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会計人のリレーエッセイ

2023年03月号

女系家族と思っていたら…

中部会

静岡県三島市古口 美知子

 古い話になりますが、私の母は1928年に九人姉妹の七女として生まれ、「産めよ増やせよ」の時代に女の子だけの姉妹は、さぞ肩身が狭かっただろうと思います。

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ちょっと古いですが、家族写真です

 母の実家は沼津市大門町で木村和裁所を営み、祖父はお弟子さんと娘たちに囲まれて男一人。くけ台を使わずに足の指で布を引っ張って縫う、本格の和裁師でした。祖父が足の指を使って縫っていた光景が、かすかな記憶によみがえります。

 母の姉妹は7人が80代後半まで長生きしましたが、男兄弟がいたら戦争で何人も失っていたのではないでしょうか。

 さて、私も三姉妹と女ばかりでしたので、生まれた時は父方の祖父に「また女か」と言われたそうです。両親はあきらめのよい考え方をしてくれたので、3人とも嫁に出して、実家の酒井の姓を受け継ぐ者はいなくなりました。そういうわけで私も女の子を2人授かり、長女が結婚して女の子2人の孫が生まれたのも、女系だから当然のことと思っていました。

 ところが、いま一緒に税理士として働いている次女が、なんと3人の男の子に恵まれました。ここで完全に女系家族説は覆り、3対1でいつもやや遠慮がちだった亡夫も嬉しかったことでしょう。

 今は面倒見のよい婿さんが、保育園の送り迎えを一手に引き受け、子どもたちの世話をしてくれています。私が朝食を、娘が夕食を作るパターンで家事を分担して、小6・小4・年少の子どもたちと6人で、にぎやかに暮らしています。 男の子を育てたことがなかったので若干不安もありましたが、なかなか可愛いものです。これから思春期を迎えますが、無責任な祖母としてはできるだけ甘やかしたいなと思っています。

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