東京会独自企画
2026年04月号
東京会エリアに現存する
モノレールを紹介‼
多摩都市モノレール延伸に盛り上がる 武蔵村山市
東京ミロク会計人会のエリアのうち、東京都、神奈川県、千葉県には4つのモノレールが存在します。そこで、今号ではそれらの特色を紹介しながら、2025年3月に延伸が決定した多摩都市モノレールに注目。 中でも東京49区市で唯一、鉄道駅がない武蔵村山市にお話を伺い、これまでの取り組みと今後の展開についてお伝えしたいと思います。
「モノレール」、その名前は1本(モノ)の軌道(レール)に跨って、もしくは懸垂しながら運行することに由来しています。最大の特徴は、道路などの公共空間の上を運行できることです。新たに土地を取得する必要があまりなく、自動車のような交通渋滞の影響を受けることもありません。
日本での歴史は長く、1951年に東京の豊島園内に遊具施設としてモノレールが建設されたのが始まりです。57年には東京都が上野動物園内に懸垂型モノレールを建設。64年には東京オリンピックの開催に合わせて東京モノレールが開業しました。以来、道路渋滞などを緩和する新たな交通機関として脚光を浴び、全国各地で導入されていったそうです。
現在、東京ミロク会計人会のエリアである1都3県(東京都、神奈川県、山梨県、千葉県)には、東京モノレール、多摩都市モノレール、湘南モノレール、千葉都市モノレールという4つのモノレールが存在します。それぞれの特色については、以下の通りですが、いずれも地域住民の〝足〟として長年にわたって親しまれ続けています。
今回はこの4つの中でも多摩都市モノレールに注目します。2025年3月に決定された多摩都市モノレールの延伸計画(上北台~箱根ケ崎間)は、上北台駅が位置する東大和市上北台一丁目から武蔵村山市内を通過し、JR箱根ケ崎駅が位置する西多摩郡瑞穂町大字箱根ケ崎に至るもので、延長は約7㎞となります。延伸部には7つの駅の新設が計画されており、30年代半ばの開業を目指しています。武蔵村山市には、(仮称)No.1駅※〜(仮称)No.5駅の5つの駅が整備される予定です。そこで、東京49区市で唯一、鉄道駅がない武蔵村山市の武蔵村山市 都市整備部交通企画・モノレール推進課に、これまでの歩みと今後の展望について伺いました。
※(仮称)No.1駅については、東大和市と武蔵村山市の境に設置予定
●東京モノレール
1964年の東京オリンピックに合わせて開業。羽田空港の拡張、沿線開発の進展に合わせて、路線の延長整備や中間駅の新設が行われ、現在はモノレール浜松町~羽田空港第2ターミナル間の延長17.8kmで運行されている。昨今では浜松町駅周辺エリアについて、広域的につなぐ歩行者ネットワークの構築、浜松町駅の交通結節点としての機能強化などを図っている。
●多摩都市モノレール
1998年に立川北~上北台間(5.4km)を開業。その後、2000年に多摩センター~立川北間(10.6km)を開業し、現在は多摩センター~上北台間の延長16kmを運行している。多摩地域を南北に縦断しており、都心と多摩地域を結ぶ西武鉄道やJR東日本、京王電鉄、小田急電鉄と接続することで、多摩地域の交通利便性を格段に向上させた。
●湘南モノレール
1970年に大船~西鎌倉間を部分開業し、1971年に現在の湘南江の島駅までの6.6kmを全線開業した。江の島は観光地としても名高く、沿線住民はもちろん、観光客にも親しまれている。また、2032年頃の開業を目指しているJR東海道線の村岡新駅(仮称)は、湘南モノレールの湘南深沢駅に近く、昨今、周辺地区のまちづくりが進展している。
●千葉都市モノレール
1988年にスポーツセンター~千城台間で営業を開始し、現在は1号線(千葉みなと~県庁前間)と2号線(千葉~千城台間)が運行。延長は15.2kmに達し、懸垂型モノレールとしては世界最長を記録している。近年はエコな設備類の導入や再生可能エネルギーの活用などに力を入れるなど、SDGs(持続可能な開発目標)を推進している。
長年にわたる活動が奏功し延伸と新駅開業が実現
武蔵村山市は東京49区市で唯一、鉄道駅がないこともあって、私たちにとって今回の延伸はまさに悲願でした。延伸を要望してきた歴史は長く、1992年に東京都の会議で上北台~箱根ケ崎間を事業化すべきと決定されて以降、武蔵村山市は東京都に積極的に働きかけ続けてきました。また、2009年には市民団体の「モノレールを呼ぼう!市民の会」が発足し、村山デエダラまつりの際に多摩都市モノレールの延伸に関するイベントを実施するなど、官民協働の運動も展開。さらに、近年では情報誌を発行したり、武蔵村山市多摩都市モノレールフォトコンテストを実施したり、オリジナルカレンダーを制作したりと、さまざまな形で機運醸成に努めてきました。結果、23年に東京都と多摩都市モノレール(株)において、素案説明会が開催され、ついに25年に都市計画決定に至ったのです。長年の悲願だっただけに、延伸が決定した際の市民からの反響は非常に大きく、多くの喜びの声、安堵の声が寄せられました。また、武蔵村山市では25年を「多摩都市モノレール延伸元年」として、市役所本庁舎に横断幕や看板を掲げるなどしています。
