2022年07月号
明るく元気、そして実直な仕事ぶりで
「一番身近な相談相手」であり続ける!!
越前打刃物や越前漆器などの産地として名高い武生(福井県越前市)。小木会計事務所は この地で長らく地域密着型の顧問先支援に力を注ぎ、顧問先との信頼関係を培ってきました。 現所長で2代目の小木 崇永先生に、顧問先支援にかける思いとそのお仕事ぶりについて伺いました。
地域で慕われ続けた先代の思いを継承
税理士試験に合格した後は、東京都板橋区の会計事務所で勤務されていたそうですね。どういった経緯で地元の福井県越前市に戻ることになったのですか。
小木 崇永所長(以下、敬称略) 祖父の急逝がきっかけでした。もともといずれは祖父が経営している会計事務所を承継するつもりだったのですが、あまりにも急なことだったので、正直、かなり焦りましたが、とにかくすぐに当時勤めていた事務所を退職し、地元に戻ることにしました。
事業承継にあたってご苦労はありませんでしたか。
小木 私が勤めていた会計事務所とは会計システムが異なったので慣れるまでに多少苦労しましたが、その他は子どもの頃から祖父の背中を見て育ってきましたし、父がしっかりと番頭役を務めてくれていたので、比較的スムーズに承継できたように思います。以来、顧問先の皆さんから「孫の代になってからダメになった」と言われないよう、必死に事務所経営に励んできました。
代替わりを機に始めたこと、力を入れ始めたことはありますか。
小木 昔ながらの紙を中心とした業務スタイルが続いていたので、少しずつIT化や自計化を進めていきました。また、時事ネタを中心としたセミナーや講演会を開催することで、新規の顧問先の獲得にも注力していきました。そういった取り組みのおかげで、自然と顧問先や職員の若返りを図れたように感じています。
一方で、祖父上の代から変えていないことはありますか。
小木 祖父は面倒見が良く、真面目で実直な性格だったこともあり、顧問先や周囲の皆さんにとても慕われていました。おかげで今でも時折、顧問先の方から祖父の話を聞くことがあるほどです。だから、自分に迷いが生じた時には、いったん立ち止まって「祖父ならどうするだろうか」と考えるようにしています。
経営理念についても、祖父上のお考えが反映されているのでしょうか。
小木 当事務所では「私たちは、お客様の『一番身近な相談相手』として、常にお客様の立場に立って、 税務・会計を通じて、様々な経営課題の解決をご支援し、 経営者の方が『安心して』事業に専念できる環境づくりを、全力でお手伝いいたします」という経営理念を掲げています。これは私が所長になってから策定したものですが、その根本は祖父の仕事に対する考え方と一致していると思います。
「一番身近な相談相手」になるために心がけていることはありますか。
小木 顧問先に困りごとが生じたら、とにかく対面で話を聞くことを大切にしています。もちろん、日常的なコミュニケーションは電話やWEB会議システム、メールなどのやりとりで十分ですが、込み入った用件となると、膝を突き合わせて議論をすることが欠かせません。だからこそ、当事務所では明るい雰囲気づくりを大切にし、顧問先の皆さんにできるだけ気軽にいろいろな相談をしてもらえるように努めています。
越前打刃物や越前漆器といった武生の地場産業の動向
武生といえば、伝統工芸の越前打刃物で知られていますが、顧問先にもやはり打刃物関連の事業者が多いのでしょうか。
小木 職人たちが共同で立ち上げたタケフナイフビレッジをはじめとして、さまざまな関連事業者を抱えています。越前打刃物は一時、衰退産業と化していたのですが、タケフナイフビレッジが中心となってブランディングや海外展開を積極的に推進してきたおかげで、今では着実に市場が拡大しており、少しずつ若返りも始まっています。もちろん、当事務所としてもその活動を全力でサポートしており、税務会計のみならず、多様な相談に柔軟に対応するようにしています。
武生は伝統工芸の越前漆器でも有名ですね。
小木 もちろん、越前漆器の関連業者も顧問先にいますが、越前打刃物と比べると新しい動きが少なく、次第にマーケットが縮小している印象があります。技術力や商品力は十分にあるので、新たな販路を開拓するなど、今後はマーケティングに力を入れていく必要があるように感じています。
地域におけるコロナ禍の影響はいかがでしょうか。
