
士業仲間との連携や広告戦略で
池袋エリアトップを目指す
東京都心、豊島区南池袋を拠点に数百の中堅・中小企業の顧問を担当する久米会計事務所。所長の久米 高治(たかはる)先生は公認会計士の望月 史郎先生や税理士の栗山 一先生など、意気投合した士業仲間と共にREALIZE Groupを立ち上げ、盤石な支援体制を強みに幅広い税務・経営支援を展開してきました。独自の広告戦略で顧問先開拓を進め、人材採用にも力を入れて陣容拡大を図る傍ら、最近では業務効率化を目指して新たなシステムの導入にも取り組んでいます。
グループ体制で手厚い税務・経営支援
「顧問先を拡大するため、広告掲出エリア、
SEO対策にも力を入れてきた」と久米先生
久米先生は2014年4月に開業し、事務所を椎名町から現在の南池袋に移転されたそうですね。その理由を教えていただけますか。
久米 高治所長・久米会計事務所 (以下、敬称略) 私は事務所を開業した当初、真っ先に事務所の規模拡大を図りたいと考えました。将来を見据えるのであれば、開業地の西武池袋線の椎名町駅から近い副都心の一つで、豊島区の交通・商業・行政の中心地となる池袋エリアに拠点を構えた方が良いだろうと当時の私は思ったのです。といっても、自分を入れて2〜3名の小規模な事務所で、資金は当然足りません。そこで、以前から付き合いのあった栗山 一先生に声を掛け、二人で一緒に現在の南池袋ビルのワンフロアを借りることにしました。これで資金不足もカバーでき、互いの事務所同士で顧問先支援の得手不得手を補い合う関係を築きました。これが後のREALIZE Groupになります。
どのようなグループかお聞かせください。
久米 このグループは民間企業時代に知り合った公認会計士の望月 史郎先生、前出の栗山先生と3人で立ち上げました。税務・会計、社会保険や法務など経営に関わる様々な課題にワンストップで対応できるプロフェッショナル集団、と銘打っています。
そもそも、小規模で単独の事務所には大きな仕事が舞い込みにくいものですが、個々の士業事務所がグループとして手を取り合い、税務にとどまらない総合的な支援体制をPRできれば、それが強みとなり、上場企業の子会社などからも依頼が得られるのではないか、という期待がありました。もちろん、大手事務所よりも料金水準を低めに抑えているので、その点でも大手の会計事務所とも十分に戦えると考えました。
低コストで効果大 独自の広告戦略
実際にREALIZE Groupを立ち上げてみて、その成果はいかがでしたか。
久米 顧問料収入の見込めそうな大手企業からの相談は寄せられるようになったのですが、そうした案件に対応できるレベルの職員が育っていなかったため、多くの業務が私一人に集中してしまいました。その時、職員育成の大切さに気づかされました。職員の能力を伸ばすには規模の大きな顧問先に絞るのではなく、大小様々な企業と交流を持つ必要があると考えるようになったのです。そこで、グループでの手厚いサポート体制は引き続き強みとして打ち出しつつ、中小企業、小規模事業者をターゲットに顧問先開拓を進めていく方向に切り替えました。
具体的にどのような取り組みをされたのでしょうか。
久米 なるべく低コストで効果的な広告戦略に徹しました。当初はSEO対策(検索エンジンで自社のウェブサイトを上位に表示させるための施策)に取り組みましたが、それだけでは継続的にコストがかかる上、顧問先も処々方々に広がってしまいました。まずは事務所と職員の負担を減らすためにも、事務所―顧問先間の移動コストの短縮が最善と考え、豊島区・池袋エリアでの広報活動に的を絞ることにしました。具体的には地域の消火栓広告や野立て看板、電車内広告などに積極的に露出し、とにかく地域の人たちに「久米会計事務所」を検索してもらう機会を増やしたのです。広告の掲出エリアも徐々に池袋駅近郊に狭め、近隣の顧問先を獲得できるよう尽力しました。そして地元の法人会や商工会議所、観光協会、中小企業同友会、また行政書士会など他士業の会合にも顔を出してエリア内での認知度を高め、自然と近隣の事業所からの問い合わせや紹介が入って来やすい流れを作っていきました。昨今では検索エンジンだけでなく、グーグルマップも集客において重要なので、その評価やコメントにも気を配っています。
