CHANNEL WEB

東北会企画①

2019年05月号

復興のシンボル
「気仙沼大島大橋」が開通
地域活性化の架け橋に

 この4月に開通する宮城県気仙沼市の離島・大島と本土を結ぶ「気仙沼大島大橋」は、東日本大震災で大きな被害を受けた気仙沼の復興のシンボルとして、そして新たなランドマークとして期待されています。そこで、この気仙沼大島大橋架橋の経緯と気仙沼大島の魅力を伺うため、気仙沼市産業部観光課を取材しました。

50年来の悲願だった大橋が2019年4月に開通

 気仙沼大島大橋は、「緑の真珠」と呼ばれる東北最大の有人離島「大島」を本土と結ぶ白亜のアーチ橋で、東日本大震災後の2014年11月に着工され、18年11月に工事が完了しました。そして、それから約半年を経てこの4月7日に開通となりました。

 大島は気仙沼市街地の対岸正面に位置し、気仙沼本土とは最も狭いところで230mしか離れていません。にもかかわらず、本土との交通手段は1日16往復、乗船時間約30分のフェリーをはじめとした定期航路のみで、本土側で仕事をする島民はフェリー乗り場と降り場の両方に自家用車を置いて通勤するといった状況でした。また、物流や病人の搬送に時間がかかる、水道・電話などのライフラインをすべて海中または海底に敷設しなければならない、観光客が足を延ばしづらいといった課題もありました。つまり、住民の日常生活の利便性の向上、さらには大島地域の観光振興を図るという観点からも、架橋は多くの大島地区の住民にとって悲願だったのです。ちなみに、この架橋計画が事業として位置づけられたのは1967年のことでしたが、紆余曲折を経て宮城県が正式に架橋事業を決定したのは01年になってからでした。

 その後、架橋事業が急ピッチで進められることになった背景には、東日本大震災がありました。東日本大震災で発生した津波により、大島地区の住民は長期間にわたって孤立し、あらためて気仙沼大島大橋の必要性が認識されたのです。そして、復興のシンボル事業として13年に架橋事業が本格的にスタート。翌年には着工となり、今年4月、ついに「50年の悲願の大橋」が開通に至りました。

新たなランドマークとして観光交流などの活性化に期待

 気仙沼大島大橋の橋脚間の長さは297mにも及び、アーチ橋としては東日本最大の規模を誇ります。17年3月には2700tの橋の本体部分を大型のクレーンで吊り上げ、橋脚に載せるというダイナミックな作業が行われ、その様子はNHKのドキュメンタリー番組『プロフェッショナル・仕事の流儀』でも取り上げられました。

 この橋が架けられた場所は、大島と本土側の鶴が浦に挟まれた大島瀬戸と呼ばれる場所です。ここは気仙沼の中でも特に風光明媚な場所で、これまでも遊覧船のクルーズから素晴らしい絶景を楽しむことができましたが、架橋が実現した現在は橋上からも大島瀬戸の絶景を楽しむことができます。ちなみに、気仙沼大島大橋には歩道もついており、徒歩でも渡ることが可能です。爽やかな潮風を受けながら、徒歩や自転車で橋をゆっくりと渡ってみるのもいいかもしれません。

 ここでせっかくですので、大島の観光スポットについてもご紹介したいと思います。大島最高地点の海抜235mの亀山からは360度のパノラマで島全体とリアス式海岸線、雄大な太平洋が見渡せます。その他、美しい景観が楽しめるスポットとしては十八鳴浜、小田の浜海水浴場、龍舞崎などがあります。また、大島の特産には島に群生する椿から採った椿油、ブルーベリーなどがありますが、もちろん、とびきり新鮮な海の幸も忘れてはいけません。島内の飲食店で四季折々の海産物が賞味できますので、ぜひ味わってみてください。その他にも、大島は星空がきれいな島としても有名ですし、フィッシングの名所であり、大きな釣り大会や地引網も行われています。レンタサイクルで島内を見て回り、レジャーを楽しみながら、新鮮なシーフードに舌鼓を打つ―。そのようにして大島を「見て、遊んで、食べて」いただけます。なお、宿泊施設は旅館、民宿合わせて18施設・193室あり、合計850人まで宿泊可能なので団体旅行でも訪れることができます。

 三陸自動車道と気仙沼大島大橋を利用すれば、大島までは仙台から2時間で足を延ばすことができます。気仙沼湾の新しいランドマーク「気仙沼大島大橋」が完成したこの機会に、大島観光を楽しんでみてください。

気仙沼大島大橋(愛称:鶴亀大橋)

気仙沼大島大橋(愛称:鶴亀大橋)

気仙沼大島大橋(愛称:鶴亀大橋)

気仙沼大島大橋(愛称:鶴亀大橋)

大島大橋の架設位置

大島大橋の架設位置

島内最高地点の亀山(海抜235m)から見た大島

島内最高地点の亀山(海抜235m)から見た大島

小田の浜海水浴場も体験できる

小田の浜海水浴場も体験できる

気のマリンスポーツ「サップ」も体験できる

気のマリンスポーツ「サップ」も体験できる

晩秋から晩春にかけては牡蠣、夏はウニ、秋のサンマ、冬はアワビといった具合に季節ごとに豊富な食材に恵まれている。また「海鮮バーベキュー」(1人前1500円~)では機材を準備してもらって、それらの食材を存分に味わうことができる

晩秋から晩春にかけては牡蠣、夏はウニ、秋のサンマ、冬はアワビといった具合に季節ごとに豊富な食材に恵まれている。また「海鮮バーベキュー」(1人前1500円~)では機材を準備してもらって、それらの食材を存分に味わうことができる

イクラ、鮭、サンマ、カツオ、アイナメ、ヒラメ、イカ、タイ、マグロ、ウニ、タコ、エビと、気仙沼大島の新鮮な海の幸が盛られた豪華海鮮丼

イクラ、鮭、サンマ、カツオ、アイナメ、ヒラメ、イカ、タイ、マグロ、ウニ、タコ、エビと、気仙沼大島の新鮮な海の幸が盛られた豪華海鮮丼

大島の星空

大島の星空

▲ ページトップ