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事務所 訪問

2022年08月号

税理士法人恒輝 八戸経営会計事務所 写真

事務所全体で明るい雰囲気を醸成し
職員や顧問先に「安心」を提供し続けたい!!

国内有数の漁業の町として知られる青森県八戸市。税理士法人恒輝 八戸経営会計事務所は創業1963年の老舗会計事務所で、 長年にわたって地域の法人・個人の経営や税務会計業務をサポートし続けています。 そこで、2代目の西川 弥生代表社員にこれまでの歩みや昨今の取り組みについて伺いました。

地域や人、そして職員を意識した事務所経営を展開

税理士法人恒輝 八戸経営会計事務所の前身は父上の個人事務所だったそうですね。

西川 弥生代表社員(以下、敬称略) 父は岩手県水沢市(現奥州市)出身で、もともとは国税局の職員だったのですが、早いうちに決意をして税理士となり、32歳で母の実家がある青森県八戸市に事務所を開業しました。それが当事務所の前身です。

西川先生はいつ頃、父上の事務所に入所したのですか。

西川 「外の釜の飯を食うことは大事」という先輩の助言で、しばらくは会計事務所に勤務したり、派遣に登録して大企業の経理で働いてみたりしました。そして、36歳の時に八戸に戻り、父の事務所で働き始め、税理士登録をしました。

東京での業務と八戸との業務にギャップはありましたか。

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昨年12月に完成した新しいオフィスです

西川 東京の顧問先は法人でした。地方ですと、社長が給与のほかに不動産所得があって、所得税の申告をすることもありますが、東京の都心の事務所でしたので、給与所得だけで年末調整で済むもので、所得税の申告書は書いたことがありませんでした。
 八戸の顧問先は、法人のお客様でも、個人の給与あり、不動産所得あり、年金あり、医療費控除ありで、所得税も含めて関与するお客様です。また、東京では、所長が若かったこともあり、相続税の案件が発生することはありませんでした。しかし八戸に来てからは、法人の利益、個人の所得、最後の相続と、顧問先の一生を見る必要があることを知りました。

東京での業務経験が役立ったことはありましたか。

西川 東京で最初に働いた事務所の先生は非常に豪快な方で、その経営方針や職員に対する接し方には実に学ぶところがありました。その一つが給与面での対応です。職員一人ひとりの仕事ぶりを正確に把握し、成果を上げている職員にはしっかりと還元するというスタンスをとっており、私の給与についても1年も経たないうちに大幅に引き上げてくださいました。こういった素晴らしい手法については、現在の私の事務所経営にもできるだけ取り入れるようにしています。

父上にはどういったことを学びましたか。

西川 父には地域の人たちと交流することの大切さを学びました。父は地元の商工会議所やライオンズクラブ、法人会などさまざまな団体に所属し、それぞれ重要な役職を担っていました。振り返ってみると、その根底には「地域に貢献したい」という思いがあったと思いますし、実務に関しても全ての人の相談に親身に対応していました。ある時、生前の父をよく知る人から「あなたのお父さんはたびたびコーヒーをご馳走してくれて、いろんな話を聞いてくれた」と声をかけていただいたことがありますが、そういった寄り添い方が父の持ち味だったのだと思います。おかげで、私も自然な流れで地域や人との関係性を大切にするようになり、八戸に戻って以降は各団体の女性部などに所属している他、積極的に地域貢献活動に取り組んでいます。

父上の教えを守りながら中小事業者に寄り添う

現在の事務所名を拝見しますと「税理士法人恒輝 八戸経営会計事務所」ですが、税理士法人恒輝との関係性はどのようなものなのでしょうか。

西川 もともとは父と私で税理士法人八戸経営会計事務所を経営していたのですが、父が2015年に亡くなってからは税理士が私一人になってしまったため、しばらく西川弥生税理士事務所として運営していました。しかし、それでは私に何かあった時に顧問先や職員を守ることができません。そこで、漠然と「他の税理士法人や会計事務所と一緒になったほうが良いのではないか」と考えていたところ、ありがたいことにさまざまな方からお声がけいただき、最終的に東京に拠点を持つ税理士法人恒輝に加わることにしたのです。

他の税理士法人に参画するにあたって、何か変化はありましたか。

西川 現状、大きな変化はありません。その一方で、社員研修や旅行などで税理士法人内の他事務所と一緒になる機会が増えたことで、職員たちが自分たちの日頃の業務体制や職場環境を客観視できるようになった側面があるかもしれません。一例を挙げますと、当事務所ではこれまで社員旅行で国内外に行くなど福利厚生に力を入れてきたのですが、あらためてその素晴らしさを実感してくれているようです。

