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ITリテラシー向上塾

「クラウド上での検索」を前提に
情報を管理・収集する

ITに関する知見を深めていただくための本コーナー。
第4回は情報管理のポイントについて、 調達・購買コンサルタントの坂口 孝則氏にレクチャーしていただきました。

坂口 孝則 さかぐち・たかのり

未来調達研究所株式会社
代表取締役

坂口 孝則 さかぐち・たかのり

大学卒業後、メーカーの調達部門に配属される。調達・購買、原価企画を担当。バイヤーとして担当したのは200社以上。コスト削減、原価、仕入れ等の専門家としてテレビ、ラジオ等でも活躍。企業での講演も行う。著書は『調達力・購買力の基礎を身につける本』『調達・購買実践塾』『だったら、世界一の購買部をつくってみろ!』『The調達・仕入れの基本帳77』『結局どうすりゃ、コストは下がるんですか?』(ともに日刊工業新聞社刊)、『牛丼一杯の儲けは9円』『営業と詐欺のあいだ』『1円家電のカラクリ0円iPhoneの正体』(ともに幻冬舎刊)、『会社が黒字になるしくみ』『思考停止ビジネス』(ともに徳間書店刊)など20冊を超える。

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情報管理はシンプルに

 情報管理の前提として、まずは「情報ファイルは無尽蔵に増えていくこと」「ファイル名とその内容を正確には覚えられないこと」を念頭に置いてください。本稿では「増え続ける情報を完璧にファイリングすることは不可能」という前提に基づいて、「自身が保存した情報をいかに検索しやすくし、活用するか」を紹介していきたいと思います。
 まず意識してほしいのは「ファイル名をシンプルにすること」「フォルダは3階層以下にすること」です。ファイル名に関しては5W2H※1の「what,who,when」を明確にしておくとよいでしょう。具体的には「資料名、取引先名、日付」を入れておけば、検索をかけた時にヒットしやすくなるはずです。
 フォルダに関しては、ついつい細分化してしまいがちなのですが、そうするとどこに何を保存したかが分からなくなってしまうので、できるだけ大きな括りにするとよいでしょう。例えば「商品・サービス名、取引先名、年度」という3階層を設定しておけば、あとから情報を見つけやすくなるはずです。それでも、フォルダが増えてしまいそうになったら、思い切って「その他」というフォルダを作り、そこにまとめて保管しておくとよいでしょう。
 あと、プレゼン資料などよく使用するデータに関しては、更新頻度が高く、どれが最新のデータが分からなくなってしまうことがあるので、ドッペルゲンガー問題※2を避けるためにも最新版を常に「マスターファイル」に保存しておくことをお勧めします。もちろん、ファイル名に日付を入れておけばどれが最新なのか一目瞭然なのですが、更新頻度が高いと日付を付け忘れてしまうことがありますし、よく使用するデータが1つのフォルダにまとまっていると何かと便利なはずです。

※1 when、where、who、what、why、how、how muchの総称
※2 「ドッペルゲンガー問題」…本稿ではどのファイルが最新のデータか分からなくなってしまった状態の例えとして説明しています

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クラウドサービスを徹底活用

 より効率的に情報管理を進めるにあたっては、クラウドサービスを活用していただきたいと思います。先述したように情報は無尽蔵に増えていくので、もはやクラウドサービスの利用は不可欠です。また、今やクラウド上でもファイル名の検索などが容易にできますし、テキスト情報であればその内容も検索にヒットします。つまり、ファイル名を誤って付けてしまったとしても、クラウドサービスの検索機能を使えば、何とか必要な情報にたどり着くことができるわけです。もちろん、適切なファイル名を付けていた方がスピーディに必要な情報にたどり着けるのですが、検索機能が充実している今日にあっては、それ以上に付加価値の高い情報を漏らさずに保存することを意識してください。私の場合は「Microsoft OneDrive」を利用していますが、どのクラウドサービスも同じような機能を有しているので、自分好みのものを利用すればよいと思います。
 ちなみに、付加価値の高い情報は必ずしも現在のものとは限りません。私自身、サラリーマン時代には多くのメモを作成してきましたが、その中でも付加価値が高いと思えるものは画像データにしてクラウド上に保存しています。また、電子化されていない書籍や資料なども、付加価値が高いものは画像データにして保存しています。そうやってクラウド上の情報が充実すればするほど、検索時に思いがけないヒントが得られ、ビジネスに活用することができるのです。

ポイント
情報の入口を減らし、情報管理・検索をより効率的に‼
・「あの資料探そう」と思い立ったときは検索対象が少ない方がよい
・データは全てメールとクラウド対応の保存ボックス(Microsoft OneDriveまたはGoogle ドライブなど)に集約
・紙資料もスキャンまたは写真を撮影しデータ化して保管する

CATEGORY3

情報収集では一次情報を重視

 最後に情報収集の仕方についてお伝えしたいと思います。今やインターネット上に情報はいくらでも存在します。正直、メディアなどから得た二次情報、情報源が不明な三次情報の価値は著しく低下したと言えるでしょう。そして、それに反比例するように、特定の情報源から入手した一次情報の価値が非常に高くなっているのです。
 では、そういった情報をいかに入手していくか。この点については、とにかく社内外の人たちと密なコミュニケーションを交わすことが第一です。これはAIにもまだできないことなので、人がしっかりと取り組み続けなければなりません。また、日本語訳が発表されていない海外の論文などをインターネット上で探して、自動翻訳ツールなどで翻訳し、一読した上で保存しておくのもオススメです。未翻訳の論文は多くの人にとって新鮮な内容なので、それを知っているだけで自分のプレゼンスを高めることができますし、コミュニケーションのネタにしたり、場合によってはビジネスに活用したりすることもできます。
 一方で最近はビジネス上でメールだけでなく、SNSやチャットツールを利用することが増え、情報の入口が多岐にわたることが増えているかと思います。情報の入口が増えれば当然、その管理が煩雑になり、どこにどのような連絡がきているのか、どのような情報があるのかが分かりづらくなります。そのため、「できるだけ情報の入口はメールに絞る」「その他のツールを使用するにしても1つだけに絞る」といったルールを設けておくとよいかもしれません。
 情報が溢れ返っている今こそ、付加価値の高い情報を収集し、適切に管理することで、今後のビジネスライフをより有意義なものにしていただければと思います。

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