2019年07月号
異業種出身のスタッフ同士の連携で
現場感のある経営支援を実践
約4年前に今の所在地に移転し、法人化も果たしたみそら税理士法人。オフィスには異業種出身の多様な人材が揃い、お客さまに寄り添った経営支援を実践されています。近年では神戸にもオフィスを開設するなど、事業・顧客・エリアも拡大中です。
お客さまの経営支援に注力し信頼関係を築く
本日は創業者で代表社員の廣岡 純一先生と、事務所経営を任されている髙橋 保男先生、廣岡 隆成先生、河村 明宏さんにお集まりいただきました。まずは廣岡 純一先生に1990年の開業にあたって掲げたコンセプトや方向性をお聞かせいただきたいと思います。
廣岡 純一代表社員(以下、敬称略) 地元の会計事務所で15年ほど働いてから独立したのですが、その事務所に入って一番最初に言われたのが、「税務に限らずプライベートも含めて、お客さまが幅広い相談を持ち掛けてくれるような信頼関係を構築しなければならない」ということでした。独立に際しても私はこの教えを守り、お客さまから何でも相談していただける存在になることを目指しました。
パートナーの髙橋先生は開業から数年後に事務所に加わったそうですね。現在までの間に、顧問先支援の方針や事務所の体制などにはどんな変化がありましたか。
髙橋 保男先生(以下、敬称略) 大きな転換点となったのが、2001年の税理士法改正です。「納税者の利便性向上と信頼される税理士制度の確立」を目指したこの改正とその後の規制緩和の流れの中、都市部では顧問料の値崩れと価格競争を背景に、特徴のない事務所の淘汰が始まっていました。しかも、当法人では廣岡 純一先生が病気で倒れて売上が減少したことなども重なり、私たちは強い危機意識を持って〝帳面屋〟からの脱却を図り始めました。
具体的に、どのようなことに取り組んできたのでしょうか。
髙橋 売上や利益などの数値目標に基づいたお客さまの経営支援を実践されている先生方のセミナーなどにスタッフ一人ひとりに参加してもらい、あらためて「経営支援とは何か」を時間をかけて学んだのが第一歩でした。また、当時はさまざまなベンダーが自計化のためのソフトを打ち出していたので、それらも積極的に取り入れました。例えば決算予測シミュレーションの機能を活用するなど、将来の経営状態を見える化して現状のキャッシュフローをどう組み立てていくべきかについてヒントを与えることを必ず心掛けるようにしました。こうした地道な取り組みの積み重ねで、多くのお客さまとの信頼関係をより強固なものにしていったのです。現在、お客さまの82%が黒字決算を実現しており、当法人の大きな特徴として、ホームページでもご案内しています。
そのホームページを拝見すると、貴法人では「経営支援報酬」を設定されていますね。一般的には「顧問料」として経営支援もひとくくりにするところが多く、単独で「経営支援報酬」を設ける事務所は少ないと思います。
髙橋 お客さま方が私たちの何に対価を払ってくださっているのかを明確化するためです。お客さまの安心感や信頼感、そして私たち自身の責任感ややる気にもつながっています。
若手が多く活気と熱意に満ちた職場環境
複数の若手スタッフの取りまとめ役であるリーダーの河村さんは、08年秋に入所されたそうですね。ちょうどリーマン・ショックの時期と重なると思うのですが。
河村 明宏さん(以下、敬称略) 入所後わずか2週間でリーマン・ショックが起こりました。多くの中小企業が大打撃を受け、先行きが見えなくなる中、それまで髙橋先生たちが取り組んできた経営支援により一層力を入れていきました。
廣岡先生のご子息である隆成先生はいつから加わったのですか。
廣岡 隆成先生(以下、敬称略) 5年ほど前です。それ以前は約15年間、監査法人などで働いていました。
廣岡 純一 息子を迎え入れるのとちょうど同時期に現在の場所にオフィスを構え、私たちは新たなスタートを切りました。髙橋さんや河村さんをはじめとする頼りがいのある若いメンバーが中心となって今後の事務所を引っ張っていくべきだという考えがあったからです。
モダンなしつらえであると同時に、木材を多数配するなどぬくもりも感じられる、素晴らしいオフィスですね。スタッフの皆さんも若々しく、活気と熱意が感じられます。
廣岡 純一 ありがとうございます。現在のスタッフ数は25名で、平均年齢は30代半ばくらいと会計事務所としては中堅スタッフが多い職場になっています。
採用活動はどのように行っているのでしょうか。
