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こんなにある!生成AIの活用法

東京商工会議所がレクチャーする 生成AIの活用入門ガイド !!

東京商工会議所では2023年に「中小企業のための『生成AI』活用入門ガイド」を公開するなどして、中小企業に向けて生成AIの活用を促しています。そこで、東京商工会議所中小企業部 IT活用推進担当の皆さんに「中小企業でも使える生成AI実践例」をテーマにお話を伺います。今回は、中小企業における生成AIの活用事例の詳細をお伝えします。

生成AIの具体的な活用法

 東京商工会議所が公表している「中小企業のための『生成AI』活用入門ガイド」を中心に、生成AIの具体的な活用法についてご紹介していきます。本ガイドには用途に応じた文章作成例やプロンプト(ユーザーが入力する指示・質問)の事例を明示している他、中小企業における活用事例も掲載しています。今回はこのガイドでご紹介している中小企業における活用事例やプロンプトなどを示し、生成AIを導入するためのヒントをお伝えします。

 まず、理化学機器の製造を営む企業(従業員10人)では、生成AI(ここでは文章生成AIのChatGPT)を活用し、情報収集やアイデア出しをしています。例えば、仕入れ先や発注先の開拓に活用しており、ChatGPTに「寸法、素材などの条件に合う仕入先を探して」と尋ねると、当初考えもしなかった関西・北陸地方の企業名が提示され、しかも割と条件に近い企業だったということがあったそうです。ただ、ChatGPTを含め、生成AIは誤った情報を表示することもあるので、同社では「回答を鵜呑みにせず、ヒントや糸口探しと割り切って活用すべき」として、利用時のルールを定めているようです。

 スポーツ衣料品などの卸売りを営む企業(従業員7人)では2022年11月頃から社長が旗振り役となって会社全体で活用をスタートし、ChatGPTでウェブ広告配信サービスのキーワード文の作成などに取り組んでいます。また、米国市場向けのSNS運用も行っており、発信用の英文のたたき台作成にも一役買っています。他にも、作成した文面をSNSにふさわしいカジュアルな文章に変換する際に利用したり、経営計画書の作成にあたってアイデア出し・抜け漏れのチェックにも活用しているそうです。このように生成AIをフル活用したことで、ウェブ広告の業務では、費用と時間の削減・生産性向上につながったとのこと。同社は今後、画像生成AI( Stable Diffusionなど)を活用した衣料品のデザインアイデアの創出にもチャレンジするといいます。

 本ガイドでは詳述していませんが、単に生成AIを使うのではなく、自社のシステムやサービスに組み込むという取り組みも目立ってきています。有名なものでは、チャットボットやボイスチャットなどが挙げられます。中小企業でもChatGPTのような生成AIを基盤に、自社のノウハウや情報を紐付け、その会社独自のチャットボットやボイスチャットを構築し、コーポレートサイトやサービスサイトなどに組み込むという事例があります。

 また、ベンダー各社の取り組みも進んでおり、生成AIを搭載したさまざまなサービス・ツールが登場しています。製造業などでは図面データを処理するようなツールがあったり、法務分野では契約書の内容についてレビューを行うサービスが登場しています。いずれも業務の効率化を図る上では、かなり有効利用できるツール・サービスといえるでしょう。

DXの一環として取り入れる

 非常に便利な生成AIですが、利用時は「回答をすべて正しいと思わない」「個人情報や企業秘密を入力しない」ことを念頭に置かなくてはなりません。生成AIにはハルシネーション(幻覚)という弱点がつきもので、架空・虚偽の情報をあたかも実在のものとして回答することがあるため、確実な情報源を基に必ずファクトチェックを行うことが不可欠です。さらに、特にセキュリティや情報漏洩の観点からみて、個人情報や企業秘密を入力するとAIの学習に使用される可能性があるため、別の利用者に回答という形で流出するおそれがあります。皆さんの組織で広く生成AIを活用する場合、これらの注意点を利用者が理解することが重要です。しっかりとした利用ガイドラインを設けたい場合には、(一社)日本ディープラーニング協会が無償提供している利用ガイドラインのひな形を活用してみるのも一考です。

「デジタルシフト推進サポート」を展開

 また、DXを進める上で、東京商工会議所では「デジタルシフト推進サポート」(ぴったりDX)事業を展開しています。リスキリングなどによるデジタル人材の育成支援、ITベンダーなどとの連携によるデジタルツール・サービスの提供、サイバーセキュリティ対策の総合的な支援など、豊富なメニューで会員企業のデジタルシフト・DXを支援しております。さらに、どういったデジタルツール・サービスを導入すればよいか分からない企業に対しては「デジタルツール・サービス導入相談」を実施しています。ITコーディネータが業務フローを検証しながら、当該企業にとって最適なシステムやツールを紹介してくれるので、まさにDXの指針を立てる上でも役に立つと思います。

デジタルシフト・DXの課題(一部抜粋)

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