持続可能な事務所経営を見据え
多世代で顧問先を支え続ける
故・栁田 廣隆所長から事務所を引き継ぎ、新たな一歩を踏み出した TA&M税理士法人 代表の久保田 純也先生。 一世代下の寺澤 竜也先生と二人体制で地元事業者の堅実な成長を支えるとともに、 先を見据えた事務所経営に取り組み、次世代を担う若手人材の採用、 育成にも注力されています。
顧問先と事務所職員のため3世代で税理士法人化
久保田先生は先代の栁田 廣隆先生から事務所を引き継がれたそうですね。そのいきさつを教えてください。

「会社の経営体力」に何より気を配り、顧問先を
支援してきたと久保田先生
久保田 純也所長(以下、敬称略) もともとここは栁田 廣隆先生が所長を務める栁田計理事務所でした。1999年に私が入所して以降は栁田先生と私の二人体制で事務所経営に取り組み、2006年には新たにもう一世代下の寺澤が加わりました。その後、16年に税理士法人化を果たし、TA&M税理士法人と事務所名を変更。その後、23年12月(登記上)からは栁田先生の逝去を機に事務所の継承をして現在に至ります。
税理士法人化は早くから目指されていたのでしょうか。
久保田 栁田先生は「顧問先と事務所の職員たちを末永く支えていくのであれば、税理士法人化が必要だ」と常日頃から話していました。そこでまず私を育て、さらに私の次の世代まで見据えて若い税理士志望者として寺澤を迎え入れたのです。また、私たちも栁田先生を見習い、持続可能な事務所経営のために寺澤より次世代の若手の税理士志望者を仲間に加えようと数年かけて採用活動を行いました。2年ほど前に20代半ばの男性が入所し、目下、実務経験を積みつつ資格取得に向けて勉強中です。こうした事務所の体制を整えることが、顧問先や職員の安心と信頼につながると考えています。
適切な税務と堅実な経営を重視
現在、顧問先にはどのような事業者が多いのでしょうか。
久保田 地元の前橋市とその近郊の渋川市や桐生市、伊勢崎市、高崎市など約150社の中小事業者の税務を担っています。業種は前橋市の主要産業である食料品製造業や金属加工業といった製造業の他、小売業、飲食業、自動車修理業、美容室など実にさまざまです。
税務・経営支援にあたっての方針についてお聞かせいただけますか。
久保田 栁田先生の時代から、「会社の経営体力」に何より気を配るということを顧問先支援の方針としてきました。特に、経営者が先々の手元資金をあまり考慮せず勢いに任せて急拡大を図ろうとすると、当然資金繰りに窮してしまいます。そこで栁田先生は顧問先経営者の判断の参考にと現状の経営状況を数字や資料などを用いて丁寧に伝え、先行投資の先走りに待ったをかけるアドバイスをされていました。

当事務所が積み重ねてきた指導方針があるからこそ、
ある顧問先からは全面的に税務・会計顧問を
任せていただいていると寺澤先生
寺澤 竜也先生(以下、敬称略) 当事務所では栁田先生のこのような方針を現在も引き継いでおり、そうした指導を続けてきたおかげか、顧問先にも規模拡大や投資を焦らず、私どもに相談して慎重に事を進める方が多いように思います。長く顧問税理士を務めさせていただいている企業の例として、栁田先生の代に地元数店舗だったのがこの10年ほどで全国展開を果たし、大きく成長したアパレル系の小売事業者がおります。同社は今では経理業務を内製化してもいいほどの規模なのですが、会計関係の業務は当事務所に委託されており、私が月2回同社に赴いています。このように全面的に税務・会計顧問を任せていただいているのは、まさに当事務所が続けている丁寧な指導で着実に信頼を積み重ねてきたからだと思っています。
先般のコロナ禍でも多忙だったことと思いますが、顧問先にはどのような支援をされていましたか。
久保田 各種の補助施策を活用するサポートは行いましたが、実質無利子・無担保のゼロゼロ融資については「必要がないなら借り入れはしない方がいい」と指導を徹底しました。一時的な資金繰りの悪化に対する補填や、状況打開に向けて新事業に挑戦するために融資を受けるのであればよいのですが、中には「借りられるなら借りておこう」といった考えで申請を検討している事業者も見受けられました。何よりもゼロゼロ融資はいわば借金であり、 いずれ返済しなければならないものです。このことは皆様に何度も伝え、本当に借り入れすべきかどうかを慎重に考えてもらうよう心掛けました。
次代を担う人材育成や業務DXを進める

