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投資ノウハウ

金融資産の値下がり時には 感情のコントロールが不可欠!!

混迷を極めるアフターコロナの時代においては、どのような資産運用のあり方が求められるのでしょうか。 資産運用のプロフェッショナルであるFP法人シグマの吉田 篤氏に解説いただきます。

KNOW-HOW 02

吉田 篤 氏 よしだ・あつし

FP法人市府馬(シグマ株式会社)
代表取締役

大学卒業後、日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に入社。個人富裕層、法人顧客への資産運用設計コンサルタントに従事。営業表彰やCS(顧客満足度)表彰などを受賞。その後、会計事務所系のコンサルティング会社を経て、2013年独立。ライフプランに沿って独立性・専門性の高い資産運用アドバイスを行うため、FP法人シグマを設立。

 資産運用を続ける中で、昨今でいうとウクライナ侵攻など情勢の変化によって世界的に株式の暴落が生じることがあります。この時、肝要なのは感情のコントロールです。今回は「行動経済学」の原理原則から、投資のあり方を見ていきます。

 まず、“損切りできない病”というものがあります。利益が見込めそうな株式を見つけても、今保有している株式に含み損があるため売却できず、結果として手元に多くの塩漬け株を残してしまう状態です。主な原因は「損失回避性」によるもので、「手に入れる」よりも「損をする」ことを回避しようとする人の心理が影響しています。「まあ今のままでいいか。今持っている銘柄も気に入って買ったものだから手放したくないし。放っておいたらいずれ上がるだろう」。心当たりありませんか?

 反対に、“早く利益確定したい病”というものもあります。これは、保有する株式の含み益が増え、もともと長期で考えていた銘柄を早期に売却したくなる現象です。こうなると、自身の先入観や仮説を肯定するために都合のよい情報ばかりを集める「確証バイアス」が働き、「この銘柄は割高だから早めに売ったほうがいい」「将来下がる可能性がある」といった保有株の早期売却を勧める情報ばかりが目に入るようになります。

 まず大切なのは、私たち人間がこうした習性を持っていると理解することです。その前提に立てば、感情をコントロールしやすくなり、金融商品の価格変動にも冷静かつ適切な判断を下すことができるようになるでしょう。

 また、冷静かつ適切な判断をする上では証券会社のファンドラップやロボアドバイザーといったサービスも有用です。いずれも株式や債券、REITなどの資産配分を示し、客観的に自身のポートフォリオを決定し、運用してくれます。ファンドラップは証券会社との間で投資一任契約を締結した上で資産運用を任せるサービスです。ロボアドバイザーは顧客の年齢や資産規模、投資方針などに関するアンケートを基に、ロボットが自動的に最適な金融商品や資産配分などを決定し、運用してくれるサービスです。

 こうしたサービスはゼロから投資を始める際だけでなく、既存の投資方針を見直し、リバランスを図りたい時にも有効です。特に自分の感情をコントロールすることに苦手意識がある方は、ぜひ試してみてください。

 ただ、ここで忘れてはならないのが、いかに優れたファンドラップやロボアドバイザーを利用して資産配分したとしても、下落する時には下落するということです。ファンドラップやロボアドバイザーはリターンやリスクの度合いとともにいくつかのパターンを提示してくれるので、その選択時には自分がリスクをどこまで許容できるかを明確にイメージし、ちょっとした下落に動じない心が必要です。また、実際の資産運用時には証券会社のレポートを随時チェックし、値動きの背景にある経済・社会動向に対する理解を深めておくのも一案です。下落時の原因を論理的に理解し、その影響が長期に及ばないことを予測できれば、安心して資産運用を継続できるはずです。こうした作業を繰り返していくうちに、自然と投資のノウハウを蓄積できるようになると思います。

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