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北陸会企画

2019年03月号

海越しに立山連峰を望む
世界でも稀有な景観の富山湾

 2014年に「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟した富山湾。日本海から立山連峰までの雄大な景観や漁業・工業・商業・観光などの経済活動、県民参加による海を守る活動などが高く評価されたもので、翌15年には「美しい富山湾クラブ」が発足されました。同クラブの理事・事務局長の高桑 幸一氏(富山大学経済学部客員教授・富山県セーリング連盟理事長)に、富山湾の特徴と環境保全のための取り組みと同クラブの活動についてご紹介いただきました。

 3000m級の北アルプス・立山連峰から50㎞で海に達し、岸から10㎞で水深1000m以上の海底に達する富山湾。その急峻さは世界に類を見ないダイビングスポットとしても世界中のダイバーを魅了しています。

 この富山湾が「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟認定された際に 最も評価されたのは、やはり「海越しに見える3000m級の立山連峰」でした。雄大な景観が素晴らしいだけでなく、山々に降り注いだ雨や雪の半分が長い年月をかけて海底から地下水となって湧出して蜃気楼を現出させたり、太古の世界の埋没林を海中に保存したり、ホタルイカの産卵に適した環境を生み出したりしている点も高く評価されました。

 今年5月に設立5年目を迎える「美しい富山湾クラブ」は114の法人会員と317人の個人会員からなります。富山湾を囲むのは富山市、高岡市、氷見市、射水市、滑川市、魚津市、黒部市、入善町、朝日町の9つの市町です。当クラブではこれらの地域で地元の方々とともに景観保全活動を行っています。その活動の一環として、昨年8月5日には射水市海老江海浜公園で「グルッと手をつないで、美しい富山湾」(「富山湾ふれあいビーチフェスティバル」と同時開催)を開催し、520人がゴミの回収作業に参加しました。そして、作業終了後には参加者全員で手をつないで湾を囲み「ブラボー!」と声をあげ、富山湾を慈しみました。今年10月には「世界で最も美しい湾クラブ」総会が富山市で開催されますので、富山湾岸50㎞を5万人で手をつないで囲むという壮大なイベントを計画しています。

世界で最も美しい湾クラブ

 一方、世界中の湾が抱える共通の課題が海洋ゴミの問題です。日本の海岸には毎年60万t程度のゴミが漂着しますが、その中に含まれる人工物のうち、プラスチックと発泡スチロールが9割超となっています。対馬海流に乗って運ばれてくる海洋ゴミは能登半島でブロックされているため、富山湾に流れ着く漂着ゴミは川の上流から運ばれてきた県内のものがほとんどです。こうした海岸ゴミはボランティアの方たちが中心になって拾い集めていますが、それだけではゴミはいつまで経っても減りません。これからはますます上流域の人たちを巻き込んだゴミを捨てない運動、プラスチックを使わない運動を推進していかなければならないと思っています。

高桑 幸一理事・事務局長。北陸電力でエンジニアとして勤務した後、富山ユネスコ協会会長を務めた経歴を持つ

高桑 幸一理事・事務局長。北陸電力でエンジニアとして勤務した後、富山ユネスコ協会会長を務めた経歴を持つ

雨晴(あまはらし)海岸。高岡市北部の海岸で海越しの立山が見える絶景ポイント。能登半島国定公園に指定されている

雨晴(あまはらし)海岸。高岡市北部の海岸で海越しの立山が見える絶景ポイント。能登半島国定公園に指定されている

プラごみと呼ばれる発泡スチロール、ペットボトル、レジ袋などのゴミを減らすことが課題となっている

プラごみと呼ばれる発泡スチロール、ペットボトル、レジ袋などのゴミを減らすことが課題となっている

氷見市沖合1kmにある富山県最大の無人島、虻ヶ島(あぶがしま)から望む立山連峰

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「タモリカップ」富山大会のヨットパレードでベストパフォーマンス賞を獲得した花子チーム。パレードとヨットレースは誰でも観覧できる

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