「得意先の繁栄は我々の繁栄」
全国1000以上の顧問先を支援
広島県内や中国地方を主力に全国各地に顧問先、顧客を抱え、総勢55名の職員を擁するGO&DO篠原税理士法人・(株)合同総研。幅広い業種の事業者の税務・経営支援を手掛けており、中でも医療・介護業や農業、外資系企業の国際取引や上場企業の税務など、様々な分野に精通した人材が多数所属していることが強みです。代表を務める篠原 敦子先生はそうした人材育成に力を入れる傍ら、中国税理士会で税務支援対策部長、広報部長、業務対策部長、専務理事等を歴任、さらに昨年には黄綬褒章も受章するなど各所で活躍されています。
女性税理士として歴代2人目の黄綬褒章受章
篠原先生は2023年秋に黄綬褒章を受章されたと伺いました。どのような取り組みが評価されたのでしょうか。
篠原 敦子先生(以下、敬称略) 私は中国税理士会で様々な役職を務める中、15年ほど前に日本税理士会が全国で展開した税務支援事業に税務支援対策部長として取り組みました。この事業は、経済的な理由で税理士に依頼できない小規模納税者などを対象として無償または低報酬で税務相談等を行うもので、広島県内における無料相談の会場設営などに尽力しました。
また、税務執行の円滑化と簡素化を目的とした書面添付制度の普及にも努めました。相続税の申告書の添付率は全国平均10%程度に留まるものでしたが、私どもの取り組みの甲斐もあって広島国税局管内における添付率は3割に引き上げられ、これが大きな実績となっています。
実は2009年に中国税理士会へ入会した当初は新参者の私の意見はなかなか通らず、取り組みを進めることには苦戦しました。けれども「やるならとことんやろう」と変化を恐れずに進めてきて得られた黄綬褒章は、こうした環境下でやってきた私の取り組みを国が認めてくれた証だと捉えており、本当に嬉しく思います。女性税理士としては歴代2人目の受章とのことで、後に続く女性が出てくることを懇願しております。
医業から農業の税務まで精力的な活動が仕事を呼び込む
GO&DOグループの全体像と、各グループ会社の取り組みをお聞かせください。
篠原 GO&DO篠原税理士法人と(株)合同総研を合わせて55名の職員がおり、このうち税理士が15名、他のグループ会社まで入れると全職員は約140名です。
グループの歩みとしては、父が篠原税理士事務所と合同経理経営センターを設立したのが1966年。その後、次々とグループ会社を立ち上げていきました。1972年設立の(株)合同コンピュータセンター(現・(株)ジーテック)では顧問先に多かった環境衛生業に特化した基幹業務パッケージソフトを制作。これがヒットし、現在も全国で販売しています。1999年設立の(株)ベストパーソンは当初、経理の人材派遣業を行っていましたが、介護業界に参入した企業からの相談を受け、現在では介護保険請求事務の代行業に注力しています。
グループの心臓でもあるGO&DO篠原税理士法人の税務支援、財務会計支援はいかがでしょうか。
篠原 父はよく「得意先の繁栄は我々の繁栄である」と口にしていました。この方針を基礎に「税務・経営支援を必要としていて脱税意識が強いわけでなければ、小規模な事業者でも、アクの強い経営者でも決して断らずに仕事を引き受けなさい」と私や職員に何度も言っていたものです。この方針を貫いてきたおかげで、当社では数多くの地場企業と息の長い信頼関係を築くことができています。
例えば、市内で金属製サインや板金加工部品の製造・販売を手掛ける(株)研創はかつて、夫婦で営む小さなモノづくり事業者でしたが、製造業務の機械化を進めて事業を拡大し、今では上場も果たしました。同社は建物のロゴマーク作成をオーダーメイドで引き受け、デザインから埋め込み設置までの全工程を手掛けています。
顧問先の業種の傾向はいかがでしょうか。
篠原 ない業種を探した方が早いくらい、幅広い事業者の税務に携わっています。広島県と中国地方各県の他、東京、大阪、京都、宮城、九州などに約770社、個人事業主も入れたら1000以上の顧問先があり、広島東洋カープをはじめ15人ほどのプロ野球選手の税務も担当しています。
その中で得意分野を挙げるとしたらいかがでしょうか。
篠原 医療・介護業界では呉市医師会や各地の歯科医師会と連携し、多くの医療法人の税務支援を手掛けています。外資系企業の国際取引関係、上場企業の税務に精通した専門人材がいることも当社の強みですね。
