでどのように必要になるのかを話しているそうです。すると、それを聞いた多くの子どもたちは、勉強に熱心に取り組むようになるそうです。ときに、岡野氏のアドバイスがキッカケで、登校拒否だった中学生が見事に復学し、高校受験に合格したこともあったといいます。「たしかに、現在はひとつのことをつづける〝職人〟になるのがむずかしい時代かもしれない。それでも最後まで〝職人〟を目指して、しっかりと技術をモノにすれば、かならず稼げるようになる。そのときに感性とアイデアがあれば、オンリーワンのモノづくりができるようになる」と。

講演する岡野 雅行 氏 講演する岡野 雅行 氏 講演する岡野 雅行 氏
▲講演する岡野 雅行 氏▲

 最後に、岡野氏はご自身が開発した「痛くない注射針」についてお話しくださいました。医療機器メーカー「テルモ」の依頼で開発したこの注射針は、先端が外径200μm、内径80μmという驚異的な細さになっています。この細さなら、注射を打ってもまったく痛みを感じることはないそうです。テルモは岡野氏にこの注射針の開発を依頼するまでに、100社以上に開発依頼を持ち込んだといいます。それでも、どの企業も痛くない注射針を完成させることはできなかったそうです。現在、岡野氏はこの注射針にさらなる改良をくわえているところだそうです。そのバイタリティーには頭が下がる思いです。
 講演後、会場は大きな拍手に包まれました。噺家のように鮮やかな語り口、そして技術ひとつで生き抜いてきた岡野氏の経験は、中小企業の無限の可能性を感じさせてくださるものでした。

閉会の言葉を述べる嵩原・大会実行委員
▲閉会の言葉を述べる
嵩原・大会実行委員




Copyright(c)2006 MJS All Right Reserved.