ベテラン職員の隣の席に若手職員を配置することで
お互いが話しやすくなるようにしています
人材採用や育成についてはいかがでしょうか。
久保田 今後は一般職員の採用をより積極的に行っていきたいと考えています。現在の職員構成としては、栁田先生の時代から20年以上勤めているベテランと入社4~5年の層が厚く、一方でその間の勤務歴10年前後の中堅人材が不足しています。そこで将来を見据え、まずは経験を問わず欲しい年齢層の人材を探しているところです。
寺澤 また育成について言えば、当事務所では勤続年数の浅い若手職員の隣に必ずベテランの席を配置しています。これはベテランが若手職員を指導しやすいと考えてのことです。実際にそうしてみると若手から見てもベテランに気軽に質問しやすいようで、両者のコミュニケーションが活発になりました。
久保田 他にも、職員にはMJSや税理士会のセミナーなどに積極的に参加するよう呼び掛け、各職員の成長を促しています。
最後に事務所の今後についてお聞かせください。
久保田 これからも当事務所の顧問先支援の方針を守るとともに、事務所業務のDXにも力を入れていきたいと考えています。ここ数年は特に業務効率化につながるシステムの導入を進めており、最近ではMJSの『Edge Tracker電子請求書』を導入し、数10社の顧問先とのやりとりに活用しています。今後は私と寺澤が中心となってDXを進め、顧問先や事務所の業務効率化、省力化を図っていきます。
寺澤 DXに関しては、私どもと顧問先との間でクラウドを介したデータのやりとりが徐々に増えています。また、すぐには難しいですが、いずれは職員が多様な働き方ができるよう、テレワークが可能な体制を整えようと考えています。MJSの『かんたんクラウド会計』などのおかげで場所を問わず働ける体制は整えているので、職員がどこでも働けるよう先行投資としてMJSの『iCompassリモートPC2』などを導入できればと思います。
久保田 職員が事務所まで出勤しなくても業務に取り組めるようになれば、出勤するのが難しい子育て世代などにも事務所の戦力として活躍いただけますし、近隣地域だけでなく全国から人材を確保することもできると思います。また、そうしたテレワーク人材を増やすことで事務所をコンパクトにでき、テナント料などの経費削減にもつながると考えています。こうした体制を構築し、栁田先生が目指していた持続可能な事務所経営の基盤をより強固なものにしていきたいですね。もちろん新しいシステムを導入するにあたって他の事務所と情報交換をしたり、先行事例を学んだりするためにも、今後はよりミロク会計人会の活動に積極的に参加していければと思っています。
今後のさらなる発展をお祈り申し上げます。
History & Story税理士までのあゆみ
久保田 純也先生
地元の群馬県伊勢崎市から埼玉県の大学に進学した久保田先生は就職先を考える中、親戚が税理士だったことを思い出したといいます。専門的な知見を活かして生涯続けられる税理士になろうと大学院へ進学し、資格取得に向けた勉学に励まれました。1999年に税理士試験に合格、知人のつてで栁田計理事務所で働くことになり、2年後に税理士登録を果たされました。2016年2月2日から法人名をTA&M税理士法人と変更して、今に至ります。
寺澤 竜也先生
群馬県前橋市で生まれ育った寺澤先生は商業高校を卒業後、大学商学部に進学しました。そして大学3年生の時、長らく学んできた簿記の知識を活かそうと税理士を目指し、専門学校に通い始めたそうです。その頃、税理士会に出した履歴書が栁田先生の目に留まり、入所。2006年から同事務所で2年間働いた後、栁田先生の提案で一度退職され、大学院と専門学校に通って29歳の時に税理士資格を取得した後、再びお二人のもとへ戻り、共に事務所経営を担っていくことになりました。
TA&M税理士法人

