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特集 SPECIAL FEATURE

今後を見据えた長期的施策

デジタル化が実現する、
年末調整の超合理化と
青色申告特別控除への対応

人手不足が深刻化する中、会計事務所の業務負担は年々重みを増しています。証憑類の収集や進捗管理を「マンパワー」で支える従来のやり方からの脱却が必要です。 そんな中、2027年には法定調書の電子申告義務の対象拡大、最大75万円の青色申告特別控除の創設と、デジタル化を後押しする制度改正が次々と実施されます。 そこで本特集では、MJSのソリューションを活用することで顧問先のデジタル化を促し、年末調整という繁忙期を乗り越える方法と、青色申告特別控除に対応する方法を紹介します。

PART1
年末調整にかかる業務時間をデジタル化で大幅削減

「マンパワー」に依拠する年末調整業務からの脱却

 MJSが実施した調査によれば、年末調整業務の課題は「転記とデータ化の手戻り」「証憑の不備・未提出の追跡」に集約されます。現状、多くの会計事務所では顧問先の年末調整を受託した場合、「マンパワー」に依拠しながら業務をこなしています。しかし、人手不足に加え、申告書・証憑類の収集・整理の手間や進捗管理の属人化も深刻で、受託件数を増やすほど現場の負担が膨らむという状況になってきています。

 そうした中、2027年1月より法定調書の電子申告義務の対象が拡大されることになりました(下カコミ記事参照)。まさにデジタル化を本格的に推進しようとする動きの一環ですが、会計事務所としてはこの機会にデジタル化に踏み切ることができれば、年末調整業務を大幅に効率化することができます。

「Edge Tracker」で年末調整業務を効率化

 年末調整業務の効率化を推進するにあたって、まずお勧めしたいのがクラウドサービスの「Edge Tracker 年末調整申告」です。このツールの最大の特長はマイナポータル連携に対応し、導入後2年目からは前年の申告書データを流用できることです。そのため、導入した顧問先の従業員はPCやスマートフォンで変更点を修正するだけで完了、年末調整時の入力負担を大幅に軽減することができます。また管理側の利便性では、従業員の入力状況を一覧で確認でき、一括で催促メールを送信する機能などが挙げられます。

 なお、e–Taxも前年分を読み込む機能は付いていますが、従業員ごとのデータ管理はできず、全体の進捗確認もできないので、顧問先の従業員が多ければ多いほど、「Edge Tracker 年末調整申告」の価値は高まります。

 MJSの給与システムはもちろん、他社システムとも連携可能なので、既存のシステム環境を最大限活用することもできます。もし顧問先がMJSの「かんたんクラウド給与」を利用している場合は、クラウド上で直接連携し、給与計算から年末調整までを一気通貫で処理できるようになり、データの転記や二重入力の手間、入力ミスなどのリスクを解消できるようになります。

 こうした体制を構築できれば、顧問先側で入力作業が完結し、データも平準化されるので、会計事務所の負担はかなり軽減されます。会計事務所の主な役割は顧問先から上がってきたデータの「最終チェック」と「申告」となり、人手不足の中でもより多くの年末調整業務を受託できるようになるでしょう。

 「Edge Tracker 年末調整申告」には、顧問先が自ら契約するパターンの他、会計事務所が契約した上で、①顧問先に管理権限を付与、②会計事務所の管理下で、顧問先の従業員に入力してもらう、といった運用が可能です。また、クラウドサービスなので短期間での導入が可能です。

 これらの利点は多くのお客様から好評を得ています。北海道の会計事務所(職員規模は10~20名)では「Edge Tracker 年末調整申告」の導入で、従来は数名で担っていた年末調整の管理責任者を1名に集約することができた他、管理責任者が進捗確認に専念できるようになったことで大幅な省力化を実現。今では「もう紙には戻れない」とおっしゃっています。

「給与計算・年末調整AI–OCR入力」も効果大

 もう少しアナログなやり方をご希望の顧問先の年末調整業務には、MJSが昨年リリースした「給与計算・年末調整AI−OCR入力」の活用を推奨します。 前提として、以下の帳票との連携が可能です。

①生命保険料控除証明書
②地震保険料控除証明書
③給与所得の源泉徴収票
④賃金台帳
※対応帳票形式に指定あり

 こちらは顧問先の従業員から預かった紙の帳票をPDF化し、「AI−OCR入力」で読み込むことで入力を自動化できるというサービスになります。なお、各種控除証明書をまとめてフォルダに格納しても、自動判定で各入力欄に自動転記できるという優れものです。

 賃金台帳は読み込めるパターンが4つ(前述の※に該当)のため、帳票の形式を事前に確認いただく必要がありますが、自動取り込みできれば格段に業務効率化を図ることができます。ただ、紙の帳票をスキャンするに当たり、サイズ違いやはみ出しなども多くなることが考えられますので、基本的には事務所側でスキャンし、AI−OCR入力で読み込ませるという業務フローが望ましいのではないかと思います。

 このサービスは初期費用が0円で、利用回数に応じて料金が決まる従量課金制のため、普段は紙の帳票の手入力を基本としつつ、時期的に職員やご家族がインフルエンザに罹患するなど緊急の場合に限り、ご利用いただくといったことも可能です。 日頃から証憑のデータ化に慣れ親しんでいただけていると、緊急時や調査の際に効率よく運用することができるようになると思います。

 

