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特集 SPECIAL FEATURE

導入を機に業務の棚卸しと属人化の解消を検討

RPAと「ACELINK NX-Pro」で
会計事務所の業務を効率化

人手不足が深刻化する中、ますますRPA(Robotic Process Automation)への注目度が高まっています。 そこで、今号ではオールシエンシアグループのCEOを務めながら、一般社団法人CPA士業RPA BizRobo!協会(愛知県名古屋市)の代表理事としてRPAの普及に努める税理士・佐久間 隆先生にインタビュー。会計事務所におけるRPAの導入方法や今後の展望などについて伺いました。

佐久間 隆 先生

士業RPA BizRobo! 協会 代表理事、 オールシエンシアグループCEO、 税理士

佐久間 隆 先生

2009年、島田修税理士事務所入所。2014年、税理士法人ブレインパートナー入社(医療特化)。2017年、(株)bpコンサルティング設立(ITシステムの導入支援を実施)。2020年、一般社団法人CPA士業RPA BizRobo! 協会設立、ブレインパートナー佐久間会計事務所開業、(株)オールシエンシア設立。2024年、税理士法人オールシエンシア設立。アックスコンサルティング発行の『士業業界ランキング500(2023年完全版)』特別企画「士業業界に影響を与えた100人」に選出。

定型業務を効率化するRPAの特徴と注意点

 私が初めてRPA(Robotic Process Automation)と出会ったのは2019年のことです。税理士向けの勉強会でRPAのことを学び、「繁忙期の業務軽減に活用できるのではないか」と思い立ち、自分たちでも活用してみることにしたのです。そして、国内有数のRPAツールであるBizRobo!を導入し、メーカーと試行錯誤しながら取り組んだところ、初年度で業務時間を500時間も削減することに成功。その後も自分たちの業務フローに合わせたロボットを作成していく中で、「RPAは他の会計事務所でも活用できるが、まだ導入に至るまでのハードルがある」と感じ、20年に一般社団法人CPA士業RPA BizRobo! 協会を設立し、自分たちが培ってきた知見やノウハウを広く提供していくことにしました。

 RPAとは「PC上で行われる定型業務を自動化するソフトウェアロボット技術」で、図1のように「繫忙期の人件費を抑えコスト削減を実現」「正確かつ高速な処理による業務品質の向上」「定型業務の自動化による属人化の解消」といったメリットがあります。よく生成AIとの違いは何かと聞かれることがありますが、生成AIが頭脳なら、RPAは手足といったイメージです。RPAは生成AIのように自律的に判断を伴う業務は行えません。しかし、繰り返し行う業務を正確かつ安定的に自動化することが可能です。会計事務所であれば、「システム登録といった事務所内作業」「電子申告開始届の作成・提出」「開業届などの申請書・届出書の作成」「年末調整のデータ作成」「申請書の作成および納品データの作成」などを自動化することができます。



 定型業務が多いのは会計事務所に限ったことではありません。一般企業においても日々の売上データなどをシステムに入力する際や、人事労務部門が社員の就労データを大量に入力する際などに、RPAは強力なツールとして活躍します。もちろん、税理士以外の士業においても有用で、例えば膨大な労務データを取り扱う社会保険労務士事務所などでも活用が広がっています。ただ、いかに自動化できるといっても、ロボットの設定や元のデータにエラーがあったり、業務フローの中にイレギュラーな要素があったりすると、アウトプットにも当然、エラーが生じてしまいます。便利だからといって全てをRPA任せにするのではなく、最後は人の目でしっかりとチェックし、適宜、修正を加えるようにしなければなりません。

会計事務所におけるRPAの活用・導入方法

 ここからは会計事務所におけるRPAの活用・導入方法をより詳細に紹介したいと思います。まずはなんといっても確定申告に関する定型業務に活用いただきたいと思います。例えば「確定申告のお知らせ」を一つずつダウンロードして、内容を確認し、顧問先フォルダに振り分けるといった定型業務がありますが、これはRPAで自動化することが可能です。同様の仕組みで、公文書をダウンロードし、顧問先フォルダに振り分けるといった定型業務も自動化することができます。