- 所在地/
- 群馬県前橋市下細井町696-7
- TEL/
- 027-231-2146
- 設立/
- 2016年
- 職員数/
- 8名
Visit the local
古くから地元民に愛される老舗の名店、銘菓
パーラーレストラン モモヤ

手前から、
人気の「tonton ナポリタン」(税込1000円)と
「Wチーズのオムバーグ」(税込1150円)
昭和レトロな趣の店構え
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創業1956年の「パーラーレストラン モモヤ」は、前橋中央通り商店街(前橋市千代田町)にある老舗洋食店です。
近年、テレビCMの撮影地になったり、映画のロケ地になったこともあり、その知名度は全国区に。昭和レトロな雰囲気が魅力で、赤いソファやチェックのテーブルクロスが目印の店内は地元客のみならず、県外から訪れるお客様で賑わっています。店の看板メニュー「tontonナポリタン」は、ナポリタンの上に上州豚のソテーとチーズ、さらに自家製デミグラスソースがかかった奥深い味わいの逸品です。
2020年、前橋の豚肉料理No.1を決めるコンテスト「T-1グランプリ」で優勝したメニューで、この味を目当てに訪れるお客様も多いといいます。「最近はオムライスにポークソテーをつけた『tontonオムライス』やオムライスの上にチーズたっぷりの豚ハンバーグを載せた『Wチーズのオムバーグ』などの新メニューも好評です」と話すのは2代目の森田 和子さん。夫でシェフの武徳さんは芝浦工業大学を卒業後に有名飲食店で修業を積み、両親の店を継ぐために帰郷。それからは夫婦二人三脚で店をもり立ててきました。
その後、娘の有実さんと、軽井沢プリンスホテルのパティシエだった日詰 定文さん夫妻が3代目を継いだことで、ケーキやクッキーなどもメニューに加わりました。「ソースやシロップ類に至るまで店の料理は全て手作り。新たなメニューは家族で話し合いながら開発しています」と和子さん。
手作りの味わいと昭和レトロな雰囲気に、3世代にわたって通うファンも多く、前橋市を代表する人気店となっています。
田中屋本店

甘めのみそだれが後を引くおいしさと評判の「焼きまんじゅう」

店舗外観写真提供:前橋観光コンベンション協会
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小麦の生産が盛んな群馬県民のソウルフードといえば「焼きまんじゅう」。
創業1910年の田中屋本店は、その焼きまんじゅうの製造・販売を手掛ける老舗店です。ふんわりもっちりとしたまんじゅう生地に、ザラメをたっぷり使った甘めのみそだれの味わいが人気です。数ある焼きまんじゅう店の中でも「田中屋本店の味わいが一番」というお客様の声も多く、地元でも評判です。
まんじゅうの中はパンに近いようなフワフワとした食感で、餡(あん)なしと餡入りの2種類があり、贈答用、お土産用の箱詰めも販売しています。持ち帰り用は自宅で焼いて食べられるように、まんじゅうとみそだれ、胡麻、刷毛が付いています。「国産素材にこだわり、昔ながらの作り方をしているので賞味期限は3日ほど。焼き立ての新鮮な味わいがおいしさの秘訣」と3代目の小林 茂雄さん。
県内外から電話注文も多く受けるそうで、お取り寄せするリピーターも大勢いるとか。ちなみに一般的な焼きまんじゅうは4個ですが、同店では一串5個。一つひとつのまんじゅうが若干大きいのも嬉しい特長です。