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事務所 訪問

2019年05月号

税理士法人キーファス 写真

相続・事業承継などのニーズに柔軟に対応
常に前向きに顧問先の〝思い〟に寄り添う

岩手県の花巻市と盛岡市に拠点を持つ税理士法人キーファス。梅木 彰厚先生と佐々木 恵太先生が立ち上げたこの法人は、一般的な税務会計業務だけでなく、相続や事業承継などの対策を得意とし、花北地区(岩手県の花巻市と北上市)や盛岡市周辺の顧問先を支援しています。早速、その仕事ぶりを拝見してみましょう。

3つの事務所を合併し新法人を設立

2016年3月に法人を設立されたそうですが、それまでの経緯についてご紹介ください。

梅木 彰厚代表社員(以下、敬称略) もともと私は祖父が営んでいた会計事務所で長年にわたって働いていたのですが、58歳の時に独立を目指して大学院に進学し、61歳で税理士登録を果たし、12年11月からは自身の事務所を経営していました。そんな矢先、祖父の事務所を承継していた先生に後継者がいなかったこともあり、その後を私が承継するという話が持ち上がってきました。しかし、そうなると既に60代になっていた私だけでは荷が重いし、一人で日々刻々と変化する税法や新しいテクノロジーについていくのは難しいという思いがありました。そこで、「誰か一緒に事務所経営に携わってくれる先生はいないか」と私が通っていた大学院の教授に相談したところ、現在、一緒に事務所を切り盛りしている佐々木先生を紹介していただいたのです。

佐々木 恵太先生(以下、敬称略) 梅木先生の担当教授が私の親の先輩だったこともあって、親からその話を聞きました。独立して間もない私にとっては魅力的なお話だったので、まずは梅木先生とお会いしてみたいと思い、14年頃に面会させていただきました。実際にお会いしてみて、とても真摯に業務に向き合われている印象を受け、お話を前向きに進めさせていただくことにしました。

実際に合併するにあたってはどのようなご苦労がありましたか。

梅木 祖父の事務所を承継されていた先生との間での合併と法人化の合意形成がなかなかつかず、しばらくは暗礁に乗り上げた状態になっていたのですが、その先生がお亡くなりになってしまい、15年5月頃から先生のご家族や職員、顧問先の皆さんの合意を得て、急いで合併を進めることになりました。なにせ急ピッチでシステムの一本化やデータ移行を進めなければならなかったので、最初の頃はとにかく慌ただしかったです。また職員に関しても、新たな職場環境や仕事の仕方に戸惑いがあったように思います。それでも、どうにかこうにか決算期を乗り越えることができたおかげで、徐々に組織として一枚岩になることができていったように思います。

顧問先の主要エリア花北地区の現状

そういった経緯を経て、税理士法人キーファスは誕生したのですね。ちなみに、この法人名の由来はどういったものなのでしょうか。

梅木 「keep your face to the sunshine」の「k」「y」「f」「a」「s」を取ったものになります。佐々木先生がいくつか候補を出してくれたので、その中から二人で話し合って決めました。

佐々木 ヘレン・ケラーの「keep your face to the sunshine and you cannot see the shadow.」(いつも太陽に目を向けていなさい。そうすれば影を見ないですむ)という言葉の一節から引用しました。私たちにしても顧問先にしても、前向きな姿勢であり続けることが大切だという思いを込めました。

顧問先のエリアはどのようになっていますか。

梅木 花巻市とそれに隣接した北上市を中心とした花北地区が主なエリアになっています。

盛岡支社もあるようですね。

佐々木 もともと私が開業した事務所を支社にしており、当時からの顧問先は今もその支社で支援しています。もちろん、法人設立以降に増えた盛岡周辺の顧問先についても支社で担当しています。

梅木先生は長年にわたって花北地区の顧問先を支援されてこられましたが、地域の景況感の変遷についてどのような印象をお持ちですか。

梅木 最近一番感じるのは、花巻と北上の盛り上がりの差です。昔は花巻のほうが景気が良かったし、今も花北地区を所管する税務署は花巻の方にあります。ところが、近年は北上が大規模工場などの誘致に成功したこともあって、住宅地も商業地も北上の方がはるかに盛んに開発されています。このギャップはかなり深刻なものになってきているので、北上の経済効果をより広範囲に広げていかなければなりませんが、そのためには北上と花巻の行政や民間が協力し、連携を図っていかなければならないでしょう。

写真1

昨年に内装を一新したオフィスです

〝思い〟を大切にした相続と事業承継を推進

顧問先にはどのような業種が多いのでしょうか。

梅木 北上周辺はやはり製造業の顧問先が多いですね。ただ、全体を見ると製造業だけでなく、NPOから社会福祉法人、農業生産法人、農事組合法人まで幅広い業種や種類の顧問先をサポートしています。

