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事務所 訪問

2019年02月号

桒田三秀税理士事務所 写真

「フェイス・トゥ・フェイス」
顧問先や職員との信頼関係を構築

広島県福山市に事務所を構える桒田三秀税理士事務所は、「お客様の発展と成功を最大の目標とする」ことをモットーに、地元企業に貢献し続けています。さっそく、所長の桒田 三秀先生に事務所のこれまでの歩みや取り組みについて伺いたいと思います。

親しみやすさと丁寧な仕事ぶりが特徴

桒田先生は大学院を卒業して税理士資格を取得した後、広島県尾道市の会計事務所で実務経験を積まれたそうですね。

桒田 三秀所長(以下、敬称略) 尾道の事務所では2年ほど実務経験を積み、税理士登録ができるようになったら独立しようと考えていたのですが、税務・会計業務の現場であくせく働いているうちに気づけば12年半ほど経過していました。多くのことを学べましたし、本当にあっという間でしたので、仕事的には充実した日々だったのだと思います。

地元である福山市に戻られてからは、どのような生活を送られたのでしょうか。

桒田 1996年に両親が営んでいた縫製工場にあった8畳間の和室を借りて開業しました。開業時から知人などのツテで顧問先は数件あったのですが、それでも収入が少なく、どうしたものかと思い悩んでいました。しかし、地道に誠実に仕事に向き合い続けたのが報われたのか、徐々に顧問先が新たな顧問先を紹介してくれるという好循環のサイクルが生まれ、経営状態も上向いていきました。そして、98年に縫製工場の目の前の土地に事務所を設け、職員を雇用できるようになりました。

事務所の特色について教えてください。

桒田 最大の特色は職員の親しみやすさです。ありがたいことに当事務所の職員たちは皆、気さくで親しみやすい雰囲気を持っており、顧問先からさまざまな課題を自然に引き出し、その課題に対して、親身になって接しています。こうした職員たちの〝対応力〟こそが当事務所の最大の強みになっていると思います。

実務に関してはいかがでしょうか。

桒田 もちろん、そうした〝対応力〟を成果に落とし込むには丁寧で正確な実務が欠かせません。そこで、当事務所では業務ごとに品質管理の担当を設け、私がチェックする前に入念なチェックを行ってもらうようにしています。おかげで、私がチェックする時にはほとんどミスがない状態になっています。

税理士3人体制でサービス領域を拡大

「わたしたちは、お客様の発展と成功を最大の目標とします」という経営理念と「分析・予測・提案」という運営方針を掲げられていますね。

桒田 地元の中小企業家同友会に所属していた頃に、他の会員たちから刺激を受け、自分でもこうした経営理念などをつくってみることにしました。そこでまず、お客様と共に成長したいという思いを経営理念に盛り込み、そのための具体的な取り組みを運営方針として定めたのです。

具体的にどのような取り組みを実践しているのですか。

桒田 申告業務をこなすだけでは顧問先の経営改善につながらないので、そのデータを分析し、予測し、提案することに注力しています。実際、当事務所では顧問先との綿密なやりとりと顧問先を訪問することに重きを置いており、職員はもちろん、私自身も頻繁に顧問先のもとを訪ねるようにしています。そうすることで経営者は私たちを信頼してくれるようになりますし、現場を見ることで私たちも職場の雰囲気、設備投資の状況などを肌で感じることができ、その後のアドバイスに生かすことができますから。  ちなみに、私は多い日だと1日に7~8件、顧問先のもとを訪問しており、自動車の走行距離は1年で約2万5000㎞にもなっています。昨今、AIの台頭によって税理士の仕事がなくなるのではないかといった声を聞くことが増えてきましたが、このような「フェイス・トゥ・フェイス」の関係はAIに取って代わられるものではありません。また、そうした人間関係の中から引き出すことができる事業承継や相続といった業務に関しては、まだまだ税理士の知見が求められます。そのような付加価値の高い領域を広げていくことが、事務所を存続させていく上では不可欠になってくるのではないでしょうか。

そういった取り組みを実践していくと、所長不在の頻度が高くなるかと思います。その際、自身のスケジュール管理などはどのように行っているのですか。

桒田 私のスケジュールはネット上で職員全員に共有されており、職員はそれをチェックしながら、適宜、新たなアポイントを入れたりしています。また、事務所内のマネジメントについては副所長の守永 典史先生が担ってくれており、私は安心して外回りに出ることができています。その効果は絶大で、守永先生が8年ほど前に入所してくれてから顧問先の満足度は急上昇し、その数は3倍近くにまで増えています。