 顧問先のデジタル化を推進する場合、まず経営者が比較的若い会社やITリテラシーが高い会社に打診し、成功事例をつくることをお勧めします。それをモデルケースにすれば、他の顧問先にも提案しやすくなるはずです。また、顧問先への説明や導入にお困りの場合は、ITコーディネータの有資格者を中心とした「MJS DXコンサルティング」という伴走支援サービスも提供しているので、ぜひMJSにご相談ください。

PART2
2027年からの最大75万円控除と「優良な電子帳簿」の実装

75万円控除の創設は節税につながるか

 令和8年度税制改正により、従来の55万円控除(紙申告)が廃止され、青色申告特別控除はデジタル化が前提となる見込みです。その上で最大75万円の特別控除が新設されますが、その適用を受けるには複式簿記とe−Taxによる期限内申告に加え、「優良な電子帳簿(以下、優良帳簿)」の保存または請求書等のデジタルデータ連携が必要になります(図2)。適用は2027年分以後の所得税からで、個人住民税は2028年分以後からとなります。

 控除額が65万円から10万円増えることで、所得税率20%+住民税10%の場合、年間22・5万円(65万円控除の場合は19・5万円)の税軽減効果が得られます。もっとも、控除増による「節税額の差」そのものに注目すると、所得税率40~45%(課税所得1800万円超)の層では年間4万~4万5000円と効果が大きいのに対し、23~33%の層では2万3000円~3万3000円とやや少なくなります(図3)。

75万円控除の適用要件に対応するソリューション

 適用要件の一つである優良帳簿の保存ですが、重要なのはExcelなどで集計しただけの帳簿では75万円控除は適用されず、要件を満たす会計ソフトの導入が必須となる点です。その点、MJSは複数のシステムでJIIMA認証を受け、優良帳簿に対応したものになっています。

 まず、個人の会計事務所の所長先生自身が優良帳簿を受けるには、「ACELINK NX−Pro会計大将」に「電子帳簿オプション」を追加することが必要です。その上で、訂正削除履歴の採用を行います。

 一方、顧問先が75万円の控除を受けるには、図2のパターンがあり、本稿では①と②についてご紹介します。会計事務所が「電子帳簿オプション」を追加することはこちらでも変わらず、その上で顧問先には自計化で適用を受ける場合と、記帳代行で受ける場合があります。

 自計化で受ける場合は、「かんたんクラウド会計」ないしは「iCompass NX会計」の導入が必要です(図4)。優良帳簿には過去データ(原則7年分)の参照が必須のため、「かんたんクラウド会計」をご利用の場合には保存期間を延長するオプションをあわせて導入いただく必要がある点には留意いただきたいと思います。この機会に自計化を推進するのも一つですし、システム導入後も記帳は会計事務所が行い、顧問先には帳簿閲覧用にシステムを使ってもらう、といった運用も考えられます。

 記帳代行で適用を受ける場合は、「ACELINK NX-Pro」の「電子帳簿オプション」で作成した帳簿データを、顧問先側でも表示・印刷できるようにして引き渡す必要があります。

 その際には「メディア作成」か「クラウド保存」という2つの選択肢がありますが、「メディア作成」の場合、DVDやブルーレイなどの物理メディアですと経年劣化のリスクがあるため、MJSでは長期保存に適した「M−DISC(100年保存可能)」を推奨しています。

 対して、災害対策や利便性の観点からは「クラウド保存」のメリットが大きいと言えます(図5)。なお、この「クラウド保存」にもMJSでは主に2つの選択肢を用意しています。

 1つ目はMJSが取り扱っているプロジェクト管理ツール「morningmate」です。本来は外注先を含めた工程管理などに利用するツールなのですが、外注先を無料で招待する仕組みを顧問先に当てはめ、そのファイル共有機能を活用して、電子帳簿データを保管できます(会計事務所は1アカウントにつき月額1200円の支払が必要)。

 2つ目がMJSのグループ会社トライベックが提供している中小企業向けDXプラットフォーム「Hirameki 7」です。この中に「ファイル共有機能」があり、会計事務所と顧問先の「つながる」機能でデータ共有用のフォルダ作成が可能です。こちらは会計事務所だけではなく顧問先にも月額1200円※の費用負担が生じますが、「Hirameki 7」には経営やビジネスを支援するさまざまな機能を備えており、それらが使い放題というメリットがあります。このスキームの注意点として、「つながる」機能を許可した顧問先同士の氏名やプロフィール画像が表示されることが挙げられますので、導入前に触れていただくことをおすすめします。

※グループプラン(5アカウント)の場合は一人当たり960円

 なお、「Hirameki 7」には「ファイル送信」という機能もあり、こちらは顧問先にダウンロード用URLを送信し、顧問先はメールで届いたURLから電子帳簿データをダウンロードし保存する形の運用になります。1ファイル最大5GBまでアップロード可能なので、①大容量ファイルの送る方法がない場合、②資料の送付方法を添付型からダウンロード型に切り替えたい場合、にお使いいただけます。

 ここまで紹介した各システムの導入にはランニングコストがかかりますが、実は控除分で賄える可能性もあります。例えば「かんたんクラウド会計」の利用料は月額約2000円程度からですが、電子化によって控除額が65万円から75万円へ10万円上乗せできれば、「増えた控除分でツールの利用料が十分に賄え、その他の業務効率を上げることができる」という提案が成り立ちます。これを機にぜひ顧問先のデジタル化を推進いただければと思います。

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