2022年12月号
税務会計と地域貢献を両輪として
顧問先と共に成長し続ける
兵庫県西宮市で「顧問先と共に成長すること」をモットーとする東耕税理士事務所。 東耕 功所長は地域貢献にも全力を注いでおり、公的な役職を数多く兼務するだけでなく、 自ら地域活性化イベントを手掛けるなど、幅広く活躍されています。早速、そのお仕事ぶりを拝見させていただきました。
音楽活動に没頭した後に父上の事務所に入所
まずは事務所の歴史からお伺いしたいと思います。
東耕 功所長(以下、敬称略) 当事務所の創業者は私の父で、創業は私が生まれた1971年になります。生まれた時からある事務所なので、幼少期から自然と親しみを抱いていましたね。もっとも、子どもの頃は税理士がどのような仕事をしているのかは皆目見当もついていませんでしたが、ただ父がいろんな人たちと接点を持っていること、幅広い交遊関係の中で仕事に取り組んでいることなどにどことなく誇らしさを感じていたように思います。その後、音楽活動に没頭したこともあって、税理士のことはすっかり頭から離れてしまっていたのですが、20歳くらいの時に思い留まり、税理士を目指すようになりました。
音楽活動への未練はなかったのでしょうか。
東耕 ゼロだったとは言えないかもしれません。ある日、定食屋で食事をしていたら、私が抜けたロックバンドの楽曲がテレビドラマで使われていて、思わず見入ってしまったことがありました。それ以降も「あの時、脱退していなければ」と思うことはありましたが、今となっては税理士として地域に貢献することに生きがいを感じています。
バンドを脱退されてからの歩みについて伺えればと思います。
東耕 音楽活動に見切りをつけてからは、あらためて父が税理士であることを意識するようになり、大学卒業後は父の事務所に入所し、実務経験を積みながら、その合間に税理士試験の勉強を進めるという生活を送りました。在学中から会計税務の講義は受講していたため、税務会計業務には割とすぐに馴染むことができましたね。ただ、税理士試験の勉強については、なかなか時間を取ることができず、30歳になってようやく税理士登録することができました。
実際に税務会計業務を始めた頃の手応えはどうでしたか。
東耕 税理士登録するまでは内勤が多く、地道な作業が多いなという印象でした。特に当時は記帳代行を請け負うのが当たり前の時代でしたし、内勤の職員はひたすらその業務に追われている感じでしたから。 しかし、税理士登録が完了し、父と一緒に顧問先のもとを回るようになってからは、徐々に税理士業務へのイメージが変わっていきました。経営者との対話には多くの学びがあり、日々、さまざまな刺激を受けながら業務に励むことができるようになりました。
さまざまな団体に参画し地域貢献活動に注力
税理士としての経験を積む一方で、地域貢献活動にも力を入れていったそうですね。
東耕 父が近畿税理士会西宮支部や近税正風会、ロータリークラブなどの活動に熱心だったこともあり、自然と私にも声がかかり始めるようになりました。税理士登録をした途端、あれよあれよという間にいろんな業務や役職を仰せつかり、多い時には5つくらいの役職を掛け持ちしていたこともあります。
そういった活動は税理士としての業務にもプラスに働くのでしょうか。
東耕 もちろんです。特に近税正風会の活動では多くの学びを得ることができました。この団体は「税理士という職業を『夢』のあるものにしたいと考える、見識ある税理士の集まり」であり、その活動や懇親会などを通じて、多くの先輩方や仲間たちと出会い、他事務所が税務調査の時にどういった対応をしているのか、日常の税務会計業務の効率化をどのように図っているのかといったことを学ぶことができました。他事務所での勤務経験がなかった私にとって、そういった情報は実に貴重なものでしたし、そこで得られたネットワークは今もかけがえのない財産になっています。実際、自分一人では判断が難しい案件が生じたとしてもすぐに相談できる先生がいるのは大変心強いものです。社会貢献団体での活動は基本的にボランティアですが、こういった学びや縁を得られるという利点がありますし、そもそも自分たちの地域のためになることができるというやりがいもあるので、これからも精力的に取り組んでいきたいと考えています。
具体的にはどのような活動に取り組んできましたか。
