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事務所 訪問

2018年08月号

波平正税理士事務所 写真

親子で地元企業の多様なニーズに対応
顧問先とともに事業承継を進展中

 沖縄県浦添市に事務所を構える波平 正先生は、「日々の業務を通して、自己の成長と関与先の発展に貢献する」という 経営理念を掲げ、長年にわたって地元の顧問先を真摯に支援し続けています。現在は事務所ならびに顧問先の事業承継に 熱心に取り組んでいるそうです。早速、その取り組みについて波平 正先生とご子息の波平 剛一先生に伺いました。

明確な経営理念と行動指針を軸に事務所を経営

開業時よりどのようなことをモットーにしてこられましたか。

波平 正所長(以下、正先生) 顧問先の多様なニーズにいかに対応するかを命題とし、地域における町医者のような存在を目指そうと考えてきました。また、顧問先の方々と仕事を通じて交流することは私たち自身の学びや成長にもつながります。職員にもそのことを伝え、事務所全体でそういった意識を共有するように心がけてきました。

明確な経営理念を掲げておられますが、いつ頃からこの理念を設けたのでしょうか。

正先生 明文化したのは8年ほど前です。朝礼の際にはこの経営理念と「お客様には常に感謝の心で接する」「業務知識の完全習得を目指す」「自己研鑽に努める」「己の仕事に自信と誇りを持つ」「恐れず、侮らず、気負わず」という行動指針を唱和し、職員全員の思いを一つにするようにしています。

業種ごとの課題に対応しつつ事業承継にも尽力

顧問先の最近の動向についてお聞かせいただけますか。

正先生 事務所を立ち上げた時は建設業に勢いがあったのですが、バブル経済の崩壊とともに公共事業が減少し、その勢いもなくなっていきました。現在は国内の高齢化に伴い、介護福祉関係の事業者に勢いがあります。

浮き沈みが大きかった建設業に対して、どのようなアドバイスを行ってきましたか。

正先生 建設業が入札に参加する際には、その案件ごとにランクが求められます。そして、このランクというのは会社の完工高や技術者数、財務内容によって決まるので、顧問先の財務状況とそれに伴うランクの変動には常に目を配るようにしました。時には経営者からランクを上げるために決算書の調整を依頼されることもありましたが、それには応えられない旨説明してきました。その場しのぎの対策では本質的な改善にはつながりませんし、最終的には経営を悪化させることになってしまうからです。  一方、公共事業が激減した後も、事業の改善に真摯に取り組む事業者は着実に業績を伸ばしてきました。例えば、本業の関連業務に取り組むなど、新たな道を模索していったのです。こうした柔軟性はどのような業種、ビジネスにも必要なことだと思います。

近年勢いがある介護福祉事業についてはどのような印象をお持ちですか。

正先生 介護福祉事業は法律も含め、変化が激しい業種です。そのため、関連情報をいかに早く入手できるかどうかも大事なポイントとなります。そのため、そういった情報を持っている方と同業他社をつなぎ、顧問先の間で有益な情報がスムーズに共有されるように努めています。

介護福祉事業を成功させる上でどのようなことがポイントになりますか。

正先生 介護福祉事業もサービス業であるという認識が大切で、顧客満足度を高めることに注力しなければなりません。特に重要なのは職員の対応です。やはり対応の優れた施設の評判は口コミで広がっていきますから。

最近は沖縄観光がますます盛り上がりを見せています。実際、2017年の沖縄県の観光客数は939万人に上り、ハワイの年間観光客数を超えたそうですね。

正先生 観光客数が増えたことは喜ばしいことです。ただ、観光客一人当たりの滞在日数や消費金額に関してはハワイに比べてまだまだ低い水準にあるので、現時点で十分な利益を上げることができているのは宿泊関連業だけではないでしょうか。従来型の観光のスタイルやお土産だけではなく、これからはますます時代のニーズに即した事業展開をしていく必要があるように思います。

顧問先から相談される内容に関して、最近はどのようなものが多いですか。

正先生 やはり高齢化の影響もあって相続に関する相談が増えています。ですので、最近は事務所全体で法人税や所得税だけでなく、相続税や資産税に関する知識やノウハウの向上と共有に努めているところです。また、平成30年度税制改正では事業承継税制が改正され、非上場株式の相続・贈与の納税猶予割合が100%となる特例措置ができました。これを受けて、私たちとしても積極的に情報収集に励みながら経営者の背中を押し、事業承継と相続をワンストップで重点的に手掛けていきたいと思っています。

