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中国会企画②

2019年02月号

萩観光の新たな拠点
「萩・明倫学舎」で江戸文化の
面影と明治維新の軌跡をたどる

 吉田松陰も教鞭をとり、多くの幕末の志士を輩出した萩藩校明倫館。その跡地に立ち、2014年まで授業が行われていた旧明倫小学校校舎が、17年に新たな萩の観光起点「萩・明倫学舎」に生まれ変わりました。さっそく「萩・明倫学舎」の概要と萩の魅力について、萩市役所萩・明倫学舎推進課を取材しました。

萩市は三方を山に囲まれ、日本海に面した風光明媚な人口およそ4万6000人の山口県を代表する観光都市です。江戸時代から幕末にかけて毛利氏が治めた萩藩の本拠地となり、その城下町として栄えました。かつてここには、日本三大学府の一つに数えられた萩藩校「明倫館」がありました。吉田松陰が教鞭をとり、高杉晋作、井上馨、桂小五郎、乃木希典らが学び、明治新政府に多くの政治家を輩出しました。

その藩校明倫館敷地内に木造校舎としては日本最大級の明倫小学校が建設されたのは1935年(昭和10年)のこと。以来、2014年(平成26年)まで使用されていました。現在は隣接地に移転されましたが、ピーク時には3000人もの生徒が通っていたそうです。この明倫小学校の移転計画に合わせて、旧校舎4棟のうち2棟は観光施設および市民のイベント・交流の場として整備・活用されることになり、2017年3月、「萩・明倫学舎」がオープンしたのです。

この萩・明倫学舎の本館(文化庁登録有形文化財山口県第1号)では藩校明倫館から旧明倫小学校までの300年の歴史を紹介しています。本館の特徴的な建築構造を紹介する「天井裏見学室」「萩藩校明倫館展示室」では、全国の諸藩校と比較しながらその歴史や位置づけを知ることができます。「復元教室」「復元校長室」は明倫小学校の頃に使用されていた教室や校長室を復元したもので、当時の面影を感じとることができます。また「ジオパークビジターセンター」では萩一帯の大地の成り立ちを紹介、さらに「観光インフォメーションセンター」では萩の歴史・文化・自然など市内観光のあらゆる情報を提供しており、萩・明倫学舎館内の案内(無料)もこちらで受け付けています。この他、本館内にはお土産ショップやカフェ・レストラン「萩暦」もあるので、ゆっくりと滞在してみてください。

2号館は「幕末ミュージアム」「世界遺産ビジターセンター」で構成されています。「幕末ミュージアム」では当時の様子を肌で感じていただけるように「地理」「医学」「天文」「幕末動乱」など8つのテーマに沿って、漆塗りの望遠鏡、玩具から鉄砲、大砲、時計、陣羽織など、江戸?明治時代に実際に使われていた約600点もの資料を展示しています。また、2号館内の「世界遺産ビジターセンター」では、2015年に世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」に登録された萩市の5つの遺産(「萩反射炉」「恵美須ヶ鼻造船所跡」「大板山たたら製鉄遺跡」「萩城下町」「松下村塾」)などを紹介しています。

「維新の故郷」である萩市には、この他にも萩博物館、松陰神社、桜の名所にもなっている萩城跡指月公園など、志士ゆかりの場所や見どころがたくさんあります。また、萩焼や新鮮な魚介類、夏みかんといった工芸品や食も魅力的です。ぜひ足を運んでみてください。

萩・明倫学舎本館

萩・明倫学舎本館

本館2階の廊下。端から端まで90mもある

本館2階の廊下。端から端まで90mもある

昭和30年代の旧明倫小学校の教室を復元した「復元教室」

昭和30年代の旧明倫小学校の教室を復元した「復元教室」

カフェ・レストラン「萩暦」で人気のランチ

カフェ・レストラン「萩暦」で人気のランチ

2号館「幕末ミュージアム」には600点もの資料が展示されている

2号館「幕末ミュージアム」には600点もの資料が展示されている

萩藩校「明倫館」

1719年に5代藩主・毛利吉元が萩城三の丸に創建。130年後の1849年に現在の場所に拡大移転した。現在も敷地内には「南門」、槍・剣道場「有備館」など当時の施設がそのまま残されている。

[DATA]
萩・明倫学舎●山口県萩市江向602(萩市役所前) TEL:0838-21-0304 開館:9:00~17:00 観覧料金:本館は無料、2号館「世界遺産ビジターセンター・幕末ミュージアム」は大人300円、高校生200円、小・中学生100円ほか
カフェ・レストラン「萩暦」●レストラン11:00~15:00、18:00~21:00(予約でのみ営業)/カフェ11:00~17:00
アクセス●JR新幹線新山口駅から直行バス「スーパーはぎ号」で60分、JR山陰本線萩駅からタクシーで10分

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