2020年10月号
わがふるさと
私が生まれ育った島根県出雲市は、「神話の國 出雲」あるいは「神々の國 出雲」と言われますが、皆様はなぜ出雲がこのように呼ばれているかご存知でしょうか?
旧暦10月は、日本全国の八百万の神々が出雲の国に集まる月。出雲以外の地域では神様がお留守になるのでこの月を『神無月』と言い、ここ出雲では『神在月』と呼びます。
毎年、秋が深まり冬の気配を感じる頃、旧暦の10月10日に神迎祭が行われます。出雲大社からほど近い海岸「稲佐の浜」に御神火が焚かれ、龍蛇(海蛇)を神々の使者としてお迎えする儀式です。
全国の神々は、その後7日間、出雲の地で神事(幽業)、すなわち人には予めそれとは知ることのできない人生諸般の事などを神議りにかけて決められると言われています。男女の縁結びについてもこの時の神議りによるものと言われており、このことが近年縁結びスポットとして特に若い女性から人気を集めている理由のようです。
この神議りの舞台になっているのが、皆様もご存知の出雲大社です。主祭神は大国様として馴染みの深い『大国主大神』で、日本最古の歴史書と言われる「古事記」に記される国譲り神話には、大国主大神が高天原の天照大神に国を譲り、その時に造営された天日隅宮が出雲大社の始まりと言われています。ちなみに、大国主大神は小づちを持って俵の上に乗った姿が有名な大黒様で、鯛と釣竿を持った恵比寿様と親子であることは知らない方が多いのではないでしょうか?
私は自宅から近いこともあり、年に何回か出雲大社を訪れていますが、私のおススメは朝の参拝です。大きな鳥居をくぐり、長い参道を歩いていると、明らかに外とは違う空気が流れています。空気がピリッとしていて厳粛な緊張感がそこにはあります。
近年、縁結びスポット・パワースポットとしても注目されている出雲大社。ぜひ一度その空気を感じていただきたいと思います。