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事務所 訪問

2021年06月号

堀内一雄税理士事務所 写真

常に顧問先企業の将来を見据えた
丁寧な経営支援を実践する?

約半世紀にわたって山梨県富士吉田市の地域に根づいてきた堀内一雄税理士事務所。 将来を見据えた経営支援によって、数多くの地場企業を支えています。創業者である所長の堀内 一雄先生と次代を担う 清水 学先生、堀内 慶子先生に事務所の強みや今後の展望を伺いました。

コロナ禍に立ち向かう観光業と機織産業

貴事務所のある山梨県富士吉田市といえば、〝富士山に最も近い町〟として知られる富士山観光のメッカです。コロナ禍で全国的に観光業の落ち込みが深刻化していますが、地元の景況感はいかがでしょうか。

堀内 一雄所長(以下、敬称略) 富士吉田市の主要産業である観光業は、2020年春の新型コロナウイルス感染拡大以降、非常に厳しい状況にあります。なにしろ昨年は史上初の夏山閉鎖となり、山小屋も全て閉じてしまいました。ただ、そんな中でもワーケーション※誘致や特産品のネット販売、オンラインイベントの開催など、行政も民間事業者も試行錯誤しながらさまざまな策を打ち出し、難局を乗り切ろうと努力を続けています。

観光業以外の業種についてはいかがでしょうか。

堀内 観光業とともに地場経済の柱となっているのが機織産業です。難易度の高い先染め・細番手・高密度の技法による織物は国内外で評価が高く、かつては「ガチャマン(=ガチャッとひと織りで1万円儲かる)」と言われたほど景気の良い時代もあり、当事務所が開業した1970年代にはほとんどの顧問先が機織の関連事業者でした。その後、海外から安価な織物が流入してきたことで一時期は衰退しましたが、近年では2代目、3代目の職人がオリジナルブランドを立ち上げ、直販を展開する動きが活発化、勢いを盛り返して地域経済をリードしています。

未来会計の視点で経営支援に取り組む

家庭、職場、顧問先との「和」が大切という堀内 一雄先生の思いから、何人とも同じ高さの目線で接することを表す「和光同塵」と書かれた額縁が飾られています

家庭、職場、顧問先との「和」が大切とい
う堀内 一雄先生の思いから、何人とも同じ
高さの目線で接することを表す「和光同塵」
と書かれた額縁が飾られています

1974年の開業から長い歴史を歩んできた貴事務所ですが、当初から変わらず掲げているコンセプトなどはありますか。

堀内 顧問先にとにかく親切に丁寧に接し、個々の事業規模や状況に見合った目標を定めた上で経営支援を行ってきました。また、かつて郡是製糸(株)の経営顧問を務めた富士吉田市初代名誉市民、川合信水氏が宗教家、教育家として大切にしていた「誠実に、完全に」を常に心がけています。

現在、そうした事務所のコンセプトを引き継いで奮闘されているのが娘の堀内 慶子先生と、夫の清水 学先生です。それぞれ東京都内の会計事務所や税理士法人に数年間勤務した後、堀内一雄税理士事務所に加わったそうですね。

清水 学先生(以下、敬称略) 13年前、2人とも税理士資格を取得し、結婚したタイミングで富士吉田市に居を移して当事務所に加わりました。

東京都内と富士吉田市とでは産業構造も経済環境も全く異なりますが、どんなギャップを感じましたか。

清水 都内では、顧問先企業の事業規模などに合わせていくつかのパターンに沿って経営支援を行っていたのですが、地方では高齢の経営者や小規模事業者が多いこともあり、経営上の数字に対する意識が人によって大きく異なるため、経営支援のニーズも千差万別です。そこで、当初からオーダーメイドのサービスを心掛けました。

顧問先の経営支援では特にどんなことに力を入れていますか。

清水 経営者一人ひとりと、常に将来を見据えた話をするようにしています。過去の経営数字については、意識の高い経営者であれば月ごとに出てくるさまざまな帳票から自身で把握できます。そこから自社の経営状況を読み解くことも可能です。大事なのはその先、読み解いた数字をもとに今後の展開を考え、それを具体的な事業計画に落とし込むことです。こうした視点で、ここ数年は認定経営革新等支援機関として数多くの地場企業の経営支援に取り組んでいますし、コロナ禍にあっては事業再構築補助金を得るための事業計画策定支援にも力を入れています。