「熱意」「創造」「感謝」という社訓、そして「基本は法律」「進化する仕事」「期限の利益」「善管注意業務」といった行動指針を掲げられていますね。

西川 いずれも父が策定したものであり、今も当事務所が大切にし続けていることの一つです。また、そういったモットーの下、当事務所では「会計顧問サービス」という方針で顧問先支援にあたっています。これは年に1回の決算対応だけでなく、顧問先の自計化を推進しその経営指標を読み解くことで、経営改善のためのアドバイスも行うという主旨のもので、ご要望をいただいた顧問先に対しては規模や業種、設立時期を問わず、この指針に則ったサービスを提供するようにしています。

顧問先の業種などに特色はありますか。

西川 八戸漁港が国内有数の漁獲量を誇ることもあって、漁業や水産加工業に関連する事業者もありますが、全体的には業種偏りなく担当しています。あと、先述したように中小事業者が多く、東北地方の商工会議所の中でも4番目に会員が多い地域となっています。

そういった中小事業者をサポートする上で大切にしていることがあればお聞かせください。

西川 代表者の性格や個性とこちらの担当職員の相性が良いのかどうかといった点には注意を払うようにしています。いかに良質なサポートを提供していても、相性がいま一つというだけで末永いお付き合いにならない可能性もあるので、何かしらの予兆を感じたら、担当を交代するなど先回りして対応するようにしています。

ワンストップサービスにも力を入れているそうですね。

西川 中小事業者の中には税理士以外の士業と接点を持っていない方もいますので、弁護士や司法書士、社会保険労務士などとネットワークを組み、地域の駆け込み寺として即座に幅広い質問に対応できるようにしています。

所長が率先して取り組む明るい雰囲気づくり

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さまざまなことを糧としながら地域の事業者を
支援する西川 弥生先生

一般社団法人日本経営コーチ協会が認定している「経営コーチ認定事務所」でもあるそうですね。

西川 私は2008年に日本経営コーチ協会が設立した際の立ち上げメンバーの一人でもあり、当初から協会が認定の経営コーチとして長年にわたって顧問先と向き合ってきました。経営コーチにはリーダーシップやマネジメントといった経営の知識はもちろん、経営者に寄り添い、伴走しながらアドバイスするスタンスが求められるのですが、まさにそれは父や私が大切にしてきた中小事業者との接し方でもあります。ただ、事務所全体でそのスタンスを維持していくには、職員にもその考え方を理解してもらう必要があるので、今も月に1回くらいのペースで有志を募り、私と一緒に日本経営コーチ協会の研修を受講してもらっています。

その他、事務所経営にあたって注力されていることはありますか。

西川 社内研修の一つとしてMICC研究所の佐藤 茂則先生に研修してもらっています。あらためて代表である私の精神状態が事務所や職員一人ひとりの雰囲気に影響すること、そしてそれが顧問先にも影響することを学んだので、今は私自身が率先して明るく、楽しそうに仕事に取り組むようにしています。おかげで、最近は職員の自主性も向上してきていますし、事務所の雰囲気もこれまで以上に明るくなってきているように思います。

昨今、顧問先からはどのような相談が増えていますか。

西川 相続税の対象金額が引き下げられたことで、多くの中小事業者から相談がくるようになりました。あと、最近の動向を見ると、中小事業者間でのM&Aが活発化している印象があります。しかも、最近はインターネットなどで手軽にM&Aの情報を得られることもあってか、自ら売り手・買い手を見つけてくるケースが目立っています。コロナ禍による経営悪化、経営者の高齢化などを背景に、今後もさらにこの傾向は顕著になっていくと思いますが、中小事業者とはいえ、できるだけ事前にデューデリジェンスなどを行ったほうがよいので、今後はそういった動向にも注意を払い、できる限りM&Aにまつわるリスクを軽減できるように努めたいと思います。

今後の展望についてお聞かせください。

西川 無理に業務を拡大することなく、職員や顧問先に「安心」を提供し続けられる事務所を目指したいと思っています。その一環として、コロナ禍・ウクライナ危機を端緒とする物価高騰に関しても、職員に特別手当を支給するなどして、安心して働ける環境づくりを進めていきたいと考えています。

本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします。

税理士までのあゆみ

西川先生の父上は1963年から税理士として活躍されていましたが、当の西川先生ご自身は税理士になろうと思っていなかったといいます。ところが、高校2年生の時の担任から「お父さんの会計事務所は誰が継ぐのか」と聞かれたのを機に、「いつかは事務所を承継した方が良いのではないか」と考えるようになり、大学では経営学を専攻して簿記などを学ぶことに。その後、大学のゼミの先生からのアドバイスで大学院に進学し、資格を取得します。先輩税理士から「実家だけでなく、他の会計事務所の業務内容なども見たほうがいい」とアドバイスされたこともあって、10年近く東京の会計事務所で勤務した後に八戸市に戻り、36歳の時から父上と一緒に働き始めることになったそうです。

税理士法人恒輝 八戸経営会計事務所

所在地
青森県八戸市小中野3-11-10
TEL
0178-22-8281
設立
1963年
職員数
16名
URL
http://www.hachikei.jp

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