東耕 税理士会でも近税正風会でもイベントを担当することが多かったように思います。また、時には勢い余って、自主的にイベントを立ち上げることもありました。2016年には苦楽園ストアーズミーティングさくら祭実行委員長として、「日本さくら名所100選」の一つにも選ばれている夙川公園(兵庫県西宮市)で、桜のライトアップイベントを企画。ライトアップ用の照明やポスター撮影用のドローンも自前で調達し、周囲の皆さんの協力も仰ぎながら無事、開催に至ることができました。それ以来、地域の春の風物詩として親しまれてきましたが、ここ最近はコロナ禍のため、舞台などでのイベントはなくし、ライトアップのみの実施となっています。また、その他にも現在、近畿税理士会西宮支部副支部長、西宮税理士協同組合常任理事、西宮市固定資産評価審査委員、西宮納税協会監事などの公的な役職に就いています。
西宮の地価の高騰を受けて相続の相談などが急増中
顧問先にはどのような特色がありますか。
東耕 顧問先の所在地は主に西宮エリアで、父の代からの顧問先が全体の3分の1くらいはそのまま残っています。以前は西宮が「酒都」ということもあり、酒屋や酒の卸業などの業態も多かったのですが、今では目減りしており、幅広い業態をカバーしています。
そういった顧問先を支援する上で大切にされていることはありますか。
東耕 一貫して心がけているのは「顧問先と共に成長すること」です。ありがたいことに顧問先の中には東京やその他の地域に別拠点を設けるなど、見事に躍進している企業があるので、私たちも負けじと頑張っていきたいですね。
西宮といえば阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けたことでも知られていますが、文教地区として名高いだけでなく、西日本最大級のショッピングセンター「阪急西宮ガーデンズ」を擁するなど、着実に発展しているイメージがあります。
東耕 そういった都市環境の整備や文教都市としての魅力が評価され、西宮市は「住みやすい街ランキング」などで上位にランクインするなど人気の地域となっています。ただ、その反面、もともとの地域住民の中には地価の高騰によって固定資産税や相続税が高くなってしまうといった課題に直面している方もいます。私は西宮市固定資産評価審査委員として、納税者が固定資産課税台帳に登録された価格に対して不服を申し立てた際に審査・決定する業務を担当しているのですが、近年、その申し立て件数が増えているような印象を受けています。2020年と2021年はコロナ禍で税率アップが据え置きとなりましたが、今年はいよいよ税率が上がってしまうので、さらに申し立てが増えるのではないでしょうか。
資産家や地主の皆さんの高齢化もあって、相続関連に紐づくニーズはさらに拡大していきそうですね。
東耕 そう思います。しかし、先述したように相続税は上昇傾向にあり、相続人の負担も大きくなっています。そのため、相続人の中には土地・建物を売却して相続税に充てたいと考えている人もいるのですが、その財産の所有者がそれを許容しないケースも。そういう時には税理士や固定資産評価審査委員という立場から客観的に複数の選択肢を示し、財産の所有者の気持ちを和らげるように努めています。
地域のために奔走するにあたって心がけていることはありますか。
東耕 どんな時も明るく親しみやすい雰囲気で顧問先と接することを大切にしています。職員もその雰囲気を大切にしてくれており、電話対応一つとっても多くの顧問先から好評をいただいています。
今後の目標についてお聞かせください。
東耕 ITを活用して、顧問先とのコミュニケーションの円滑化を図ると共に、ホームページやSNSの立ち上げを通して、事務所の情報発信にも力を入れていきたいと考えています。そうすることで、これまで以上に「西宮を元気にしたい」という皆さんと一緒にビジネスに取り組めるようにしていきたいですね。
本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします。
高校生の頃からバンド活動(ベースを担当)に没頭し始めた東耕先生は、当時、税理士になろうとは微塵も考えることなく、大学進学後もバンド活動を継続していたそうです。ところが、メジャーデビューまでもう一歩というところで「このまま音楽の道を突き進んで大丈夫なのか」と自問するように。思い切って父上に相談してみたところ、「好きなようにするといい」と言われたそうです。「なんだかんだで事務所を継いでほしいのではないかと考えていた私にとって、その答えはとても意外なものでしたし、と同時にあらためて自分が選ぶ道を真剣に考えるきっかけにもなりました」と、東耕先生は当時を振り返ります。それを機に先生は税理士を真剣に志すようになり、大学卒業後は父上の税理士事務所に入所。実務経験を積みながら勉強に励み、30歳に税理士登録されました。
東耕税理士事務所
- 所在地
- 兵庫県西宮市羽衣町5-12夙川プレイスビル5F
- TEL
- 0798-35-6665
- 設立
- 1971年
- 職員数
- 4名