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近畿会独自企画

2022年12月号

西播磨の山城巡り

兵庫県南西部にある西播磨地域では今、「山城巡り」がにわかに注目を集めています。はたして、山城巡りにはどのような魅力があるのでしょうか。「山城復活プロジェクト」を推進し、山城を活用した地域振興に取り組む西播磨ツーリズム振興協議会(事務局:西播磨県民局県民交流室地域づくり課)の上野 徳之氏にお話を伺いました。

130以上もあるとされる山城を地域資源として活用

 西播磨(相生市、たつの市、赤穂市、宍粟市、太子町、上郡町、佐用町)は兵庫県南西部に位置しており、広さは東西43㎞、南北67㎞に及び、人口も24万人ほどいるのですが、人口減少、高齢化が深刻で交流人口をいかに増やしていくかが課題となっています。そうした中、西播磨地域の7市町や観光協会、ツーリズム関連団体、西播磨県民局などから成る西播磨ツーリズム振興協議会は管内に130以上もあるとされる山城に注目。2020年に「山城復活プロジェクト」を立ち上げました。その狙いは①地域に点在する歴史資源の活用②歴史的な背景などを解説する山城ガイドの育成により、来訪者の満足度を向上させ、リピーターを増やすことで交流人口を増加させ、新たな雇用・起業の創出、地域に対する誇りと愛着を高めることを目指しています。

 西播磨の山城は主に室町時代から江戸時代にかけて築城されたものですが、これらは基本的に城址(城の跡地)であり、観光向けに整備されていないところも多々あります。そこで、まずは数ある山城の中から主要かつ比較的整備されているものを厳選し、ウェブサイト「西播磨の山城」で紹介しています。サイトでは、山城登りの難易度を初級者向け、中級者向け、上級者向けに分け、登山時間の目安などを掲載しています。例えば、城山城(たつの市)は古代と中世の山城の遺構を同時に見られる珍しい城跡ですが、勾配がかなり急で、登山口から徒歩で往復240分かかることから上級者向けに指定されています。また、サイトには歴史や見どころポイント、コースマップはもちろん、登山風景、ドローンで撮影した動画なども掲載しているので、お出かけ前、登山中にチェックしていただきたいと思います。

 こうした情報の発信と共に、ガイドの育成にも力を入れています。山城に現存しているのは石垣や堀などだけで、現地に足を運んでもなかなか当時のイメージを膨らませることができないため、同行するガイドの存在が重要な役割を果たすと考えています。プロジェクトを通じて多くのガイドを養成しており、各自が十分な知識を持っているだけでなく、武者姿で案内するなどホスピタリティにあふれた人材もいますので、山城巡りを大いに盛り上げてくれると思います。

 プロジェクトで開発したARアプリ「西播磨の山城へGO」もお勧めです。AR技術を活用して、現存しない山城の天守や櫓、屋敷・竪堀・門などが画面上に3DCGで表示されるほか、GPS機能で自分が山城のどのあたりにいるのかといったことも把握できるので、築城当時の様子を味わいながら山城巡りができます。

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デジタルスタンプラリー

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ARアプリ

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御城印(カラフル版)

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御城印(皆田和紙版)

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オリジナルキャラクター「西播磨の山城3兄弟」

山城の魅力を発信するユニークな取り組み

 プロジェクトを推進する中で、私たちはさまざまな誘客促進策を展開しています。昨年度から実施しているYAMASTA「西播磨の山城城攻めトレッキングスタンプラリー」もその一つです。これは主要な山城のうち、厳選した9城を対象としたスタンプラリーで、今年は9月からスタートし、来年の3月1日まで実施します。参加特典として山頂でのチェックイン時にオリジナルデザインのデジタルスタンプを用意しているのですが、ありがたいことにこれを目当てに全国各地からお越しいただいております。昨年度は1000人弱の方に参加いただきましたが、今年はさらに多くの方の参加を期待しています。その他にも若者をターゲットにオリジナルキャラクター「西播磨の山城3兄弟」を使ったステッカーやLINEスタンプによる情報拡散を行っています。

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 あわせてモニターバスツアー・定期観光バスも実施しています。山城と伝統文化体験、まち歩き、西播磨ならではの食が楽しめる内容で、例えば山城を踏破した後に日本刀づくりを見学し、お土産を買って帰るといった内容のツアーを今年は10コース用意しています。交流人口の拡大を図る上でも、山城を核として地域の魅力を知っていただくことは非常に重要なので、引き続きこれらの取り組みに注力し続けたいと思います。また、ツアーに限らず、西播磨には淡口醤油や揖保乃糸で知られる手延べそうめんといった全国トップシェアを誇る名物、さらには瀬戸内の牡蠣をはじめとした海の幸など、魅力的な食材が豊富にありますので、山城巡りと合わせて楽しんでもらいたいですね。

山城を活用した収益を登山環境改善に活用

 プロジェクトでは、昨年度から収益事業として御城印、御城印帳、書籍『中世播磨250の山城』(著:木内内則)などの販売を行っています。御城印は佐用町の伝統工芸品である皆田和紙を使い、それぞれの山城にゆかりのある城主の家紋をあしらって400円で販売したところ、アッという間に完売となり、原材料の皆田和紙が在庫切れに。そこで、昨年9月からはカラフル版御城印という色鮮やかなバージョンを300円で販売し、順調に売り上げを伸ばしています。今年の春からは復刻版として皆田和紙バージョンも再販しています。

 ちなみに、できるだけ現地に足を運んでもらいたいという思いから、御城印は通販を実施していません。西播磨地域の道の駅などで販売しているので、山城巡りとあわせて入手してほしいと思います。また、これらの収益事業で得た利益の一部は今後各山城の登山環境改善を行う地元団体の活動の原資として活用していくことを考えています。また、今年度より「ふるさとひょうご寄附金」(兵庫県版のふるさと納税)の支援メニューにも追加されました。地元自治会などの協力があってこそプロジェクトは成り立っているので、少しでも活動のサポートができればと考えています。

 来年夏にはJRグループと共同で全国からの誘客を図る兵庫デスティネーションキャンペーンが開催されますし、2025年には大阪・関西万博が開催されます。こうした機会を最大限に活用するためにも、今後はSNSなどでの情報発信にもさらに力を入れ、国内外に広く山城やその周辺地域の魅力を届けていきたいと思います。

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