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ご当地自慢

2019年06月号

沖縄諸島最西端、久米島

那覇の西100kmに位置する久米島は、広大なバリアリーフに囲まれた周囲47.6kmの島です。かつて中国との海上交易の拠点として栄えた琉球王朝時代には、琉球列島で最も美しい「球美の島」とたたえられました。 もちろん今もその魅力は健在。久米島ならではの絶景やグルメをたっぷりご案内いたします。

「球美の島」ならでは美しい海の絶景スポット

 まず紹介したいのが「球美の島」の名にふさわしい久米島一の絶景スポット、「ハテの浜」です(①)。島の東側、奥武島とオーハ島の沖合に浮かぶ長さ約7㎞の3つの砂州(メーヌ浜、ナカノ浜、ハテの浜)の総称で、港から船に揺られること数十分で渡ることができます。そこはまさに「砂浜だけの島」。パラソルの下でのんびり過ごすもよし、シュノーケルやダイビングを楽しむもよし。真っ白な砂と透き通るようなコバルトブルーの海が広がる絶景の世界を、ぜひ時間を忘れて堪能してみてほしいと思います。

砂浜とコバルトブルーの海、青空が広がるハテの浜

砂浜とコバルトブルーの海、青空が広がるハテの浜

美しい白砂が評判のイーフビーチ

美しい白砂が評判のイーフビーチ

奥武島の南西側海岸にある畳石。沖縄県の天然記念物に指定されている

奥武島の南西側海岸にある畳石。沖縄県の天然記念物に指定されている

 もちろん、久米島にはこのハテの浜以外にも素晴らしいビーチが点在しています。その筆頭が、東部にある長さ約2㎞のイーフビーチ(②)。「日本の渚100選」にも選ばれているこのビーチは久米島イーフビーチホテルと直結しており、ホテル内にはマリンショップもあるので、気軽にさまざまなマリンアクティビティーを楽しむことができます。

 一方、美しい砂浜のみならず、海岸の地形も魅力的です。久米島は数千万年~数百年前の活発な火山活動によって形成された島であり、各所にその痕跡が残っているのです。例えば久米島と橋でつながった奥武島には「畳石」という国指定天然記念物があり、海岸に亀の甲羅のような形状の岩が多数連なっています(③)。これは600万年ほど前の新第三紀中新世最末期に安山岩のマグマが海底近くの地下で冷えて固まってできたものだとか。「ミーフガー」も独特な地形がつくり出した景勝地です(④)。別名「女岩」とも呼ばれ、一見すると岸壁に巨大な穴が開いたように感じられますが、実は海側は石灰岩、陸側は凝灰角礫岩と異なる岩によって構成されています。

海ぶどうから化粧品まで多彩な海洋深層水ビジネス

 さて、久米島の海の魅力といえば、忘れてはいけないのが「海洋深層水」です。島東部にある沖縄県海洋深層水研究所は取水量日本一。研究所周辺には、この清浄な水によるビジネスを手掛ける事業者が集積しており、島の産業を支えているのです。久米島海洋深層水開発(株)の海ぶどう養殖場もその一つ(⑤⑥)。場内の養殖池の数は全部で1000カ所以上もあり、県全体で年間400t生産される海ぶどうのうちの実に半分以上を久米島産が占めているといいます。海洋深層水と表層海水とを混ぜ、適正水温に合わせてゆっくり育てるので、粒がぎっしりと密集しており、プチプチの食感と自然な塩気が最高です。養殖場を訪れれば場内の見学や試食ができるので、島めぐりの際にはぜひ立ち寄ってみてください(要予約)。

 化粧品メーカー(株)ポイントピュールは、化粧品用に精製した海洋深層水を主成分としています。一切、外気に触れることなく自社工場内まで運ばれてきた海洋深層水は、脱塩・精製を経てさまざまな化粧品に生まれ変わります。工場に隣接する直営店では沖縄の天然素材を配合した化粧品を数多く取り揃えているので、じっくり商品を選べるのもうれしいところです(⑦⑧)。