最近はどのような相談が増えていますか。

梅木 震災から8年が経過したこともあってか、最近は税務調査なども厳しくなってきているようで、その対策に関するニーズが高まっています。

梅木先生と佐々木先生にはそれぞれ得意分野などはあるのでしょうか。

梅木 私は相続を得意としており、佐々木先生は事業承継を得意としています。ということもあって、私の場合はよく土地評価などの業務で外出することが多いです。

外出時には職員の皆さんとどのように連携を図っているのですか。

梅木 私の日程については、グーグルカレンダーに入力して職員全員に共有することで、私がいつ、どこで何をしているかを職員に把握してもらえるようにしています。また、新規のアポについては、職員に私のグーグルカレンダーをチェックしてもらい、直接書き込んでもらえるようにしています。そうすることで、外出が多くても日程調整などの際にタイムラグが生じないようにしているのです。

相続においては、どのような点に注意されていますか。また、どのような相談やニーズが増えていますか。

相続では委託者の

相続では委託者の"思い"を大切に案件に臨む梅木 彰厚先生(右)と、
事業承継案件を得意とする佐々木 恵太先生

梅木 相続の案件を引き受ける際には、相続税を抑えたり算出したりするだけでなく、何より委託者の〝思い〟に重きを置かなければなりません。そこで、当事務所では最近、民事信託を積極的に提案するようにしています。民事信託とは受託者を特定の人物に限定し、家族間における財産の管理や移転、処分などを柔軟に取り決められる手法のことです。そのため、事前にヒアリングなどを通してしっかりと準備を進めておけば、相続争いなどのリスクを最小限にしながら、委託者の〝思い〟に則った相続をスムーズに行うことができるのです。この民事信託に関するニーズは年々増えており、当事務所でもセミナーなどを通じて、広くそのスキームを紹介するように努めています。おかげで、最近は月に数件は相続に関する問い合わせが舞い込んできているほどです。この機会に相続や民事信託に関するノウハウを蓄積し、さらなるサービス向上に努めていきたいですね。

佐々木 相続にも関連する話なのですが、昨年から事業承継税制が大きく改正され、後継者が先代から株式などを贈与・相続で取得した際、経営承継円滑化法による都道府県知事の認定を受けると、贈与税・相続税の納税が猶予されることになりました。こういった知見についても顧問先に広く伝え、スムーズな相続・事業承継が行われるように尽力しています。

相続や事業承継をサポートしていくにあたっては、職員の皆さんの協力も欠かせないかと思いますが、そのあたりについてはいかがでしょうか。

佐々木 業務拡大に伴って職員のレベルアップにも努めており、MJSのものも含め、さまざまな研修に参加してもらうようにしています。もちろん、それと同時に職員の自発性やモチベーションを高めることも肝心になりますが、私たちが一方的に言い過ぎるのも良くないので、その点についてはリーダークラスの職員たちと連携し、私たちの考えや意図を職員全員に伝えてもらうようにしています。

今後の展開についてお聞かせください。

梅木 私もだいぶ高齢になってきたので、最近は引き際を真剣に考えています。そのためにも、折を見て新たに資格者を雇用し、税理士法人としての体制をより強固なものにしておきたいですね。

佐々木 持続的な経営を目指し、働き方なども随時見直しながら、職員全員が長年にわたって気持ち良く働ける環境を整えていきたいと考えています。

本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします。

税理士までのあゆみ

梅木先生

 

 学生時代は「特に明確な目的意識を持っていなかった」という梅木先生ですが、「祖父が会計事務所を営んでいたので、いずれはそこで働くことになるのではないかと思っていた」そうです。そして、実際に祖父の事務所に入所することになったそうですが、目の当たりにした祖父の働きぶりは実に精力的で、その様子にしばしば圧倒されることもあったと言います。同事務所でベテラン職員となってからは番頭として事務所経営を支えていましたが、知人からの勧めを受けて58歳くらいから税理士資格の取得を目指して大学院に進学。見事に修士課程を修了し、61歳の時に登録・開業を果たしました。

佐々木先生

 

 もともとは一般企業などへの就職を考えていたという佐々木先生ですが、大学卒業時がいわゆる就職氷河期と重なり、思い切って大学院に進学することにしたそうです。そして、修士課程では主に会社法を専攻していたそうですが、指導教授から税理士への道を勧められ、税理士を意識するように。卒業後は税理士法人での勤務を経て、一般企業で財務・経営企画などの業務を経験。さらに大手税理士法人でも勤務し、その間に税理士資格も取得、その後独立しました。ほどなくして梅木先生とのご縁があり、税理士法人キーファスの設立に携わることになったそうです。

税理士法人キーファス

所在地
【本部】岩手県花巻市桜台1-6-21 プルニエビル2F
【盛岡支社】岩手県盛岡市菜園1-3-6 農林会館7F
TEL
0198-29-5451(本部)
設立
2016年
職員数
17名

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