写真1

立ち寄りやすい内外装に仕上げた事務所の1階

写真2

2階のオフィスは窓に囲まれ、明るい光が注ぎ込みます

後継者の個性を生かし新たな事務所づくりを展開

貴事務所におかれましても、現在、事業承継を進めているそうですね。

正先生 息子の剛一が2011年から税理士として当事務所に所属しており、徐々に事業承継を進めているところです。業務に関して明確な役割分担はありませんが、不動産関係の案件については息子にほぼ任せるようにしています。

波平 剛一先生(以下、剛一先生) 大阪の税理士事務所で働いていた頃に不動産関係の案件に携わっていたこともあって、現在は顧問先からの依頼を受けて海外不動産への投資案件なども担当しています。とりわけ勢いがあったのは急激な円高となっていた6、7年前で、当時はまさに不動産投資ブームといった様相を呈していました。今でも利回りや節税効果などを期待し、一定数の案件が舞い込んできています。投資先としてはアメリカのほか、ミャンマーなどのASEAN諸国が人気です。

ところで、剛一先生は3年前にミロク会計人会に加入されたそうですが、会計人会についてどのような印象をお持ちでしょうか。

剛一先生 会合やイベントなどでさまざまな先生方と出会うことができ、大いに刺激になっています。事務所経営を考える上で参考にさせていただいています。

これから事務所を引き継いでいくにあたって、目標とされていることはありますか。

剛一先生 現在掲げている理念や行動指針は普遍的なものだと思うので、これらをしっかりと引き継ぎながら、時代の変化に対応できるような事務所を目指していきたいと思います。新しい試みとしては、事務所の1階部分を私が使用し、カフェのような内外装にしています。一般の方々にとって、"会計事務所"はどうしても敷居が高い印象があると思います。そこで、空いていた当事務所の1階スペースを改装し、一般の方が入りやすいような空間にしてみたのです。実際、このスタイルにしてからフラリと訪れる方も増え、相談窓口としての機能を発揮できるようになってきました。

事務所の今後の展望についてお聞かせください。

正先生 顧問先の経営者とともに中長期の事業計画を立てるようにしていきたいと思っています。中小企業の場合、ついつい目先の売り上げや利益にとらわれがちですが、持続可能な経営を目指すには中長期計画が不可欠です。まずはそういった意識を持ってもらえるよう、経営者一人ひとりとじっくり話し合う時間を設けていきたいと思っています。

剛一先生 事業承継を進めようとしている顧問先に対しては、後継者に対して私がしっかりとアプローチをかけていきたいと考えています。そうすれば同世代だからこそ話せる悩みや課題を引き出すことができるでしょうし、それが次の世代の関係性構築にもつながっていくと思うからです。

本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします。

写真3

柔らかい印象のロゴを事務所の表に掲出

写真4

右)明確な理念を掲げ、事務所を牽引してきた波平 正先生 (左)普遍的なものは堅持しつつも、新しい取り組みにも精力的な波平 剛一先生

税理士までのあゆみ

波平 正先生

大学卒業後は東京の会社の経理部門に所属したという正先生。自身のスキルを磨くために専門学校で簿記の勉強に励むうちに、税理士試験合格を目指すようになったといいます。そして、しばらくの間、昼は会社で働き、夜は専門学校で勉強するという生活を続け、1984年に税理士試験に見事合格。その翌年に沖縄に戻り、那覇市で開業しました。

波平 剛一先生

子どもの頃は税理士という仕事に興味を持っていなかったという剛一先生。大阪の大学に進学した後、友人からの誘いで簿記の専門学校に通い始めたのを機に税理士を目指すようになったそうです。大学卒業後は大阪の税理士事務所に就職し、実務を経験しながら試験勉強を継続。そして、就職して5年目からは休日を利用して会計大学院で学んで税理士資格を取得しました。その後、2011年に沖縄に戻り、現事務所で働き始めました。

波平正税理士事務所

所在地
沖縄県浦添市西原6-8-1
TEL
098-875-0852
FAX
098-875-0853
設立
1985年
職員数
11名
URL
http://namihirakaikei.com

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