また近年、特に注力しているのが農業分野です。複数の顧問先から農業に進出したいと声が上がったのを機に、数年前に私を含む3名で日本政策金融公庫の資格「農業経営アドバイザー」を取得しました。もちろん、資格を取得しただけで農業関係の相談や仕事が増えるわけではないですが、資格を持つ私と職員で定期的に広島県の農業担当者や地域の農協に通い続けたことで私どもを認知いただけるようになり、徐々に日本公庫や県、農協からの紹介で農業経営者の税務・経営支援の依頼が入るようになりました。今では当社の得意分野の一つとなっています。
他にも、ネットワークづくりは重要です。青年会議所時代に多くの経営者と交流を重ね、中国税理士会で複数の役職に就いて人脈を広げたことで、様々な仕事のお話が寄せられてきます。先ほどお話しした農業分野でも、農林水産省政策評価第三者委員、広島県農業関係施策検討会議委員などを務めたことが奏功した面も大きいと思います。
独自の「月次経営報告書」で経営支援と人材育成
顧問先の経営支援を行う中で独自の取り組みがあればお聞かせください。
篠原 父の代に作成した「月次経営報告書」をベースに、各顧問先に経営状況を報告させていただいています。前期と比較したキャッシュフローの推移や経営課題を見える化できるよう、減価償却費や賞与の見積額を月ごとに割り出して記載したり、経営指標を重要なものだけに絞ったりと、長年の工夫と知恵が随所にちりばめられた書類となっており、顧問先の経営者からも分かりやすいと好評です。
その経営報告書を使った社内研修があるそうですね。
篠原 毎年6月に経営研修を実施しています。新人から入社5~6年目の社員と課長クラスの中堅社員が1人1社ずつ実際の月次経営報告書を選び、そこから分かる経営状況や課題、対策等を発表するというものです。新人にとっては緊張する舞台ですが、だからこそ成長につながりますし、事前に先輩社員がポイントやノウハウを教えたりすることでチームワークも培われています。
職員の育成には力を入れておりますが、一方でその課長クラスの職員が顧問先企業から引き抜かれるといった出来事もありました。当事務所では、新卒募集として毎年2人ほどを目標に採用を続け、育成することで現在の規模にまで拡大してきました。
次世代に向けた事業展開とDX推進
最後に今後の展望をお聞かせください。
篠原 幸い次の代を担う人材が育っており、研さんを積んで成長した30〜40代の4人の社員に事務所運営を任せようと準備を進めています。また、これまで農業など新規分野を開拓してきましたが、彼らのためにもうひとつGO&DOグループの柱になるような事業を打ち立てたいですね。
例えばグループ会社の(株)Gサポートは父の念願だった経営コンサルティング企業で、2019年に設立しました。まずは経理・会計事務のアウトソーシング事業をベース収入として、コンサルティング事業を徐々に伸ばしているところです。DXのコンサルティングサービスを手掛けられるようになれば、より成長できるのではないかと期待しており、次世代にはぜひそうした挑戦をしてほしいものです。もちろん、社内的にもDXの推進は喫緊の課題ですので、MJSの皆様にはご協力いただきたいと思います。
今後の展開が楽しみです。これからますますのご発展を祈念しております。
History & Story税理士までのあゆみ
中学生の頃、お父様宛てに届く大量のお中元を見て「税理士ってどんな仕事なのだろう」と初めて興味を持ったという篠原先生。地元の企業を支える大事な仕事だとお父様から聞かされているうち、自然と自分は将来、税理士になるのだと思うようになったといいます。広島修道大学商学部に進学後はテニスに打ち込む傍ら簿記の勉強にも励み、大学院では恩師からのスパルタ教育を受けてさらに猛勉強。広島市内の会計事務所で2年間にわたり実務を経験した後、1989年に税理士資格を取得されました。農林水産省の委員や日本税理士会連合会と中国税理士会の様々な役職、母校の広島修道大学での非常勤講師なども務め、2023年には黄綬褒章を受章、現在はGO&DO 篠原税理士法人 代表税理士、(株)合同総研代表取締役社長、(株)ジーテック取締役、(株)Gサポート取締役となっています。
GO&DO篠原税理士法人・ 株式会社合同総研
- 所在地/
- 本社:広島市中区大手町5-17-13 GO&DOビル
小町オフィス:広島市中区小町
3-22 マスダビル2F - TEL/
- 082-504-0333
- 設立/
- 1966年
- 職員数/
- 55名
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