小木 建設・建築関連の事業者が甚大なダメージを被っており、その波及効果で越前打刃物や越前漆器、さらには近隣の鯖江のメガネフレームなどの関連業者にも影響が及んでいるような状況です。これまでは新型コロナウイルス関連の補助金などのおかげで何とか経営を維持することができていましたが、ウクライナ危機によるガソリン代や物価の高騰の影響も重なり、今期は各社ともかなり厳しい経営状態にあります。新型コロナウイルス関連融資の返済も迫ってきているので、政府にはこういった地域経済の状況を考慮した中小企業振興策を講じてほしいところです。
ワンストップサービスや独自の職員教育にも注力
多様な相談にワンストップで対応するための組織にも参画されているそうですね。
小木 15年ほど前に福井県内の弁護士、司法書士、社会保険労務士、中小企業診断士と一緒に「サムライアライアンス」という専門家集団を立ち上げ、現在も一致団結しながら顧問先支援に取り組んでいます。東京で勤めていた時もそうでしたが、顧問先からの相談は税務会計だけでなく、法務や労務など多岐にわたりますし、時には急を要するような案件が舞い込んでくることもあります。そういう意味でも、志を同じくした士業の仲間がいて、困ったことがあればすぐに相談できるのはありがたいです。また、お互いに顧問先を紹介し合うなど、顧問先の開拓という点でもシナジー効果が生まれています。
最近は職員の採用が難しくなってきたという話を耳にすることが増えていますが、貴所ではいかがですか。
小木 やはりここ数年は人手不足を痛感しています。そこで先頃、あらためて職員教育に力を入れ、未経験者でも積極的に採用する方針を掲げたところです。既に何人かの未経験者を採用していますが、実務研修やOJTなどに重きを置くことで、早い段階からしっかりと現場で活躍してくれています。
実務研修ではどのようなことを行っているのですか。
小木 月に1回の頻度で実施し、私が話題性のあるテーマについて解説する他、税務会計に関する判例を紹介しながら、事務所としての具体的な対応を議論したり、検証したりする機会にしています。
職員の皆さんとコミュニケーションをとることも重視されているそうですね。
小木 何でも言い合える風通しの良い職場にしたいと思っているので、できるだけ職員の側にいて、コミュニケーションをとるようにしています。また、コロナ禍が始まる前までは職員を誘って食事に行くこともしばしばありました。
実際、職員の皆さんは明るくて元気いっぱいといった感じです。
小木 顧問先の皆さんにもそう言っていただくことが多いですね。また、10年ほど前に始めたブログも好評で、多くの方々に読んでもらえているようです。もともとは私がそのあたりの情報発信を担っていたのですが、所長や税理士といった肩書があるとどうしても固い内容になってしまうので、今は完全に職員に任せています。職員たちがローテーションで各人の持ち味を活かしたブログを次々とアップしてくれているおかげで、顧問先の皆さんにはこれまで以上に親近感や安心感を持っていただけているようです。また、職員教育の観点からも、ブログの更新は職員の表現力アップにつながっているように思うので、これからも継続していきたいと考えています。
今後の目標についてお聞かせください。
小木 顧問先には現在の取り組みを高く評価していただいているので、経営方針そのものは変えずに、それぞれのサービスレベルの向上を図っていきたいと考えています。また、顧問先の「一番身近な相談相手」として、電子帳簿保存法の改正やインボイス制度への対応に関しても、MJSの力を借りながら着実に進めていきたいと思います。
本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします。
「祖父が武生で会計事務所を経営していたこともあって、物心がついた時には自然と自分が事務所を継ぐことになると思っていました」と話す小木先生。大学受験では漠然とそういった思いを抱きながら経済学部に進学し、大学卒業後に本格的に税理士試験の勉強を始めたと言います。そして、専門学校で学んだり、福井や東京(板橋区)の会計事務所で働きながら試験勉強にも注力し、最終的に1998年に税理士試験に合格。その後、しばらくは東京の会計事務所で働き続けていましたが、祖父上が2002年に逝去されたのを機に地元・武生に戻り、小木会計事務所を承継されたそうです。
小木会計事務所
- 所在地
- 福井県越前市堀川町5-12
- TEL
- 0778-22-2468
- 設立
- 2002年
- 職員数
- 15名
- URL
- http://www.kogi-office.jp/