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会計人のリレーエッセイThe Essay Series from Accountants

神話から始まるエトセトラ

片岡 由季子

  • 北陸会
  • 片岡 由季子
  • 福井県越前市

 昔から、古事記や日本書紀など、「神話」に関する物語が好きだ。

 先日知人に教えてもらって、「全領域異常解決室」というドラマを一気見した。

 神隠しやあやかしの仕業と言われ、超常現象として世間を騒がす不可解な事件を、内閣官房から直接要請を受け、「全決」という機関が次々と解決していく。実は、神の化身が「全決」のメンバーであるというのも面白いところであり、その神にまつわるエピソードがそれぞれ興味深くもあり、物悲しくもある。話のベースは、古事記の記述がもとになっていると思われるが、現代のSNSやオールドメディアとも結びつけ、日本人に脈々と流れる八百万信仰の魂と、今の何を信じればよいか分からない世界のギャップが絶妙に表現され、壮大な世界観とともに、人間の業や欲というものを考えさせられる良作であった。

 神話好きが高じて、神社巡りも私の趣味である。「全領域異常解決室」に出てくる猿田彦という神は道案内の神であるが、地元に猿田彦を祭る珍しい神社があり、そこによく訪れることもあり、親近感をもって観ることができた。最近人気の猿田彦珈琲も猿田彦神が由来となっているということも知り、時代により、着目される神様も変遷していくのだなと感慨深く思った。また、今年は巳年ということもあり、年女である自分は、東京の白蛇を祭る「蛇窪神社」にて巳年生まれの祈禱(きとう)も受けさせていただくことができた。正月、蛇窪神社は、それこそ長蛇の列で参拝規制も起こっているとSNSで観て、情報の伝達の速さにも感嘆した。

 現在、YouTubeでも、いわゆる「オカルト」というジャンルは、人気のあるコンテンツになっており、オカルトイベントも各地で行われている。先日、地元福井にも人気のある怪談師達が来て、不思議な話をたくさん聞かせてくれた。石川や京都のオカルトイベントにもいそいそと出かけている。オカルトがブームになるのは世情の不安定さからとも言えるが、想像を超えた物語を創造するのも人間が与えられた、貴重な才能の一つであるなと、恵まれた環境に感謝する日々である。

蛇窪神社の撫で蛇。珍しい像の一つ

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