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事務所 訪問

2021年08月号

税理士法人アースシンシア 写真

内部統制やM&Aに関するサービスを
福岡市と大川市で地域に寄り添いながら展開

福岡県の福岡市と大川市の2カ所に拠点を設け、通常の税務会計業務の他、 内部統制支援やM&A支援なども手掛けている税理士法人アースシンシア。 その先進的な取り組みとこれまでの歩みについて、代表社員の岡崎 弘先生に伺いました。

ITや情報処理のノウハウを生かし内部統制支援などにも注力

税理士法人アースシンシアは福岡県の福岡市と大川市に拠点を設け、それぞれ地域に密着した顧問先支援を展開されているそうですね。まずは歴史についてお聞かせいただけますか。

岡崎 弘代表社員(以下、敬称略) 私の父である岡崎 信一郎が1982年に大川市で開業した岡崎税理士事務所が前身となります。その後、私が新日本監査法人東京事務所を経て2003年に福岡市で岡崎公認会計士事務所を開業し、09年にこれらを統合する形で税理士法人アースシンシアを立ち上げました。

東京から福岡に戻られた当初はさまざまなギャップを感じることも多かったのではないでしょうか。

岡崎 大手監査法人の看板もないし、地方では監査業務よりも、圧倒的に税務会計業務が求められるので、当初はなかなか思うように事業を進めることができませんでした。

父上のもとで働くという選択肢もあったのではないでしょうか。

岡崎 もちろんそうなのですが、まずは自分で試行錯誤しながら独り立ちしたいという思いがありました。それで父の仕事をフォローしながら、自分の仕事もできる環境ということで、福岡市に事務所を設けたのです。

どのような独自性を打ち出していったのですか。

岡崎 私は子どもの頃からコンピューターに興味があり、大学でも情報処理による企業分析などに取り組んできました。その興味は当時も今も変わらず、一貫してITや情報処理のノウハウを生かした顧問先支援にも取り組みたいと考え続けています。

具体的にはどのようなサービスを提供しているのでしょうか。

岡崎 中小企業の中にはITによる業務の効率化をうまく進められていないところがあるので、そういった企業にはMJSと協力しながらシステムやツールの導入を支援するようにしています。
 また、そういったシステムやツールを活用した内部統制支援にも長年にわたって取り組んでいます。業務の細分化や見える化を実施した後に、どの工程を人が担い、どの工程をコンピューターや機械が担うのかといったことを最適化していき、内部統制を実現するというサービスです。

業務全体の最適化を図っていくわけですね。

岡崎 まさにその通りです。システムやツールを導入して一部の工程を部分最適化するだけでなく、業務内容をしっかりと分析することで、全体最適化を図ることがポイントになります。そのために欠かせないのはヒアリングです。経営者と膝を突き合わせて話し合い、その企業が向かうべき方向性や課題などを抽出した上で、現場の業務の最適化を検討していかなければなりません。

そういった内部統制支援はどのように提案していくのですか。

岡崎 実は記帳代行や決算書の作成といった通常の税務会計業務が提案のきっかけになります。それらの業務を通して、私たちは顧問先の業務や資金の流れを把握することができるわけですが、それを分析することで改善プランを想定できることがあるのです。そうした場合には顧問先に改善できる可能性があることを具体的に示し、内部統制を促すようにしています。

祖父の代からの縁を重んじながら大川家具の活性化を目指す

ところで、税理士法人化したのには、どういったきっかけや背景があったのでしょうか。

岡崎 父が高齢になってきたこともあって統合の道を模索していた折、たまたま日本公認会計士協会の研修で、新日本監査法人時代の同僚だった諏訪原 功一郎先生と再会したのが一つのきっかけになりました。公認会計士試験に合格した時期も新日本監査法人を退職した時期も同じだったこともあってすぐに意気投合、そして事務所の規模拡大や税理士法人化について相談したところ、合流していただけることになり、私と父と諏訪原先生の3名の有資格者を中心に税理士法人アースシンシアを設立したのです。

写真1

ゆとりを持ったレイアウトが組まれている大川事務所
のオフィス

アースシンシアという名称にはどのような意味があるのですか。

岡崎 アースシンシアは「Earth」(地球)と「Sincere」(誠実な)をつなげた造語で、グローバルな視点を持ちながら、誠実に地域に貢献し続けたいという思いを込めました。

