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東京会企画②

2024年02月号

「自分好みのアート」を発見できる
「東京 アート アンティーク」

東京都中央区の京橋・日本橋エリアが、世界的にも稀な古美術店や画廊の集積地だということをご存じでしょうか。 この決して広いとは言えないエリアになんと約150店舗もの古美術店や画廊が軒を連ねています。 そこで、本コーナーでは京橋・日本橋エリアで毎年、ゴールデンウィークに開催される 「東京 アート アンティーク」というイベントにスポットを当て、古美術やアートの魅力をお伝えいたします。

 京橋・日本橋エリアはもともと江戸時代に鞘町と呼ばれ、刀の鞘を手掛ける職人たちが多く暮らしていたといいます。鞘職人の町ということもあり、これに関連して武家の道具修理業者や、鞘や建具などを専門に装飾を施す絵描き、それらを修理・リサイクルする道具屋などが集まるようになりました。そして、近代に入ると、道具屋が残り、その道具屋がいつしか古美術やアートを扱うようになったのです。なお、この界隈は古くから多くのアーティストや文化人とゆかりがあり、岡本太郎や北大路魯山人の活動拠点があった他、川端康成や白洲正子などが通った老舗の古美術店や画廊が存在します。

 そんな京橋・日本橋エリアで2010年から実施されているのが、「東京 アート アンティーク」というイベントです(前身は1998年から古美術店だけで開催され始めた「日本橋・京橋美術骨董まつり」)。東京 アート アンティーク実行委員会によると、敷居が高いと思われがちな古美術店や画廊に家族や友人と気軽に足を運んでいただきたいという思いで始まったイベントだそうです。

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「東京 アート アンティーク」の開催風景

 開催期間中、参加店舗にはイベントのロゴ入りの旗が掲げられ、各店舗で企画展などが実施されます。また、150店舗もの古美術店や画廊が集積しているエリアは世界的にも稀で、陶磁器などをはじめとした古美術だけでなく、国内外の絵画や彫刻、現代アートなど、世界中の多様な作品が勢揃いします。実行委員会は「店ごとにテーマがあり、個性的なコレクションを保有していますし、イベント期間中はそれぞれが自慢の品々を惜しみなく披露するので、〝小さな美術館〟を巡るつもりで立ち寄ってほしい」と紹介しています。

 また、古美術や画廊と言えば、高級なイメージが付き物ですが、中にはリーズナブルなものもあります。実行委員会は「市場価格云々よりも自分好みのものを見つける楽しみを知ってほしい」とのこと。もちろん評価や価値が定まっているものであれば投資価値も十分にあるので、両方の視点で物色してみるのも楽しいでしょう。また、陶磁器などの古美術品をリーズナブルな価格で販売する店舗もあるので、事前にそれぞれのイベント内容をチェックしておくと良いかもしれません。

 なお、2023年の「東京 アート アンティーク」は4月27日~29日にかけて開催され、大盛況でした。4月28日には「もろもろ美術談義」というタイトルで、東京・丸の内に2022年に移転した静嘉堂(三菱の2代目社長・岩崎 彌之助、4代目社長・岩崎 小彌太のコレクションを有することで有名)の館長を務める安村 敏信氏をゲストに迎え、繭山龍泉堂の代表を務める川島 公之氏とのスペシャルトークイベントも実施されました。また、オークション気分を味わえる「チャリティ入札会」も実施。お気に入りの作品を見つけたら、用紙に好きな金額を書きこんで入札箱に投函し、それが最高額であれば見事、その作品を入手できるイベントです。なお、落札額の一部は慈善団体に寄付される仕組みになっていました。

 さらに詳細が気になった方は「東京 アート アンティーク」のホームページ(https://www.tokyoartantiques.com/)もご覧ください。イベントの内容だけでなく、店舗の情報や参加店のエッセイなども掲載されており、見ごたえ十分です。

 2024年は4月25日〜27日に開催する予定とのことなので、散歩や東京観光の最中に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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