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五稜郭探訪
私の故郷、函館市は北海道の南端に位置し、海上輸送の玄関口として古くから本州との往来が行われ、1859年には横浜港、長崎港とともに、日本で最初の国際貿易港として海外に門戸を開き、明治以降は北海道開拓の拠点になるなど、幾多の変遷をたどってきました。
長い歴史を持つ函館市は豊富な観光資源を持ち、多くの観光客が訪れますが、特にコロナ禍以降は修学旅行の回復やインバウンド客の増加が顕著となっています。今年度は国内外から58隻のクルーズ船の函館港寄港が予定されており、街中は国際色豊かな景色になっています。
人気の観光地としては我が国が近代国家に移行する最後の戦いである戊辰戦争の舞台となった「五稜郭」があります。これを歴史的遺産として後世まで伝えるべくして有志が集まり、1970年から箱館五稜郭祭が始まりました。2日間にわたって開催される箱館五稜郭祭の1日目は、箱館戦争ゆかりの地を巡る「碑前祭」やこの地で最期を迎えた新選組副長・土方歳三を演じる「土方歳三コンテスト」が行われ、2日目は戊辰戦争当時の旧幕府軍・官軍に扮しての「維新行列・音楽パレード」が盛大に行われます。この「五稜郭」については、正面入口手前の路上に「特別史跡境界 文部科学省」の文字と矢印が刻まれた小さな金属板が埋め込まれています。ほとんどの観光客は気づかないのですが、この場所が紛れもない特別史跡に指定された土地であることを証明しています。
五稜郭は箱館戦争の終結後、開拓使や陸軍省による管理を経て、当時の函館区の請願を受けて1914年に公園として開放され、市民の憩いの場所となり、現在も桜の名所として毎年ゴールデンウィークの頃には多くの観光客が訪れています。
また、7月から8月にかけては函館の歴史絵巻を演じる市民創作函館野外劇「星の城、明日に輝け」も同公園内で開催されます。約150人の市民ボランティアによって創り上げられ、今年で36回目を迎えています。この野外劇の提唱者は、当時、高齢者施設「旭ケ岡の家」の理事長だった故フィリップ・グロード神父です。神父の故郷であるフランスの古城を舞台にしたル・ピデュフ野外劇を参考に、「五稜郭の素晴らしいロケーションを活かす野外劇を始めてはどうか」との提唱が発端となりました。
五稜郭の他にも見どころが満載の函館。皆様ご存知かと思いますが、海鮮グルメも堪能できますのでぜひ一度お越しください。