今回の延伸で市民の生活が大きく変わることになります。例えば、現在は武蔵村山市役所からJR立川駅までバスで34分、雨天などで渋滞が発生するとそれ以上に時間がかかるのですが、延伸部が開業すれば(仮称)No.3駅から20分程度でアクセスできるようになります。
新駅周辺の特徴と今後のまちづくりの方針
沿線のまちづくりについては、狭山丘陵をはじめとした豊かな自然を生かすことを前提に「武蔵村山らしさを守り、育てるとともに人を呼び込み、人でにぎわう楽しいまち」というビジョンを掲げています。今後は駅ごとにまちづくり協議会を立ち上げ、関係者の皆様と一丸となって進めていくのですが、ここでは現時点における各駅周辺の方針について紹介したいと思います。
(仮称)No.1駅周辺は5つの駅のうち、最も立川と都心に近いエリアで、近年は住人の高齢化が進む都営村山団地があります。そこで「~“あの”武蔵村山へようこそ~多くの人を呼び込み多様な交流や活動を推進するまち」というテーマの下、多様な商業施設や市の魅力を発信する施設を誘致するとともに、観光スポットや魅力的な駅前空間の創出、商店街の活性化などを図っています。また、子育て世代の転入とともに、多世代交流を促進しながら、来街者を呼び込みたいと考えています。
(仮称)No.2駅周辺の特徴は公共用地と農業用地の割合が高いこと、そして医療系施設や教育系施設が立地していることです。そこで「~おせっかいがつなぐ灯(あか)るいまち~思いやりやおせっかいが人と人をつなげる健康と交流のまち」というテーマの下、村山医療センターや東京経済大学などと連携し、健康とスポーツのまちづくりを進める他、豊富な農業用地を生かし、交流促進やにぎわい創出につながる農業体験などを推進していきます。また、駅周辺には商業施設や飲食店、交流空間などを誘致し、人が集まり、交流する明るいまちづくりを推進していきたいと思っています。
(仮称)No.3駅周辺は市役所や大規模商業施設、武蔵村山病院、大型温浴施設があり、昼間人口の割合が高いという特徴があります。そこで「~ここから広がるクロスポイント~人・物・自然が集いイノベーションが生まれまんなかとなるまち」というテーマの下、大規模なイベントの推進や滞留空間・交流空間となる公園の整備などにより、人や物が集まり、にぎわうまちづくりを進めていきます。また、市の中心拠点として、商業、住宅、行政サービス、高次医療、防災、魅力の発信、宿泊、業務などの多様な都市機能の集約・維持を図ったり、沿道のにぎわい創出や歩行空間の確保などにより、歩いて楽しめるウォーカブルなまちづくりを推進したいと考えています。
(仮称)No.4駅周辺は戸建住宅用地、農業用地の割合が高い地域で、美しい自転車道や一級河川の残堀川(ざんぼりがわ)、桜並木、山王森公園などがあります。そこで「~桜舞う憩いのまち~豊かな自然の中で、ゆったり憩うレクリエーションのまち」というテーマの下、桜並木の野山北公園自転車道を生かしたイベントなどの推進、サイクリング・ウォーキングなどの拠点の整備などにより、交流とにぎわいのまちづくりを進めていきます。と同時に、桜並木や山王森公園、残堀川などの自然環境と落ち着いた住環境の保全を図り、ゆったりと過ごすことのできる憩いのまちづくりを目指す予定です。
(仮称)No.5駅周辺は1~2階建ての建物の割合が全体の9割以上を占める一方で、総合体育館や里山民家、多摩開墾、残堀川などの地域資源があります。そこで「~帰ってきたいと思える緑のまち~子どもが伸び伸びと育ち住み続けたいと思えるまち」というテーマの下、里山民家などの地域資源を活用した体験・遊びの機会の充実、子どもの居場所・活動の場の創出により、子どもたちがまちへの愛着を深めながら伸び伸びと育つことができるまちづくりを進めていきます。落ち着いたゆとりある住環境の保全を図るとともに、子育て支援施設や生活利便施設の立地誘導による子育て環境の充実を図り、子育てしやすいまちづくりを推進していきたいと思います。
こうしたまちづくりを進める一方で、武蔵村山市としては広域連携なども積極的に推進し、隣接する市町で観光振興などを図るとともに、小型モビリティなどの導入、小規模な交通ネットワークの形成を進めたいと考えております。
各年の10月1日の人口推移を見ますと、当市の人口は1995年に一度増加のピークを迎え、その後、一旦減少傾向を示した後、2002年頃から再び増加傾向に転じ、19年から25年は減少傾向にあります。今回の延伸と新駅開業を機に人口や交流人口の底上げを図れるよう、関係者の皆様と一緒に全力を投じていきたいと思います。
