The Essay Series from Accountants
木を使い切るまち
税制改正により基礎控除額が引き下げられ、相続税申告業務のご依頼が増える中、財産の中に山林が含まれていると、多くの方が「山は持っていてもお金にならない」とおっしゃいます。しかし、私が暮らす岡山県真庭市では、その常識を覆す取り組みが活発に行われています。
2015年、真庭バイオマス発電所が稼働を開始。「木を使い切る」持続可能な社会を目指し、地域全体で木質バイオマス発電を推進しています。山林作業で発生する未利用材や製材所から出る端材を燃料とするこの発電システムは、売電収入の一部を山主に還元することで山林への関心を高め、木材需要の創出を通じて林業の活性化と山林の再生を促します。さらに、新たな雇用を生み出し、地域に根差した持続可能な木材産業構造の構築を目指しています。
真庭市は、市域の約8割を森林が占める豊かな自然に恵まれた地域です。年間約15万㎥もの原木が市内で流通し、森林組合や素材事業者が約20社、原木市場が2社3市場を構えています。岡山県内で取引される原木の約3分の1は真庭市で扱われているのです。加えて、約30社の製材業者が事業を営み、木の育成から製材、売買に至る流通プロセスが市内で完結する独自のモデルは、先人たちの尽力によって築き上げられました。
市の資料によれば、真庭バイオマス発電所の年間発電量は7920万kWh。これは一般家庭の電力消費量に換算すると、約2万2千世帯分に相当します。24年4月1日時点の真庭市の世帯数は1万7417世帯。発電された電力は、現在、主に市内の公共施設で利用され、余剰分は電力会社へ売電されていますが、数字上、市内の一般家庭が消費する電力を十分に賄える規模であることは、地域エネルギー自給という観点からも大きな意義を持つと言えるでしょう。市は、この歩みをさらに発展させるため、未利用資源である広葉樹林や雑木林、成長の早い早生樹の活用も視野に入れ、発電所の増設を検討しています。
この取り組みの全容を誌面でお伝えすることは難しいかもしれません。「木を使い切るまち」真庭では、その息吹を肌で感じていただける「バイオマスツアー真庭」をご用意してお待ちしております。ぜひ一度、足をお運びください。
作業風景

