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小熊達也税理士事務所 写真

事務所訪問

地域密着に徹し、資金繰りから
M&Aまで幅広い相談に応える

札幌市と函館市の中間に位置する伊達市で、国税OBの税理士の先生方が代々承継し、現在に至る小熊達也税理士事務所。長年にわたり地域密着型の顧問先支援を手掛け、顧問先が抱える資金繰りや事業承継、相続問題などについて、「お客様のために」を合言葉に、1社1社に寄り添った支援を続けています。伊達市の特徴とともに、事務所の取り組み、今後の展望などを所長の小熊 達也先生に伺いました。

国税庁OBが代々承継する伊達市有数の会計事務所

「人材の層をなるべく厚くし、地元企業が困らないよう
事務所を継続していきたい」と小熊先生は語ってくれました

小熊先生の事務所は先代、先々代の先生時代から数えると40年以上にわたってこの伊達市に根付いているそうですね。もともとはどんな事務所だったのでしょうか?

小熊 達也所長(以下、敬称略) 当事務所は国税庁OBであり、先々代となる谷川 盛人先生が地元の方とのご縁をきっかけに開業したのが始まりです。当時は地元の有力企業の他、建設関係の企業様や農家、水産事業者などが主な顧問先でした。
 その後は谷川先生が高齢となり、国税の職員だった佐藤 裕幸先生が事務所を引き継ぎました。そして、佐藤先生が10年ほど所長を務められた後、8年前から私が当事務所の所長となりました。事務所名も小熊達也税理士事務所に変わっておりますが、先々代、先代から続く顧問先との関係もあります。


小熊先生の事務所の顧問先には、どういった事業者様が多いのでしょうか。

小熊 一次産業の農業関係の方や噴火湾(内浦湾)でホタテ養殖を生業とする事業者様がいらっしゃいます。また、建設業者が3~4割を占め、特に多いのは室蘭市の鉄鋼大手などの下請け事業者です。担当エリアも広く、札幌市や苫小牧市の他、埼玉県や神奈川県にも顧問先があります。

北海道外の顧問先様とはどういったご縁があったのでしょうか。

小熊 先々代の谷川先生の頃からのお付き合いです。伊達市で創業し、業績を伸ばした後、主要拠点を道外に移した企業様が引き続き当事務所に税務を任せてくださっている例が多いです。上場をきっかけに他の会計事務所に移行した企業様もいらっしゃいますが、その会社の創業者親族が立ち上げた法人などは私どもを頼りにしてくださっています。

国税庁での日々と税理士となった経緯

事務所を引き継ぐことになった経緯をもう少し詳しく教えてください。

小熊 私は地元の北海道伊達緑丘高等学校(2023年3月末に閉校)を卒業後、すぐに働きたいと考え、その選択肢の一つとして公務員を選びました。そこで最も難しいという国税庁に挑戦してみたいと思い、試験を受け、合格しました。入庁後は北海道内や関東を中心に全国各地の税務署での勤務を経験し、ほぼ一貫して法人税関係の仕事に携わってきました。この仕事では上場企業や外資系企業とのやりとりが多く、非常に学びが多かったと感じております。税務調査などでたびたび大企業の調査に入る日々を送ることにやりがいも感じていたので、当時はそのまま定年まで勤め上げようとも思っていました。

その後、税理士になってみようと考えたのはどういった経緯だったのでしょうか?

先代、先々代から勤める経験豊富な職員が
いらっしゃいます

小熊 室蘭市の税務署におり、勤続25年を過ぎた頃です。知人づてに声をかけられ、「伊達市のある会計事務所の所長が高齢となり、後継者を探している」という話を受けました。税理士の仕事には以前から興味を持っていましたが、事務所を一から開業して、税理士になるのは難しいと感じていました。そのため、お話を受けたことにご縁を感じ、事務所を引き継ごうと決心しました。そして2年ほどの期間を経て、私が所長になりました。

当時、職員の方はどのくらい所属していたのでしょうか。

小熊 私を除いて5名でした。そのうち4名は今も事務所に所属してくれており、新しく4名が加わって計8名の体制となっています。

職員数が倍増したのですね。

小熊 おかげさまでこの10年、既存の顧問先や地域金融機関からの紹介などが重なり、顧問先の数が右肩上がりで増えました。私どもも顧問先のご要望にしっかりとお応えするため、人員増強という形で支援を拡充しています。

職員の方たちへの教育や事務所の方針などについてはいかがでしょう。

小熊 職員は先代、先々代からのベテランが多く、私の代になってから加わった方も皆、経験豊富です。そのため、あえてこれと決まったやり方を押し付けないようにしています。職員にはそれぞれ自分自身で考え、自由に動いてもらい、基本的に私は口を出さず、期日の管理などに徹するよう心掛けています。

増加するM&A案件で顧問先をサポート

事務所の顧問先支援のコンセプトをお聞かせください。

小熊 京セラ(京都市)の故稲盛 和夫名誉会長の言葉でもあった「利他の心」を意識しています。顧問先の税務に取り組み、経営に寄り添うこと。これに尽きると思っています。主なご相談は適切な納税に関してですが、できる限りお客様の手元に資金を残せるよう支援することも重要な使命だと考えています。

最近、顧問先からはどのような相談が増えていますか。

小熊 コロナ禍の影響を受けた事業者から資金繰りや売上低迷についてのご相談が多いのですが、最近は後継者不在による事業売却のご相談も受けるようになりました。つまり、M&Aのご相談となるのですが、ここ最近の道内におけるM&Aの案件は基本的に官民運営の事業承継センターのような団体が旗振り役となって、企業同士をマッチングしていることが多く、その承継にあたって私たちが部分的に関わるケースが多いです。 この場合、M&Aの協議に私たちが直接介入することはないので、ご相談に来られた企業様にどれほどお金を残せるのかをシミュレーションして、それをベースに話し合えるようお手伝いしています。ベースとなる資料はもちろん、買い手企業のご提案内容についても一緒に吟味します。

M&Aの案件で特に意識していることはありますか?

