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会計人のリレーエッセイ

2022年02月号

沖縄 桜が咲く冬

山元 知子

沖縄会

沖縄県那覇市山元 知子

 「冬」と聞くと何を想像するでしょうか?

 寒さ、雪、コタツ、温かい料理...。沖縄で生まれ育った私が冬と聞いて思いつくのは「桜」です。

 沖縄で桜といえば、春に咲かずに冬に咲く「寒緋桜」。緋寒桜とも呼びますが子どもの頃の私は「ヒカン桜」と覚えていて、避けたいほどの寒さの桜という意味なのかと思い込んでいました。そのくらい寒い時期に咲き始めるのです。

(上)ヤシの木と桜のショット(左)名護市の桜です (右)那覇市 与儀公園の桜です

(上)ヤシの木と桜のショット
(左)名護市の桜です
(右)那覇市 与儀公園の桜です

 一日の寒暖差が激しい日が続くときれいに開花するといわれていて、寒い日が続くと「あ、これで桜がちゃんと咲くかな」とうれしく思ったりするわけです。

 冬の寒さと桜はセットになっているので、うんと寒い日があってもこれで桜がきれいに咲くならまあいいかと思ってしまいます。そして毎年冬になるたびに職員に同じようなことを話すのですが、優しい職員は毎年初めて聞くような顔で感心してくれるので、私は桜よりも実は彼女に癒されているのかもしれません。

 寒緋桜は気温の低い沖縄本島北部の山間地から咲き始め、だんだんと南下していきます。咲き始めは薄いピンク色、満開を過ぎる頃には色が濃くなり朱色に染まりますが、その鮮やかさは南国らしい生命力に満ちたきれいな色です。

 沖縄の冬は桜が咲くだけでなく、暖かくもあり避寒地として最適ですが、それ以外にも素晴らしいことがあって、それは何かというと「湿度」と「花粉」。

 冬でも湿度の高い沖縄では忌々しい静電気や乾燥に悩まされることはそれ程ありません。また、花粉症をもたらす杉も少ない沖縄では、花粉症を起こすほどの花粉が飛ばないため、花粉症が発症しないようなのです。

 暖かく、潤い、花粉のない沖縄の冬! スポーツの冬でもありプロ野球やJリーグなどのキャンプ地としても活用されています。何に気遣いすることもなく気楽にお出掛けできるようになったらば、ぜひとも皆さんに沖縄の冬と桜を体感していただきたいものです。

 ちなみに、専門学校進学のために上京して、生まれて初めて満開のソメイヨシノを見たときは、「桜吹雪って特殊撮影じゃなかったんだー、本当だったのね」と感動した私でした。

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