堀内 慶子先生(以下、敬称略) 清水が言うように、常日頃から未来会計の視点で経営支援に取り組んできたおかげか、顧問先企業の経営者が不測の事態や景気変動に強くなっているように思います。事実、このコロナ禍にあっても何とか売上を維持しているところが多くなっています。

清水 ただ先日、ある建設業者を監査訪問した際、経営者が「来年、再来年には市場規模が半分になるかもしれない」と話していました。今後は税理士として、顧問先企業の売上が下がることを見据えて、いかにスモールビジネスで効率よく稼ぎ、キャッシュフローをまわして生き残るか、という視点での経営支援が求められています。

そうした視点を事務所全体で共有していくことも大事だと思います。職員の方たちとの情報共有、教育についてはどのような工夫をしていますか。

清水 事業再構築補助金についての相談など、新たな課題が持ち上がった時には、少人数の委員会を立ち上げ、週1ほどのペースで勉強会を重ねています。

慶子 私のほうでは、毎月全職員と1対1でミーティングする時間を設けています。業務上の課題や悩みだけでなく、職場での人間関係やプライベートも含めて抱えているものをヒアリングし、一緒に問題解決に向けて目標を立てます。幅広い年齢層の職員がいますが、全員に気持ちよく働いてもらい、有意義な事務所業務を実践するためには大事なことだと思っています。

写真3

堀内 慶子先生

写真2

次代を担う清水 学先生

写真1

約半世紀にわたって地域を支えてこられた
堀内 一雄先生

地場企業を下支えする会計事務所を目指す

最後に、お三方それぞれ今後の展望をお聞かせいただけますか。

堀内 次代を担う2人は実に頼もしく、事業承継を順調に進めているところです。何よりもまずは健康第一、そして家庭の和、職場の和、顧問先との和を大事にこれからの事務所を引っ張っていってほしいと思います。

清水 近年、「税理士の仕事はAIにとってかわられてしまう」と言われていますが、この人手不足の時代の中でむしろAIをうまく活用しつつ「AIにできないことは何か」を実践していくことが求められています。「堀内一雄税理士事務所だから、あなただからお願いしたい」と言ってもらえる存在になれるよう、より一層邁進してまいります。

慶子 この十数年、私は資産税関係の支援サービスの拡充に力を注いできました。中小企業経営者の高齢化が大きな課題となる中、早い段階で事業承継を見据え、自社株評価や土地利用の検討などの相続対策を進めておくことは非常に大事です。これから先そのニーズはさらに高まっていくので、地域における資産税関連支援のナンバーワンを目指したいですね。

本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします。

税理士までのあゆみ

堀内 一雄先生

 堀内先生の父は戦前から、日本の刑法学者で検事総長・大審院院長・司法大臣を歴任した林 頼三郎氏に師事した人物で、戦後間もなくから税務代理士(税理士の前身)として活躍したそうです。その背中を見て育った堀内先生は早くから税理士を志し、父の母校である中央大学商学部に進学。卒業後、しばらく地元の会計事務所で働いた後、1974年に税理士登録を果たし独立されました。

清水 学先生

 学生時代は文学部史学科で学び、美術館などの学芸員を志していたという清水先生。慶子先生の影響もあって税理士の仕事に興味を持ち方向転換、大学院に進学して財政学を学ぶかたわら、税理士資格取得のための勉学に励むことに。そして数年間、都内の会計事務所に勤務した後、2007年に税理士資格を取得、慶子先生と結婚して富士吉田市の堀内一雄税理士事務所に入所されました。

堀内 慶子先生

 慶子先生は幼い頃、父と顧問先とのやりとりに触れる機会があり、その時、どんな仕事かは分からないながらも「税理士は人に感謝される職業なんだ」と思ったそうです。そして大学に進学し、産業経営学科で会計経理全般を学ぶ中であらためてその職業としての魅力を知って税理士を目指すことに。都内の税理士法人に数年間勤務した後、清水先生と共に堀内一雄税理士事務所に入所されました。

堀内一雄税理士事務所

所在地
山梨県富士吉田市上吉田5-6-14
TEL
0555-23-7588
設立
1974年
職員数
17名
URL
https://www.h-tax.jp

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