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事務所 訪問

2020年08月号

川庄会計グループ<br>川庄公認会計士事務所 写真

異業種連携と手厚い人材育成に取り組み
顧問先の経営コンサルティングを実践

川庄公認会計士事務所を中心として、公認会計士1名、税理士3名、職員約50名を擁する川庄会計グループは、特に医業経営支援に力を注いでおり、九州屈指の実績を誇っています。代表の川庄 康夫先生に、その強みや今後の展望について伺いました。

コロナショックの苦境と顧問先サポート

まず、川庄会計グループの全体像を教えていただけますか。

川庄 康夫代表(以下、敬称略)) 当グループは創業39年、来年40周年の歴史を持ち、約830社の企業とお付き合いしています。川庄公認会計士事務所を主軸に、IT企業や医療関連職種などの管理職向けの転職エージェントである(株)クリエイティブ・マネージメント・コンサルタンツ、企業の総務や経理の代行業務を行う福岡経理代行センター、そして就業規則など労務人事関係のコンサルティングを手掛ける(株)KS人事研究所で一体となって顧問先の経営サポートを行っている他、相続や事業承継の相談を受け付ける(一社)福岡相続相談センターにも出資しています。

今年2月以降、コロナショックで多くの顧問先に影響が出たことと思います。どのようなサポートを行っていますか。

川庄 新型コロナウイルス感染症関連給付金・補助金・助成金や日本政策金融公庫の緊急融資など、まずは可能な限り国の支援策を活用するよう話してまいりました。3月末、そのうちの1社である飲食業者の取締役会に出席したのですが、その会社は博多と中洲、天神で計3店舗を手掛けていることもあって、大幅な売上減で経営状況が非常に厳しいものとなっていました。3000万円の融資を受けて何とか持ちこたえたとはいえ、緊急事態宣言解除後の客足の戻りも緩やかでしょうし、まだまだ苦境は続くものと思われます。現時点で顧問先に倒産は出ていませんが、まったく油断はできません。

コロナショックを機に、顧問先とのやりとりは変わりましたか。

川庄 大きく変わりました。会議は対面よりもウェブで行うことが増えており、チャットツールやSkype、Microsoft Teamsをはじめとした各種オンライン会議ツールを必要に応じて活用しています。税務関係のちょっとした相談や定例の会議などについては、以前から効率化のためにもウェブ上でのやりとりに移行したいと考えていたこともあり、それを前提とした料金体系も検討中です。また同時に、顧問先の会計や給与のクラウド化も急速に進展しています。

アーチを描く設えの受付

アーチを描く設えの受付

広々としたエントランスとロビー

広々としたエントランスとロビー

大きな開口で自然光がたっぷり取り込める応接室

大きな開口で自然光がたっぷり取り込める応接室

異業種メンバーで連携し手厚い経営支援を実践

川庄先生は独立開業以前、東京や福岡の監査法人で働いていたそうですね。

川庄 1974年4月から80年8月まで、東京の監査法人サンワ事務所と監査法人トーマツ福岡事務所に勤めました。全国さまざまな企業を訪問する会計士の仕事に憧れていたので、自らメーカー担当の希望を出し、東京・大阪をはじめ各地を訪ねまわって年間120日ほど出張していた時期もありました。その中で小規模な事業所や中小企業はもちろん、大企業の信用調査も多数手掛け、公認会計士としての監査のノウハウを実地で覚えたのです。

その上で独立開業されたわけですが、滑り出しはいかがでしたか。

川庄 当初はなかなか顧問先開拓が進まず苦労しましたが、友人のツテで産婦人科医の方や福岡国立中央病院の先生を紹介してもらったり、地元農協や福岡銀行の推薦で複数の幼稚園と顧問契約を結ぶことができ、その後は徐々に口コミで顧問先を増やしていくことができました。現在も、医療機関と幼稚園の経営サポートは私どものグループの主力事業の一つとなっています。

