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時代を読み解くキーワード

今回は体験や経験価値を重視することを意味する「コト消費」から派生した
「トキ消費」「イミ消費」「エモ消費」「ヒト消費」を取り上げます。

トキ消費

 その時・その場でしか味わえない“盛り上がりを共有する”ことを楽しむ消費行動を指します。具体的には、若者を中心に盛り上がるハロウィーンの仮装やスポーツ観戦、音楽フェスなどで、消費者が他人と一緒に生み出すトキ(ライブ感)に主体的に参加することが該当します。特徴としては、同じ経験が二度とできない価値を感じさせる「非再現性・限定性」、コンテンツに参加すること自体が消費の目的となる「参加性」、集まりやイベントに対して各参加者が参加した成果が目に見えて分かり、その貢献を実感する「貢献性」の3点があります。

イミ消費

 商品やサービスの社会的・文化的な意味を重視するような消費行動を意味します。商品・サービスを購買することで、二次的にどのような価値を生み出すかという点が重要で、「環境保全」「地域貢献」「フェアネス(公正)」「歴史・文化伝承」「健康維持」などが関心事となります。代表的なものでは、地域貢献の意味合いを持つふるさと納税、無農薬野菜やフェアトレード商品の購入などがあります。2011年の東日本大震災による被災地支援が始まりとされ、「社会正義的消費観」に従って、他者支援・地域復興活性化に貢献しようとする動きが背景にあります。

エモ消費

 精神的な満足度を得るための消費行動を指します。「エモ」は「エモーショナル(emotional)」が語源とされ、あるモノ・光景・シチュエーションなどに共感し、それらに幸せを感じ、その幸せが誰かに伝わるかで「エモい」かどうかが決まります。消費においては商品の魅力や価値に重きを置かず、買ったことで得られる世界観を重視します。例えば、あえて現像に手間のかかるフィルムカメラで撮影する、昔のめり込んだドラマの関連グッズを買う、といった行動が該当します。そして、それをSNSなどで発信し、同じ趣味を持つ人々とコミュニティの形成に至ります。

ヒト消費

 商品・サービスではなく『ヒト』の持つ魅力や物語をエンターテインメントとして捉えて消費することを指します。ここにおける『ヒト』には芸能人やアーティスト、YouTuber、スポーツ選手といった実在する人物の他、アニメや漫画、ゲームに登場する架空のキャラクターが含まれます。動画配信アプリで「投げ銭」※1をするといったいわゆる「推し活」※2などが該当します。「応援する対象の役に立っている」という自己満足感が自身の精神的充足につながり、自分のために誰かを応援したいという意識によるものです。

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