守永先生とはどのようなご縁があったのですか。

桒田 守永先生は大学と大学院時代の後輩です。もともとは故郷の熊本県で会計事務所を経営されていたのですが、いろいろなタイミングが重なり、当事務所に迎えることができたのです。

現在はご息女の舘野 美絵先生も税理士として事務所で勤務されているそうですね。

桒田 娘は3年ほど前に税理士資格を取得し、育児休暇を経て昨年、税理士登録を果たしました。後継者ができたのはもちろん、税理士が3名体制になったことで、娘を中心にコンサルティング部門に力を入れられるようになったのも良かったですね。2019年からは娘と担当職員が検証を重ねて生み出したコンサルティングサービスを提供できるようになる予定なので、今後の展開が今から楽しみです。

写真1

昨年1月に新築したばかりの真新しいオフィス

顧問先と職員の満足度を高め続ける

顧問先との信頼関係の構築という点では、年に一度、「三秀会」という研修会を主催されているそうですね。

桒田 開業以来、私たちや顧問先のレベルアップを目指し、毎年、経済や金融などの専門家を招いて講演いただいています。もちろん、その後は顧問先同士の交流を深めるための親睦会も実施しており、私たちと顧問先、そして顧問先同士の交流を促す上で役立っています。

その他、顧問先との信頼関係を構築する上で心がけていることはありますか。

桒田 日常的に顧問先が経営している飲食店や美容室などを利用するようにしています。そうすれば、顧問先の信頼を得ることができるだけでなく、顧問先のサービスのクオリティを確認することができますから。もちろん、時にはその延長線上で大規模な仕事を依頼することもあります。例えば事務所が手狭になったことから、2018年1月に両親の縫製工場を大幅に改装し、新事務所にしたのですが、その施工も複数の顧問先に部分発注しました。

舘野 美絵先生、守永 典史先生、桒田 三秀先生

(左)次代を担う舘野 美絵先生、(中央)8年前から事務所に加わり、その成長に貢献されている守永 典史先生、(右)「分析・予測・提案」を掲げ、事務所を運営されている桒田 三秀先生

1階と2階の一部が吹き抜けになっていて実に開放的ですね。

桒田 新事務所にはその他にもいろいろなこだわりを盛り込みました。例えば、私のデスクは事務所の1階の奥の方にあるのですが、そこは16年に亡くなった母親がいつも座って仕事をしていたスペースとなっています。あえてそのスペースをデスクにすることで、いつも仕事に真剣に打ち込んでいた母親のことを思い出しながら仕事に臨むようにしたのです。

職員の満足度を高めるために取り組んでいることはありますか。

桒田 できるだけ楽しく仕事に取り組んでほしいので、職場環境の向上はもちろん、2年に1回、3班に分かれて、社員旅行も行っています。直近では沖縄や屋久島に行きましたが、行き先は職員の希望を聞いて決めるようにしています。また、事務所の屋上は今、太陽光パネルが設置されているだけなのですが、近いうちに顧問先に依頼してテラスを設置し、職員たちとバーベキューや花火鑑賞ができるようにしたいと思っています。こうした取り組みが奏功しているのかは分かりませんが、職場の雰囲気は明るく、ありがたいことに自ら退職を申し出てきた職員はこれまで一人もいません。

本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします。

写真3

オフィスの1階と2階をつなぐ吹き抜け

写真4

所長のデスクの脇には趣味のギターが3本飾られています

税理士までのあゆみ

ご両親がもともと現在の敷地で縫製工場を営んでいたという桒田先生。大学在籍時は工場を継ぐことも考えていたそうですが、父上から「税理士になった方がいいのではないか」とアドバイスされ、税理士への道を歩むことに。大学卒業後は大学院に進学し、税理士事務所で働きながら勉学にいそしんだといいます。また、当時は一時、所属していた大学院の附属高校で現代社会と簿記、公民といった科目の教鞭を執っていた時期もあったそうです。そして、28歳の時に大学院の修士課程を修了し、それと同時に税理士資格を取得しました。

桒田三秀税理士事務所

所在地
広島県福山市北美台13-5
TEL
084-923-5504
設立
1996年
職員数
21名
URL
http://kuwada-tax.com/

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