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会計人のリレーエッセイ

2020年07月号

ITと税理士業務

土屋 広高

中部会

愛知県名古屋市土屋 広高

 「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」と、税理士法第一条には我々税理士の使命が規定されています。

 とはいえ日々業務においては、お客様からの相談内容は税務だけにとどまらず、多岐にわたり「よろず相談窓口」となっていることは、皆様がまさに日々体感されているところだと思います。「納税義務者の信頼にこたえ」るのは税務に限らず、こちらも多岐にわたるのが皆様の日常だと思います。

 これらの日常が大きく変わってしまった今回の新型コロナウイルスの感染拡大。その中で一番大きな変化は、Zoomに代表されるオンラインミーティングシステムを利用する面談でしょう。お客様側でもこのブームを知り、体験したいということで快くご協力をいただくというケースもあったのは喜ばしいことでもありました。慣れない者同士、確かめながら進めるミーティングも楽しいものでありました。

 他方で、未だにメールは利用できず、FAXや郵送で資料のやりとりをし、電話で連絡をしなければならないお客様も多数お見えになったということも忘れてはなりません。お客様において操作が不案内だ、あるいはセキュリティの観点から利用したくないという思いがあるように、税理士側にも同じ理由で利用していない方が少なからずいるのだと思います。

 ご存知の通り、大企業においては電子申告が義務化され、個人の青色申告においては、電子申告または電子帳簿保存をしていない場合は65万円の控除ができなくなります。お客様側の理由でこれらを導入できない場合は問題がありませんが、税理士側の理由でできない、ということは「税理士によって税額が変わってしまう」という事態が発生することとなります。

 今回の新型コロナウイルスに関する自粛でこれまでになかったIT技術に触れる機会が多かったわけですが、これらの新しい技術に遅れることなくついていくことも、納税者の信頼に応えるためには必要だと感じました。

 新型コロナウイルスにも新しいIT技術にも恐れることなく、適切な対応をとり、これからの新しい社会の波に乗り遅れないようにしたいと思います。

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