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四国会企画

2022年09月号

足摺の生態系をリアルに再現した
高知県立足摺海洋館「SATOUMI」

四国最南端の地「足摺岬」を擁する高知県土佐清水市。その竜串エリアに位置し、2020年7月にリニューアルオープンしたのが高知県立足摺海洋館「SATOUMI」です。目の前に広がる美しい海の中を体感できる竜串湾大水槽や外洋と深海に生息する海洋生物の展示、プロジェクションマッピングで演出された「足摺の原生林」エリアなど、足摺宇和海国立公園の豊かな自然を満喫できる展示内容になっています。その楽しみ方やこの地域ならではの海洋特性、アクティビティなどについて、同館総務企画課にご紹介いただきました。

2020年にリニューアルオープン足摺の原生林から太平洋に至る生態系をリアルに再現

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足摺の原生林を再現。足摺半島にはスダジイをはじめとする常緑広葉樹を中心とした巨木が鎮座する森が広がっており、SATOUMIの展示は山や川、海を再現している

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竜串湾を望んで建つ海洋館SATOUMI。右手に海底館、左手には竜串・見残しの奇岩が見える

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高知県立足摺海洋館「SATOUMI」の外観。施設は2階建てで展示は大きく6つのエリアに分かれている。常設水槽70基。開館時間9:00~17:00、年中無休

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 土佐清水市にある高知県立足摺海洋館は、土佐清水市の竜串地域が1972年に足摺宇和海国立公園に指定されたことを機に1975年に開館、以来300万人を超えるお客様が訪れてくれた地域を代表する観光施設です。しかし、開館からおよそ40年が経過した2013年の耐震検査により、耐震基準が満たされていないことが判明。また、入館者数の減少傾向が続き、観光の核としての役割や生涯学習の場としての機能が果たせない状況になっていたことから、いろいろな場での議論を経た後、竜串地域、ひいては高知県西部の観光を牽引する施設として、2020年7月に足摺海洋館「SATOUMI」としてリニューアルオープンを果たしました。

 そんな当館がある土佐清水市の沿岸は暖流(黒潮)の影響を強く受けており、緯度の割に海水温が高いのが特徴です。そのため、海洋館の目の前の竜串湾にはサンゴ礁が広がり、熱帯・亜熱帯の魚類が多く見られる多様性に富んだ海となっています。そして、その生態系をリアルに再現した展示水槽では竜串をはじめとする足摺周辺海域はもちろん、高知県東部の室戸沖などに生息する生き物も展示中です。その数は約350種、1万5000点に達しており、ウミウシやクラゲなどの常設展示も実施しています。

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展示コンセプトは「豊かな海は豊かな森が育む」

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かつて日本に広く生息していたニホンカワウソは2012年に絶滅種に指定。ここではユーラシアカワウソを展示している

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竜串湾大水槽。サンゴと色鮮やかな熱帯魚やイシダイなどの温帯性の魚を展示。海洋館の目の前の竜串の海には108種ものサンゴが生息しており、シコロサンゴ大群落をはじめとする「見残湾の造礁サンゴ」は高知県の天然記念物に指定されている

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桜浜をはじめ足摺・竜串の海岸にはアカウミガメが毎年産卵にやってくる砂浜がある。こちらの展示はアオウミガメ

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ショップ併設のカフェ・カレント

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ショップには高知県西部の土産品が並ぶ

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ウミウシやクラゲの展示水槽

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外洋水槽。マグロやカツオ、サバなど回遊魚と呼ばれる魚たちが暮らす外洋は、黒潮が生み出す豊かな恵みの象徴。多面的な水槽で、清水サバ(ゴマサバ)、アジ、サメ、エイの仲間を観賞することができる

 当館は「海と自然のアドベンチャーミュージアム」「躍動する命に出会う場所」(あらゆるいのちは海とつながり、海と生きている)といったキャッチフレーズを掲げていますが、これには「海洋館だけではなく、施設周辺の自然もミュージアムの一部として捉えていこう」という思いを込めています。

 その思いは展示内容にも表れており、「豊かな海は豊かな森が育む」というコンセプトの下、展示に関しては足摺の原生林から竜串湾、足摺の海に至る水の流れを再現しています。太平洋だけでなく、森や川の生態系をつぶさに観賞できるとあって幅広い層に好評で、リニューアル以降、2022年6月時点で34万5376人ものお客様にご来館いただくことができました。

 また、館内にあるショップではオリジナルグッズや高知県西部の土産品などを取り扱っている他、併設のカフェ・カレントではカレーやホットドッグなどの軽食を提供しています。コロナ禍にあっては新型コロナウイルス感染症対策として職員の毎朝の検温や手指の消毒、入館時の検温器・消毒器の設置、繁忙期の入館者数制限、扉の定期的な開放、換気装置による館内の常時換気などを実施しているので、安心してご来館いただければと思います。

 足摺の魅力がギュッと詰まった足摺海洋館「SATOUMI」。まずはこの施設で一帯の自然の概要を学んだら、今度は実際のフィールドに身を投じてほしいと思います。当館の周辺には自然を満喫できるアクティビティが満載、磯遊びはもちろん、グラスボートや海中展望塔、シュノーケリングなどを楽しむことができるので、ぜひとも全身で大自然を堪能してみてください。

グラスボートからは海底のサンゴ礁と熱帯魚が目の前に

グラスボートからは海底のサンゴ礁と熱帯魚が目の前に

赤と白にペイントされた海中展望塔「足摺海底館」。らせん階段を降りた先にある部屋には丸い窓があり、そこから海中を眺めることができる。また、高さ10mの展望室からは雄大な太平洋を一望できる

赤と白にペイントされた海中展望塔「足摺海底館」。らせん階段を降りた先にある部屋には丸い窓があり、そこから海中を眺めることができる。また、高さ10mの展望室からは雄大な太平洋を一望できる

竜串湾大水槽は水面からも生き物たちを眺めることができる。水槽と海がつながっているように見える人気の撮影スポット

竜串湾大水槽は水面からも生き物たちを眺めることができる。水槽と海がつながっているように見える人気の撮影スポット

竜串・見残しの海岸に広がる「奇岩」。見残し海岸は風や波の浸食でできた奇岩の宝庫で、地質の博物館とも呼ばれている

竜串・見残しの海岸に広がる「奇岩」。見残し海岸は風や波の浸食でできた奇岩の宝庫で、地質の博物館とも呼ばれている

ジョン万次郎資料館

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貝類の博物館「海のギャラリー」。約3000種50000点の貝を展示

貝類の博物館「海のギャラリー」。約3000種50000点の貝を展示

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