大きな穴の向こうに海が見える奇岩、ミーフガー

大きな穴の向こうに海が見える奇岩、ミーフガー

久米島産の海ぶどう

久米島産の海ぶどう

海ぶどう養殖場の様子

海ぶどう養殖場の様子

ポイントピュール直営店内の様子

ポイントピュール直営店内の様子

ポイントピュールのイチオシは、沖縄本島南部でとれた「クチャ(海泥)」を原料とした洗顔剤やパック

ポイントピュールのイチオシは、沖縄本島南部でとれた「クチャ(海泥)」を原料とした洗顔剤やパック

いまや生産量日本一、久米島産の車海老

いまや生産量日本一、久米島産の車海老

沖縄県初の養殖に成功生産量日本一の車海老

 そして、海洋深層水の恵みとしてここ数年、特に人気が高まっているのが生産量日本一の車海老です(⑨)。久米島で沖縄県初の車海老養殖業がスタートしたのが1970年代。さまざまな試行錯誤を経て、2000年に沖縄県海洋深層水研究所が設立されて以降は、無菌に近い海洋深層水を利用した親海老の養殖技術を確立、その親からの種苗生産にも成功しました。そして02年に海洋深層水種苗供給センターが稼働、ウイルス感染の心配がなく、安心・安全、高品質な車海老を生産する体制が確立されたそうです。この高品質な車海老は全国に出荷されている他、久米島内でも流通しており、各所で食べることができます。居酒屋などでは車海老の塩焼(⑩)が定番メニューですが、近年では新たな加工品や名物も誕生しています。イチオシは16年2月オープンの「ユナミファクトリー」((株)與那嶺商会)の看板メニュー、ガーリックシュリンプ(⑪)。オリーブオイルとにんにく、バジル、島産シークァーサー、海洋深層水の塩、香辛料などで作られたオリジナルソースが車海老の旨みをよく引き立てており、実に美味です。持ち運びやすいフタ付ケースに入っているので、ビーチでビールとともにいただくのもオツなものです。

ぜひとも味わいたい久米島グルメ

 「ユナミファクトリー」の他にも、久米島ならではの食が味わえる名店をいくつか紹介します。人気店の「やん小~」は、島内外にファンの多い沖縄そば店です。看板メニュー「肉もやしそば」はまさに絶品(⑫)。久米島産のネギ、島の地下水で無農薬栽培した惣慶もやし、海洋深層水で仕込んだ自家製麺など、素材に島のものを多く使っているのも魅力です。

 島の東側、リゾート客の多いイーフビーチエリアの「南島食楽園」は、地元客にも観光客にも愛される名物居酒屋。定番の沖縄料理から定食、丼もの、島産素材を生かした創作メニューまで多彩な料理がそろっていますが、ぜひ注文したいのが「海ぶどうの卵焼」。うすく焼いた卵の間に海ぶどうが挟まっていて、プチプチの食感と絶妙な塩気がなんともいえない味わい。泡盛のアテにピッタリです。久米島赤鶏の握りもオススメの逸品。島の自然の中でストレスなく育った地鶏のほどよい歯ごたえと濃厚なうまみを堪能することができます(⑬)。島内にはほかにもたくさんの居酒屋や定食屋、レストランなどが点在しているので、現地を訪れる際にはぜひ観光協会などでオススメを聞いてみてください。

宇江城城跡から久米島を一望

 最後に、島の歴史にも少し触れておきましょう。かつて、グスク時代(12~15世紀)の久米島は伊敷索按司によって統治されていました。彼が3人の子どもたちに任せた3つの城、宇江城城と具志川城、登武那覇城それぞれの城跡には、現在も石垣などの遺構が残っています(⑭)。16世紀初頭、琉球統一の過程で陥落してしまいましたが、沖縄グスク時代の政治・軍事の様相を今に伝える重要な史跡です。いずれも高台にあり、天然の要塞といった感じで眺望も抜群。特に宇江城城跡からは久米島を一望することができます(⑮)。より詳しく久米島の歴史や文化について知りたいなら、島内にある久米島博物館に立ち寄り、島の成り立ちやそれぞれのグスクについての詳しい展示で理解を深めるのもよいでしょう。

 絶景やマリンアクティビティー、グルメ、そして史跡と、駆け足で「球美の島」のさまざまな側面を紹介しました。久米島にはまだまだ尽きせぬ魅力がありますので、お越しの際にはぜひゆっくりと島めぐりを楽しんでほしいと思います。

海老の塩焼

海老の塩焼

ユナミファクトリーの「ガーリックシュリンプ

ユナミファクトリーの「ガーリックシュリンプ

やん小~の「肉もやしそば」。だしはしっかりした味わいながら肉類のくさみが感じられず、カツオの香りがよくたっていて上質のスープのよう

やん小~の「肉もやしそば」。だしはしっかりした味わいながら肉類のくさみが感じられず、カツオの香りがよくたっていて上質のスープのよう

南島食楽園の「海ぶどうの卵焼」(奥)と、同じく人気メニューの「久米島赤鶏の握り

南島食楽園の「海ぶどうの卵焼」(奥)と、同じく人気メニューの「久米島赤鶏の握り

宇江城城跡の石垣

宇江城城跡の石垣

宇江城城跡は高台にあり、眺望抜群

宇江城城跡は高台にあり、眺望抜群

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