具体的に、どのような経営サポートを行っているのでしょうか。

川庄 顧問先のニーズに応じて、従来の公認会計士・税理士の仕事の枠に捉われずにできることは何でもやってきました。ある幼稚園の経営再建に携わった例をお話ししましょう。そこはなかなか園児が集まらず、資金繰りが悪化の一途を辿っていたので、私は恒例イベントのブラッシュアップやマーケティングの視点でのさまざまな変革を提案し、園の知名度とイメージアップを実践しました。例えば毎年恒例のバザーの名称を「〇〇幼稚園フェスティバル」とし、友人のラーメン屋に屋台で入ってもらったり、企業のノベルティ商品を原価で販売させてもらったりと工夫を凝らすことで、園児の家族だけでなく広く地域の人たちが集まるイベントにつくり変えました。また、内容が形骸化していた母親学級も「ミセスカレッジ」と名称を変えて、顧問先の医師に女性の病気や美容外科について話してもらったり、弁護士による法律講座を行ったり、私自身が「家計の経済学」について講義したりとコンテンツを充実させました。さらに園周辺の地図を見て園児の少ないエリアを割り出し、そこに新たにバス停を設置するサポートも行いました。こうした取り組みが功を奏し、1年目、2年目と口コミでジワジワと園児が集まるようになり、3年目にはついに定員を上回る応募を達成。以後、その噂を聞きつけて、他の園からも私どものところに経営サポートの依頼が入るようになったのです。

まさに公認会計士・税理士の仕事の枠を越えた取り組みですが、同時にさまざまな業種の顧問先を抱え、士業同士のネットワークもある公認会計士・税理士でなければできないサポートですね。

川庄 まさにその通りです。医療機関や幼稚園にはエリアマーケティングやブランディングの視点が欠かせないので、経営サポートを行う際は大企業の社員や不動産業者、知り合いの各士業の先生などの異業種メンバーを集め、チームで議論しながら経営計画を立てるようにしています。

経営コンサルティングに特化した人材育成

顧問先の経営サポートに尽力される川庄 康夫先生

顧問先の経営サポートに尽力される川庄 康夫先生

そのように顧問先の経営を戦略的にサポートしていくには、川庄先生のみならず職員の方たちにもコンサルティング能力が求められると思います。そのあたりについてはいかがですか。

川庄 今後、税務会計業界は規制緩和による外資の進出やICT導入などの荒波で変革を迫られることになります。その厳しい時代を生き残るための付加価値として、経営コンサルティングの視点は必須です。そこで、設備投資と人材育成にはコストをいとわず力を入れるよう心掛けています。特に人材育成については職員に外部研修の受講を勧めていますし、資格取得も資料や問題集、DVDなどの購入費用を事務所で持つなどして応援しています。また、6年ほど前に博多税務署の統括官を事務所に迎え、若手の教育係を務めてもらっていることもあり、着々と優秀な人材が育ってきています。いずれは顧問先への経営コンサルティングのみに集中する専任者を5名体制ほどにすることが目標です。

採用活動についてはいかがですか。

川庄 コンサルティング専任者がのびのびと動くためには、そのバックを支える人員の働きが重要です。そのため、当然のことながら人材採用にも力を入れています。つい先日も、初のウェブ面接で若手人材を新たに採用しました。また、コロナ禍を契機にして本格的にテレワークに取り組んでいます。ちょうど昨年、MJSの「ACELINK NX-Pro」のライセンス更新の際に、クラウド型に移行したことが大きかったです。在宅勤務と時差出勤を組み合わせて、より柔軟に働ける環境づくりも今後、採用における強みになると考えます。これからも職員の層を積極的に厚くして、顧問先のニーズに確実に応えられる経営サポートを実施し続けていきたいと思います。

本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします

税理士・会計士までのあゆみ

 川庄先生が公認会計士を目指したきっかけは高校生の時、週刊誌でとある公認会計士の活躍が特集されている記事を読んだことだそうです。「会計士というと会社に閉じこもってデスクワークを行うイメージだったが、全国各地を飛び回ってさまざまな企業と仕事をするところに憧れた」といいます。 その後、明治大学に入学した先生はスキーやダンスなどを楽しむかたわら、同大学の経理研究所特別会計研究室で簿記や商法、監査、経営学などを学び、卒業後の1973年に公認会計士試験に合格。そして東京と福岡の監査法人で経験を積んだ上で81年に独立開業を果たされました。開業当初から「頼まれ事は決して断らない」「経営コンサルティングの視点を大事にする」ことをモットーとして掲げたそうです。

川庄会計グループ
川庄公認会計士事務所

所在地
福岡県福岡市中央区白金1-4-10 SUNSHINE C-PAK
TEL
092-524-6556
設立
1981年
職員数
53名
URL
http://www.kawa-sho.co.jp/

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