小熊 私たちとしては売り手企業(顧問先)に対し、私たちで分かる範囲で買い手企業について調べて、アドバイスをする他、顧問先の評価書類を作成し、それをベースに買い手企業やM&A仲介業者と協議してもらうようにしています。
 この時難しいのが、いわゆる「のれん代」(ブランド力や技術力、ノウハウなどの無形固定資産)です。M&Aの際にはこののれん代が考慮されず、株価だけで売却額が算出されてしまうことも多いので、私どもとしてはなるべくそうならないよう、買い手側に売り手企業(顧問先)の価値が伝わるよう工夫して資料を作成することを心掛けています。
 ただ、最終目標は従業員の雇用をどうやって守るか、今まで信頼関係を築いてきた取引先にどう迷惑をかけないようにできるかです。それをちゃんとバトンタッチできる買い手企業であれば、売り手の売却価格の話は二の次とお考えの経営者の方も多いです。

地域の税務と経営支援のニーズを引き受ける

最後に、今後の展望をお聞かせください。

小熊 少子高齢化の影響で、国内の企業数はこの先も確実に減少していくと思われますが、このところ当事務所では顧問先の増加傾向が続いています。その要因としては、もともと伊達市を含む室蘭管内に会計事務所が少ないことと、高齢のために廃業する事務所が増えていることが大きいとみています。実際、昨年には数年以内での廃業を検討している室蘭市の会計事務所から、40件ほどの顧問先を引き受けました。今後も同様のことはあると思います。地元の企業様が困らないよう事務所を継続し、まずは私たちで可能な限り受け止め、対応できるよう人材の層をなるべく厚くしていきたいと考えています。

本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします。

History & Story税理士までのあゆみ

 小熊先生は高校卒業後、国家公務員試験を受験。当時は「生活のためにとにかく稼がねばという一心だった」と言います。国税庁入庁後は神奈川県川崎市や横浜市、山梨県甲府市、東京都内各地、そして地元・北海道の札幌市や室蘭市といった税務署に勤め、さまざまな企業の税務調査などに携わるうち、徐々に「企業の税務や経営をサポートする税理士として働いてみたい」という思いが募っていったそうです。勤続25年の時、伊達市の佐藤裕幸税理士事務所が後継者を探しているという話が舞い込み、その機会に税理士としての道を歩むことを決意。2年の引継ぎ期間を経て、所長の座を承継し、小熊達也税理士事務所としてのスタートを切りました。

小熊達也税理士事務所

小熊達也税理士事務所
所在地/
北海道伊達市山下町161
TEL/
0142-25-4488
設立/
2015年8月
職員数/
8名
HP/
http://www.kogumazeirishi.jp/

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北海道伊達市の水産物と名所

ホタテとマツカワ
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伊達市は全国でも有数の大規模ホタテ養殖地とな る噴火湾(内浦湾)に面しています。市内の漁村 では例年3月頃、1枚4~5センチほどのホタテ稚貝の個体 選別を行い、本格的な養殖が始まります。この時の選別 で取り除かれた稚貝はみそ汁「ほたて汁」として食べら れます。ホタテの風味と貝殻ごと入ったその身を楽しめ る郷土料理の一つです。
 カレイの「マツカワ」も有名です。最高級魚として名 高い本州のホシガレイやシロシタガレイなどと肩を並べ る白身の高級魚で、道内では稚魚の放流事業が進められ ています。伊達市ではその稚魚を生産している他、体 長35cm以上のマツカワを「王鰈(おうちょう)」とブランディングし、 販促を進めています。マツカワの特長はヒラメにも劣ら ない肉厚な身、旨味のある脂にあり、刺身や寿司はもち ろんのこと、さまざまな料理の主役としての可能性を秘 めています。歯ごたえはヒラメよりも上で、身が締まっ ています。

有珠(うす)善光寺
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正式名称は「大臼山(おおうすざん)道場院 善光寺」、道内最古のお寺です。天長3年(826年)に比叡山の僧・円仁(慈覚大師)が胆振(いぶり)国有珠郡(現在の伊達市)に阿弥陀如来を安置したことが寺の開基と伝えられ、慶長18年(1613年)に松前藩初代藩主松前慶広(よしひろ)公が善光寺と称しました。文化元年(1804年)には、江戸幕府徳川11代将軍家斉公が三宗派の建立を決定し、蝦夷三官寺の一つとして現在の場所に建てられました。
 茅葺屋根が特徴の本堂や客殿は、江戸時代に再興された当時の趣を残しており、境内一帯が国の史跡に指定されています。境内にある善光寺宝物館では、国指定重要文化財62点、道有形文化財、アイヌ民族資料などを展示、保管しています。
 有珠善光寺のそばには、名所として知られる「石割桜」があります。かつて有珠山の山体崩壊で流れ出た巨石を割って成長したという、胆振地方で最も有名な桜の名木です。

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