


≪第二分科会≫午後4時30分から午後6時/参加者:206名
第二分科会は、本田 豊・大会実行委員の司会により開会。地元の文化を知る分科会として、『「利家とまつ」の落し物~歴史とドラマの狭間の中で、資料提供を担当した立場から~』と題した講演を石川県立図書館史料編さん室主幹・瀬戸 薫氏に、NHK大河ドラマの制作過程における今だから話せる裏話を交えて話していただきました。
その講演の中で、大河ドラマはどこまで史実に基づいているかという質問を沢山いただいているが、わずか史実3%、フィクション97%でドラマ化されていること。なぜフィクション97%かというと実際の実生活の中で登場人物の生い立ちや、どのような服装か、どのような言葉を使っているのか、食べていた物は等々、忠実な再現は不可能であることが説明された。
このドラマのテーマは、家族愛と友人愛。出世より男たちの友情。女たちの友情。男は夢を追い求め、より美しく。女はより逞しく。最初は逆ではないかという反論も出たが、しかし現在を反映しているのでは、ということでテーマに取り上げられたこと。もう一つは、転勤族のドラマとして、各地の特産物も沢山取り上げたこと。ここでも史実と照らし合せ、様々な検討がなされたそうです。一例では、松葉蟹を取り上げられたが、当時は深海の魚介類は取れなかった筈で、取り止めとなったこと。など。

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▲第二分科会・会場風景 |
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▲第ニ分科会・会場風景 |
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▲講師の瀬戸 薫氏 |

この戦国のホームドラマで有名になった「まつ」の台詞に「何から何までわたくしにお任せくださりませ」は脚本家の竹山 洋さんの私生活の中から出てきた言葉だったこと。それから織田信長の台詞で「で、あるか」は、実際に信長が使ったことが「信長公記」に残されているので史実であること。・・など。北陸3県を舞台に万遍なく取り上げたこのドラマの背景には、経済面も綿密に絡み、石川県は前田利家を、富山県は佐々成政を、福井県は柴田勝家を中心に、歴史的人物を輩出した我が町のアピールを全国的に行い、旅行客を呼び寄せ経済的な潤いもあったこと。などの興味ある話しで大変楽しい講演となりました。
加賀藩前田家が織田信長、豊臣秀吉、徳川家康から明治まで栄枯衰勢を乗り越え連綿と続き、その礎を築いた「利家とまつ」に、その戦略はどうであったか、沢山のヒントが隠されているのかもしれません。
最後に、伊藤和弘・大会実行委員より閉会の挨拶があり閉会となりました。


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