こうした取り組みを通して、限られた予算で効果的に広告を打ち出していくポイントが分かってきたので、最近ではそのノウハウを顧問先支援にも活かしています。
様々な工夫を凝らし、顧問先を開拓していったのですね。現在の顧問先数はどうなっていますか。
久米 数百件ほどに増えており、規模や業種は様々で、中国語・韓国語が堪能な職員も多いことから、最近は中国・韓国系企業の顧問先が増えています。顧問先の業種も国籍も様々ですが、創業支援では、提携している司法書士や金融機関を紹介することで会社設立から創業融資、口座開設などをサポートし、顧問先で上場支援やM&A支援などが必要になれば望月先生と連携し、相続関係の複雑な案件が入ってきたら栗山先生と連携して事に当たるなど、万全な税務・経営支援に取り組んでいます。
事務所運営のこれから新規事業、新システムを模索
顧問先数の増加に伴い、事務所の人員も増強してきたかと思いますが、人材教育や採用活動についてはいかがでしょうか。
語学が堪能な職員もおり、優秀な職員がそろっています
久米 事務所職員は年々、少しずつ増やしており、現在18名となりました。(2025年3月時点)年齢層は男性が30~60代、女性が20~60代と幅広くなっています。人材教育についてはある程度の規模の顧問先にも対応できるよう、外部の研修制度を活用し、OJTで徐々に人材力の底上げを図っているところです。
採用活動には就活情報サイトやハローワークを活用していますが、求人票に自分たちの事務所の特色や業務内容、福利厚生、職場環境など、細かいところまで丁寧に記載し、できる限り同業他社と差別化を図れるよう意識しています。
事務所の業務効率化を見据えて、新しいシステムの導入を検討されているそうですね。
久米 インボイス制度も始まって、事務所の業務効率化がますます課題となっています。会計処理の手間と時間をなるべく短縮できるよう、AI—OCRなど業務の自動化につながるMJS製品の導入を見据えて、まずはこの4月から新しいスキャナーも取り入れたところです。
また、「かんたんクラウド会計」は当事務所が入力したデータを顧問先から随時確認でき、とても便利です。ただ、顧問先と当事務所との間で仕訳を共有し、リアルタイムでチェックするなど、まだまだ活用の余地はありそうなので、今後MJS担当者にもサポートいただきながら取り組んでいきたいと思います。
事務所運営の面での展望についてもお聞かせください。
久米 池袋で開業してから約11年、顧問先数をひたすら拡大し続けてきたので、一度立ち止まり、これからの運営のあり方を見直そうと考えているところです。
特に、亡くなった父の事務所から顧問先を引き継いだため、業務量が一気に増えてしまいました。業務量を鑑みながら、支援内容の見直しを行い、顧問料の改定を進める他、収益力向上のために新たな事業の柱を確立することも検討中です。また、これまで通りREALIZE Groupの強みを活かして着実に高単価な仕事を呼び込み、それに対応できるだけの職員を育てるための人材教育にも引き続き取り組んで参ります。
さらなるご発展をお祈りしています。
History & Story税理士までのあゆみ
宮城県仙台市に生まれ育ち、その後、埼玉県所沢市に移り住んだという久米先生。お父様が会計事務所(東京都板橋区)を営んでいたことが契機となり、大学生の頃に税理士資格取得に向けた勉強を始められたそうです。卒業後は就職氷河期の渦中にあって、従業員50名規模の中堅規模の税理士法人に入社。その後、20代半ば頃から民間企業2~3社に勤め、様々な事業・業務に携わる中、あらためて税理士として独立開業したいと思うようになり、2014年4月に久米会計事務所を開業しました。
久米会計事務所
- 所在地/
- 東京都豊島区南池袋2-18-2 池袋南ビル2F
- TEL/
- 03-5927-9741
- 設立/
- 2014年
- 職員数/
- 18名
- HP/
- https://www.kume-kaikei.com