先生と父上の出身地である大川市の特徴についてお聞かせください。

岡崎 大川市といえば「大川家具」というブランドで知られる通り、日本一の家具の産地であり、当事務所も顧問先として多くの家具メーカーや家具問屋などを抱えています。また、実は私の祖父も父も家具関係の仕事に携わっていましたし、私自身、生まれ故郷ということもあって、顔馴染みの経営者様がたくさんいます。おかげで、顧問先の家具メーカーや家具問屋などに足を運ぶたびに親しみを持って接してもらえますし、祖父や父の話が話題に上がることもしばしばあります。そのたびに、さらに大川市や大川家具のために尽力したいという思いを新たにしています。

父上とは仕事上、どのような役割分担をしているのですか。

岡崎 私は福岡市の本部で全体を統括しつつ、税務会計の品質管理を担当しており、父は大川事務所で主に職員の人事労務マネジメントを担っています。父は80歳を超えますが、今も精力的に仕事に取り組んでおり、顧問先もしっかりと担当してくれています。

大川家具の現状についてお聞かせください。

岡崎 他の製造業と同じく安価な輸入品にシェアを奪われ、全体の売上はかなり減少してしまいました。しかし、近年は多くの事業者が従来のBtoBのビジネススタイルからBtoCにシフトするなどして、新たなビジネスモデルを模索しています。また、インターネットを活用して販路を拡大したり、グローバル化を逆手にとって海外進出に力を入れたりして、売上向上にチャレンジする事業者も増えてきました。

大川市からグローバル企業が誕生するかもしれませんね。

岡崎 まだまだグローバルにビジネスを展開している事業者は少ないのですが、もともと大川市は筑後川を活用して物流の拠点として栄えてきた歴史があるので、多くの事業者が物流のノウハウを持っていますし、世界最大の消費地である中国に距離的に近いという利点もあります。それらを活用することができれば、グローバル化の進展も決して夢ではないはずです。

次代にマッチしたサービスを追求しM&A支援や業務の電子化にも対応

経営を

経営を"科学"し、内部統制支援などを提供する
岡崎 弘先生

本部ではどのような業務を推進しているのでしょうか。

岡崎 福岡市を中心に幅広い業種の顧問先の税務会計業務などの他、内部統制支援やM&A支援などの業務を手掛けています。最近は特にM&Aに関する相談、例えば税務・財務デューデリジェンスなどを通して、対象企業のポテンシャルや潜在的なリスクを検証してほしいといった依頼が増加中です。20年ほど前まではM&Aに対して嫌悪感を持つ経営者の方が多かったのですが、ようやく組織再編や事業譲渡の手法として定着してきたように感じますね。ですが、その半面、M&Aが不動産売買のように安易に検討されるケースも目立つので、私としてはM&Aの後の事業体制や雇用がどうなるのか、経営者の思いを次代につなぐことができるのかといったことを重視し、顧問先にとって長期的な視点でプラスになるかどうかを吟味するように心掛けています。

今後の展望についてお聞かせください。

岡崎 税務会計業務の電子化は今後ますます進んでいくので、AI?OCRなどを駆使して、極力、紙を使わずに効率的かつ正確な業務を推進できるような体制をしっかりと構築していきたいと思います。また、そういった電子化と同時に、私たちはこれまで以上にクラウドなど多くの電子データを利用できることになるので、それらを適切に保存しながら、いかに分析・活用していくかといったことに全力で取り組まなければなりません。そういった現状を職員にもしっかりと共有しながら、さらに次代にマッチしたサービスが提供できるようにしていきたいと思います。

―本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします。

税理士・会計士までのあゆみ

 情報処理やプログラミングなどを学んだそうです。その過程で企業分析なども手掛けるようになり、次第に企業経営そのものにも興味を持つように。そして、「公認会計士という仕事を通して、企業分析に取り組んでみたいと思うようになった」と言います。こうして在学中に公認会計士試験の勉強を始めた先生は大学卒業後、1998年に公認会計士2次試験に合格。同年に新日本監査法人東京事務所に入所し、製造業などの監査業務を担当。その後、2003年に福岡市で岡崎公認会計士事務所を設立したそうです。

税理士法人アースシンシア

所在地
福岡県福岡市中央区舞鶴2-2-11 富士ビル赤坂4階
(大川事務所) 福岡県大川市一木1280-1
TEL
092-751-2288
設立
2009年
職員数
17名
URL
https://www.earthsincere.jp

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