髙橋 数年前から「全員面接」を実施しています。就職活動の面接というと所長含めて3人くらいで事に当たるのが一般的ですが、当法人を受ける人はほぼ全スタッフと会うことになります。これは応募者を圧迫するわけではなく、むしろその方にオフィスの雰囲気も含めて全てを見せて、その上で当法人を選んでもらおうという意図でやっています。面接の場でスタッフたちの本音も出ますし、相性が合いそうかどうかもお互い見極めることができます。
廣岡 隆成 事前にこうした段階を経ているので、応募者は入社後もギャップを感じることが少なく、離職率が極めて低くなっています。あと本当に優秀なスタッフが揃っていますので、応募者にもぜひ見てもらいたいという気持ちもあります。
廣岡 純一 採用活動にあたって、税務会計のスペシャリストだけではなく、異業種の経験のある人材を積極的に迎え入れてきたのも、当法人の大きな特徴です。おかげで現在、金融機関や医療機関、証券会社での勤務経験のある者、元システムエンジニアなど、多様なバックグラウンドを持つ人材が集まっており、IT・システム関係の研究チームや医療分野の顧客の経営支援に関する研究チームなど、それぞれの強みを生かしたチームが立ち上がっています。
事務所の法人化を機に新拠点を設立
ところで、昨年7月に「みそら税理士法人」として法人化を果たされたそうですね。法人名の由来をお聞かせいただけますか。
廣岡 純一 法人化にあたって若手メンバーらとともに話し合い、「みんなの事務所だし、次世代にバトンタッチしないといけないので、個人名にこだわらないでおこう」ということで、それまでの「廣岡会計事務所」から「廣岡」をはずしました。そして、大きく広がる空のイメージを込めて「みそら」を冠したのです。また「みそら」には、「未空(未来の空)」、「美空(美しい空)」という意味合いも込めています。
最後に、これからの展望をお聞かせください。
髙橋 より高付加価値な経営支援を提供してお客さまの満足度を高め、お客さまとの共存共栄の関係をさらに強固なものにしていきたいと考えています。そのためにも、私たちがこれまで培ってきた経営支援ノウハウを新人も含めたスタッフ全員で共有し、スキルアップを図っていかなければなりません。
河村 お客さま1社につき2~3名で担当したり、1社の事例についてスタッフ全員で話し合う機会を増やしたりと、ノウハウの共有のためにさまざまな工夫を行っています。
髙橋 また、今後は姫路市だけにとどまらず、新たに拠点を設けた神戸市やほかの都市圏のお客さまに愛される存在になりたいと思っております。
廣岡 隆成 髙橋先生が申し上げた通り、お客さまから愛される存在になれば、自然とお客さまから選ばれるものと思っており、どうすればお客さまに愛されるか、満足いただけるかを考えております。
本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします。
廣岡 純一先生
父上が町工場を経営していたことから、若い頃より税理士の仕事に漠然とした興味を抱いていたそうです。東京の大学を卒業して姫路市に戻ってきた時、将来の仕事として税理士を目指すことを決意。市内の会計事務所で約15年間働き、1989年に税理士資格を取得、翌年に独立を果たされました。
髙橋 保男先生
廣岡 純一先生に誘われて、新卒で事務所に入られました。当初、髙橋先生は会計事務所の仕事のことはほとんど何も知らなかったそうですが、廣岡 純一先生の指導も受けながら勉学に励み、事務所の成長に大きく貢献しました。2008年に税理士資格を取得、現在は新拠点である神戸オフィスの統括も任されています。
廣岡 隆成先生
2003年に公認会計士の資格を取得し、大学卒業後に東京へ出て、約15年間にわたって監査法人・外資系コンサルティングファーム・官民ファンドで働いたという廣岡 隆成先生。当初は地元に戻ろうとは考えていなかったそうですが、「髙橋先生や河村さんなど、優秀で頼りがいのある仲間たちと肩を並べて事務所を成長させたい」との思いで、約5年前に廣岡会計事務所に入所されました。
みそら税理士法人
- 所在地
- 【姫路オフィス】兵庫県姫路市豊沢町186 【神戸オフィス】兵庫県神戸市中央区播磨町49 神戸旧居留地平和ビル5F
- TEL
- 079-282-8855(姫路オフィス)
- 設立
- 2018年(法人設立)
- 職員数
- 25名
- URL
- https://misora-tax.or.jp