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会計人のリレーエッセイThe Essay Series from Accountants

一つの趣味

小林 豊

  • 関東信越会
  • 小林 豊
  • 新潟県南魚沼市

 35歳頃からスノーボードを始めた。最初は夏の頃、幼なじみの友人に誘われ近所の低山(標高634m)にほんの軽い気持ちで登ったのがきっかけだった。30歳で開業してから運動習慣がなく、かなり体は鈍っていた。キツかったが登頂すると爽快だった。しばらくするとその低山登りは習慣に。体の変化を感じることが楽しいのと、山で行き交う人との挨拶が不思議に思えて(普段、平場で知らない人とは挨拶はしませんよね?)、答えが分かるまでは登ってみようと思った。

 その山は人気があり冬も登山者が絶えない。ある時、せっかく登ったのだからスキーで滑ってみようと思った。板と靴を担ぎ上げて山頂で履き替えた後に滑ってみたが、結果は散々。硬く重い昔のスキーで新雪の痩せ尾根を華麗にターンなどできるわけがない。2時間ほどかけて登り、下りに1時間以上かかりヘトヘトになった。

 そんな時、例の友人はスノーボードで滑って15分程度だと聞いた。恥も外聞もなくすぐに教えを乞うた。板、靴、ウェアの一式をもらい、朝練を幾度となくご指導いただいた。

 もうお分かりだと思うが、私のスノーボードはバックカントリー(BC)※1用の道具である。

 山行※2のうち、下りの滑りは爽快で一番楽しい部分なのだが、登りも意外と楽しめる。楽しいというよりはいい気分転換になるというか、逃げ場のないところをハアハアと息を切らしながらひたすら上を目指す。生きて帰るために天候、雪質、疲れ具合、目の前の全てに集中する。仕事のことなど頭から微塵もなくなる。そうしてピークに立つと非常にすっきりした気分になる。

 3年目からはその友人と地元の2000m級の山をいろいろと登り、滑った。体力をつけ維持するために、夏山登山もするようにもなった。5の体力で登り、2の体力で下り、残りの3は非常時のためにとっておく、というのが理想の力配分だと思っている。40歳代の頃は体力があって前に見えるもの全て追い越すような勢いがあったが、還暦を迎えた今はいろんなパーツが悲鳴を上げ始めた。最近は「いくつまでできるかな」なんて考えていたが、先日のBC山行で後期高齢者だという方にお会いした。ビックリしたがまだまだやれるかもしれない、手本にしたいと思った。
(この文章は決してバックカントリーをお勧めするものではありません。山中では全て自己責任でお願いいたします)

※1 スキー場など管理されたエリア以外でスキーやスノーボードをすること
※2 登山、山歩き、山に遊びに行くことなどの総称

5の体力で登り、2の体力で下り、
残りの3は非常時のために取っておくのが理想の力配分です

赤いズボンが私です。登りは左右2枚、下りは1枚に結合する
スプリットボードで柄沢山(標高1900m)を登っています

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