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北陸会企画

2022年07月号

富山県が観光情報発信ツール
『うみとやま』を創刊

シロエビ、ホタルイカ、寒ブリなどの海の幸に恵まれ、「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟する富山湾や立山連峰、黒部ダムなどの雄大な景色を満喫でき、「立山黒部アルペンルート」も楽しめる富山県。昨年秋、そんな同県の観光情報を広く発信するために、県観光情報誌『うみとやま』が刊行されました。そこで、この情報誌の創刊目的や誌面づくりの特徴、さらには今後の観光戦略などについて、富山県地方創生局観光振興室にご紹介いただきました。

「海と山と、その間。ちょうどいい旅、富山旅。」をテーマに観光情報発信

 富山県では本県への観光誘客をより一層図るため、2020年度まで発行していた富山県観光情報誌を刷新し、21年10月に新たな無料の観光情報誌『うみとやま』を創刊しました。テーマは「『海と山と、その間。ちょうどいい旅、富山旅。』にいざなう、ちょっと頼れる道しるべ」で、誌面だけでなく、SNSをはじめとしたデジタル面での情報発信も強化し、本県の自然、伝統・文化、食などの魅力や旬の観光情報などをリアルとオンラインで発信することにより、富山ファン、リピーターの確保につなげることにも注力。『うみとやま』と連動したウェブサイトでは、誌面で紹介しきれなかった詳細情報を掲載し、誌面に関心を持っていただいた方たちに、より深い情報を発信し、さらなる誘客につなげていきたいと考えています。

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 読者対象は首都圏在住の20~30代の女性とし、パッと見て素敵だと思える、手に取ってもらいやすい表紙づくりを目指しています。また、誌面やウェブサイトに掲載する写真のトーンやデザインについても、読者対象となる方々が興味を持ってくださるように心がけているところです。さらに、誌面はきれいな写真を多用して視覚的に興味・関心を持ってもらえるようなつくりにしており、より詳細な情報に関心がある方については二次元バーコードからウェブサイトに進んでもらうようにしています。

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 2021秋冬号、2022年春夏号の巻頭特集では、富山県内で活躍されている方や観光事業者の方にオススメスポットを紹介してもらったり、富山県の景色や暮らしを切り取った写真を掲載する内容になっています。そのため、従来の観光情報誌とは少し違い、富山県の日常や生活感が感じられるようなテイストになっていると自負しています。

 なお、『うみとやま』の発行は年2回(春夏号と秋冬号)で、ウェブサイトやSNSでの情報発信は随時行っています。JR東日本各駅(首都圏約500駅)、JR西日本各駅(金沢支社管内約20駅)、NEXCO中日本管内、名古屋鉄道各駅(13駅)、近畿日本鉄道各駅(3駅)の他、富山県内の観光施設やあいの風とやま鉄道各駅などで配布しているので、まずは一度、手に取ってみてください。北陸新幹線が開通し、首都圏から約2時間でアクセスできるようになったので、首都圏の皆さんにもぜひとも『うみとやま』を読んで富山県に関心を持っていただき、3000m級の山々が連なる立山連峰や「天然のいけす」といわれる富山湾、その大自然から生まれた富山の食や文化、暮らしを感じていただければと思っています。

コロナ禍によるダメージの回復を握る鍵 近隣の旅行需要取り込みから

 富山県も他の都道府県同様、コロナ禍によって観光が大きな打撃を受けました。外国人入国制限とともに内外の観光客入込数は大きく落ち込み、2020年1月から12月までの富山県観光客入込総数は約2212万人と前年比36・8%減となり、また同期間の外国人宿泊者数は3万6000人と前年比89%減となりました。

 また、県内で入込数が特に大きく減少した観光地は立山黒部アルペンルート、海王丸パーク、富岩運河環水公園などで、多くのイベントも中止になりました。

 一方、「道の駅福光」や「おやべイルミ」では入込数が増加しましたが、その要因としては県外への移動が制限されたことなどにより、近隣市町村からの旅行需要を取り込むことができたものと考えています。

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日本一の高さを誇る高さ186mのアーチ式ダム「黒部ダム」。観光放水も必見(写真提供:(公社)とやま観光推進機構)

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湖面がハート形に見える立山室堂のシンボル「みくりが池」(写真提供:立山黒部アルペンルート)

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「立山黒部アルペンルート」の高さ20mにも迫る巨大な雪の壁「雪の大谷」。4月中旬から6月中旬に見られる(写真提供:立山黒部アルペンルート)

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屋敷林に囲まれた家屋「散居村」が点在する砺波平野。散居村展望台から一望できる(写真提供:(公社)とやま観光推進機構)

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県南西部砺波市の砺波チューリップ公園で開催される「となみチューリップフェア」で大人気の「花の大谷」(高さ4m、長さ30m)。300品種、300万本のチューリップが咲き誇る国内最大のチューリップ園(写真提供:(公社)とやま観光推進機構)

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富山湾の雨晴(あまはらし)海岸から望む3000m級の立山連峰(写真提供:(公社)とやま観光推進機構)

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富山県の玄関口である富山市のシンボル、富岩運河環水公園と富山県美術館。江戸から明治期にかけて、北前船交易の寄港地として栄えた岩瀬浜に立ち寄ってみるのもいいかもしれない(写真提供:(公社)とやま観光推進機構)

アフターコロナの観光戦略「大都市圏からの誘客・インバウンド・マイクロツーリズム」

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 このところのコロナ禍の収束傾向に伴い、国内での移動制限、国外からの入国制限の緩和が進めば、観光業の回復は大いに期待できるところですが、これからの夏・秋のハイシーズンに向けて各観光地では今後も感染症対策を引き続き徹底していくことにしています。

 例えば国内外観光客に人気の「立山黒部アルペンルート」では「3密」を避けるため、乗り物の乗車定員の縮小、定期的な換気や消毒・清掃、アクリル板の設置などの感染症対策を徹底しています。また、感染予防対策に取り組んでいる宿泊施設を「とやま安心の宿」として認証して支援する制度も設けています。

 富山県ではウィズコロナ、アフターコロナの時代にあっても選ばれ続ける観光地となるように、これからも引き続き『うみとやま』をはじめとする観光情報発信ツールを活用しながら富山特有の自然や食文化、祭りなどの伝統文化や住環境など、日常にある幸せと上質な暮らしの情報発信に力を入れていきます。そして、首都圏・関西圏などの大都市圏からの誘客・インバウンドやマイクロツーリズム旅行者はもちろん、滞在者や移住者などの関係人口の増加に結び付け、新たな時代の観光戦略を切り拓いていきたいと思います。

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富山の冬のグルメといえばベニズワイガニと寒ブリ。

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富山湾の最深部は1000m以上あり、日本で最も深い湾のひとつ。春から夏にはホタルイカ、シロエビが水揚げされる

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写真提供:(公社)とやま観光推進機構

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