 もう一つ、強くお勧めしたいのが申告書のPDF保存です。最近は電子申告が主流ですが、会計事務所では図2のように申告後のデータをPDF化して、顧問先フォルダに保存したり、納品に適した形式にして送付したりしなければなりません。これらの業務もいとも簡単に一気通貫した形で自動化することができます。



 次に会計事務所がRPAを導入するにあたっての注意点をお伝えします。まずRPAは定型業務の件数が多ければ多いほど時間削減などの効果が出るわけですが、ツールの導入にも費用がかかるので、費用対効果のおおよその見積りを出してから導入を検討した方がよいかと思います。

 また、私たちがすすめるRPAツールはローコードを売りにしているので、システムエンジニアや情報システム担当者がいなくても運用・推進することができます。実際、私たちのところでも、決してITに強いわけではない税理士自身がロボットの開発に携わっている他、経営企画担当者や秘書、新卒社員も開発に取り組んでいます。

 その中でも当社が使用・提供しているBizRobo!※はきわめて簡易なUI(ユーザーインターフェース)になっており、視覚的・感覚的に使用することができるので、未経験者でも意欲さえあれば十分に取り組むことが可能です。

※CPA士業RPA BizRobo!協会が提供する際は月額3万円相当(税抜)から利用可能なプランあり

 また、私たちのサービスでは会計事務所にとって汎用性の高い定型業務をプログラミングしたシェアロボットを追加費用なしで配布しています。これを活用すれば、自分たちでロボットを開発することなく、簡単かつスピーディに業務の効率化を図ることができます。先述した「申告書をPDFで保存する」定型業務についてもシェアロボットがあり、こちらは「ACELINK NX-Pro」にも対応しているので、ぜひ活用いただきたいと思います(図3)。



 ただ、いかに代表者が「RPAで効率化を進めたい」と考えていても、職員の皆様が納得感を持って取り組めなければ、形だけの導入にとどまってしまいます。慣れ親しんだ手順や方法を大切にしたいという思いも、現場としては自然なことだと思います。一方で、会計事務所を取り巻く環境は年々変化しており、限られた人員の中でサービスの質を維持・向上していくためには、業務の効率化は避けて通れないテーマです。RPAは、そうした課題に対して、日々の繰り返し作業を自動化し、職員の皆様がより付加価値の高い業務に集中できる環境をつくるための手段の一つです。まずは一部の業務で試験的に導入し、実際の使い勝手や効果を体感していただくことで、不安や疑問を一つずつ解消していければ良いのではと考えています。

事務所の特性に合わせた独自のロボットの作成

 もっとも、会計事務所ごとに定型業務のフローは微妙に異なるため、RPAの効果を最大化するなら、独自のロボットを作成するのが最も理想的です。ただし、独自のロボットを作成するには業務の標準化と細分化が必須になります。

 例えば、担当者ごとに「接待費」と「接待交際費」の使い分け方が違ったりすると、ロボットはそうした違いを正確に判断できず、エラーを起こしてしまいます。図4の「導入に向けた取り組み」でもご紹介しているように、しっかりと業務の棚卸しと標準化に努めていただくきっかけにしてもらえたらと思います。



 また、細分化がうまく進められない場合はAIの力を借りるのも一案です。AIを活用すれば、業務の細分化は比較的スムーズに進められるはずです。「AIが進化したら、RPAは不要になるのでは」という声を聞くことがありますが、私はAIとRPAは競合するものではなく、補完し合うものだと考えています。AIはまだ既存の税務会計システムを完全に運用できる段階にはありません。だからこそ、現段階では「AI×RPA」とすることで、自動化の範囲を広げることが重要だと言えます。

 もちろん、それでもRPAの運用に不安を覚える方も多いかと思います。その場合は私たちのサポートプランを選択いただければ、フルサポートに対応する他、オリジナルのロボット作成なども代行いたします。

 会計事務所業界では人手不足がますます深刻化していくことが予想されます。そうした中で、定型業務の自動化は効率化の面でも、付加価値向上の面でも欠かせないポイントになります。しかし、RPAの浸透率はまだ決して高くはないので、引き続き普及に尽力し、会計事務所だけでなく、士業全体のレベルアップに寄与できればと考えているところです。

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