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会計人のリレーエッセイ

2022年11月号

我が家のコロナ奮闘記

嘉陽 宗一郎

沖縄会

沖縄県宜野湾市嘉陽 宗一郎

 8月4日の深夜、小学3年生の息子が「気持ち悪い」といって不調を訴えた。体に触れると熱い。コロナだとすぐに直感した。前から楽しみにしていた家族旅行をキャンセルした矢先のことだった。翌日、運よくPCR検査ができた。検査結果はやはり陽性だった。幸い息子は2日間ほどの発熱だけで回復したが、今度は妻が発熱してしまった。抗原検査キットで検査したところ陽性であった(私は陰性)。

 妻が熱にうなされている最中に旧盆を迎えた。義母がウンケージューシー※1を作って届けてくれた。仏壇のある実家は車で5分くらいの距離なのだが外出もはばかられたので、自宅でジューシーをよそって膳に据え、実家に向かって息子と二人手を合わせてお迎えしたことにした。「リモートお盆。そんなのあるのか?」と自分にツッコミながらも済ませたつもりでいたが、夜になってなんとなく気になったので、近くのスーパーで急ぎ足で果物と花を買い、実家の仏壇にお供えした。

 妻が発熱してから慣れない家事の負担が一挙にのしかかってきた。三食の支度、洗濯、息子の家庭学習を見る。特に負担に感じたのは朝食を作る段階から昼食は何を作るかを考えることだった。自分一人なら適当に済ませられる食事も、小学3年生の子どもに適当なものを食べさせるわけにもいかない。

 息子の家庭学習で分からないところを見ていると、こちらが教えているそばからああ言えばこう言う。私も耐えかねてついきつく怒ってしまった。息子は急に押し黙り、目に涙を浮かべながら「がんばりノート」をまた進めた。夏休みなのに外で遊ぶこともできない中、子どもなりに我慢していたのだと思う。きつく言ってしまったことを後悔した。夜になって、妻が寝床から「少し息抜きして来たら?」と言ってくれたので、近くのコンビニまで行ってアイスコーヒーを買い、駐車場の車内で一人息をついた。

 翌日、息子は昨日のことなどまるで覚えていないようにいつも通りだった。この天真爛漫さにいつも救われる。その夜は息子と二人で実家に行って仏壇に手を合わせ、ささやかにウークイ※2をした。

※1 お盆初日に先祖をお迎えするために用意する炊き込みご飯
※2 先祖をお見送りする最終日

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