
笑顔と信頼の顧問先支援に徹し
持続可能な事務所経営を目指す
熊本県玉名市の本店と熊本支店(熊本市)の2カ所の拠点を持つ税理士法人東パートナーズ。東 吾郎所長は先代となるお父上から続く「顧問先に『自社の経理部門』と感じてもらいたい」という支援方針を引き継ぎ、丁寧な税務・経営支援に徹してきました。近年では持続可能な事務所経営を目指し、行政書士や社会保険労務士の資格取得によるサービス拡充を推進、新卒を含む採用活動にも積極的に取り組まれています。
「自社の経理部門」と感じてもらえる関係性づくり
単なる会計事務所ではなく、「自社の経理部門」と
感じていただけるよう支援されていると語る東先生
東先生は玉名市役所の職員を経て税理士になったそうですね。
東 吾郎所長(以下、敬称略) 市役所では福祉などの部署に計6年間、勤務しました。行政サービス業務を通じて地域の生活や産業の現場を見てきた経験は税理士としての強みになっていますし、顧問先からの信頼にもつながっていると思います。もちろん、当時の同僚や先輩・後輩たちとは現在も親交があり、そのネットワークが新たな顧問先の獲得につながることも多々あります。
そうした強みを活かしながら、どのような方針で顧問先の税務・経営支援に取り組まれているのでしょうか。
東 父の代から一貫して「笑顔と信頼のパートナーシップ」を掲げ、単なる「顧問先と税理士事務所」の関係ではなく、顧問先に我々のことを「自社の経理部門」と感じていただける関係性を目指しています。私もスタッフたちも、自分たちは顧問先の一員であるという意識を常に念頭に置いており、その上で経営者との密なコミュニケーションを心がけています。
地場産業の経営者たちの税務・経営を下支え
顧問先の業種の傾向をお聞かせください。
東 玉名市は主要産業が農業ということもあって、法人・個人ともに農業関係の事業者が多いですね。法人でいえば、主に玉名市と近隣の荒尾市や熊本市の150件ほどの税務顧問を務めていますが、その約半数が農業関係です。個人事業者の顧問先に至っては農家が約8割を占めています。
栽培品目はトマト、ミカン、イチゴ、米の順に多く、ここ数年は特に若手農家が増えており活気を感じます。高齢・後継ぎ不在で離農してしまうところもありますが、新しい世代の農家がそうした農地を購入して規模拡大を図り、インターネットでの直売に注力して売上増に成功しているケースもあり、中には個人事業主から法人成りした顧問先もいます。
顧問先の農業法人化にあたって、税務・経営面ではどのようなアドバイスを行っていますか。
東 規模拡大の途上にある個人事業主にとって最も気になるのが、法人化に伴って増える経営コストです。特に法人化すると、社会保険への加入が義務となりますから、従業員の社会保険料について、どのくらいのコストがかかってくるのか、その他の費用についても詳しく確認されたいという方が多いです。私からは法人化に伴いそこで従業員の社会保険料など、どんなところにどのくらいの、何に対してどのようなコストがかかってくるかを一つひとつ丁寧に説明するとともに、法人化による税制上の優遇措置や、取引先や金融機関から信頼を得やすくなるといったメリットなど、経営判断の材料となるものを余すところなく伝えるよう心がけています。
農業以外の顧問先としては、どんな業種が多いのでしょうか。
ログハウスのようなつくりで所長と職員の距離が近く、
ぬくもりや癒しを感じる事務所です
東 建設業や飲食業、サービス業、医療関係などさまざまですが、玉名市は海が近いので水産加工業も多いですね。私の父は税理士になる前にノリ製造業に携わっていたことから、ノリ加工・製造・卸売業の顧問先を多く抱えていました。多くは地元の大手企業の下請けで、ある時その大手企業が全国展開のために地元を離れ、彼らの経営が一時悪化してしまいました。しかしその後、独自の販路開拓や自社製品の開発などに取り組み、最近ではかなり勢いをつけています。中には自社工場で加工したノリを全国区の大手量販店や飲食店、コンビニエンスストアなどに納品している事業者もいます。
税理士の立場から見て、そうした顧問先経営者が順調にビジネスを拡大できたポイントはどのあたりにあると思いますか。
東 業種を問わず、人的ネットワークを広げる努力を惜しまなかった点でしょうか。少なくとも、その経営者は着実に事業拡大を進めているように思います。私自身、青年会議所やロータリークラブ、地元の経済団体の集まりや勉強会、市の農業委員会など、いろいろなところに積極的に顔を出して人と交流し、その中で新たな顧問先を得て仕事の幅を広げてきました。顧問先経営者には日頃から、そうした活動がいかに大事かをアドバイスしています。
顧問先のデジタル化やDXの推進についてもお聞かせください。
東 高齢の経営者も多いのであまり自計化やデジタル化のためのシステム導入などを支援することはないのですが、ITツールに抵抗のない若手経営者に対してはMJSの「かんたんクラウド」シリーズなどをおすすめしており、一定の顧問先の皆様から支持を得ています。MJSのパッケージソフト「ACELINK NX—CE」を導入している事業者も実は多いのですが、販売管理や給与計算システムの利用は一部に留まっている例もあるので、タイミングを見て使い方をお伝えするなど、焦らず各事業者の状況に合わせてサポートしていきたいと考えています。
持続可能な経営のためにサービス・人員を拡充
持続可能な経営を目指し、サービスの拡充に取り組まれていると伺いました。
東 約2年前、私自身が行政書士の資格を取得し、建設業許可申請や農地転用の許可申請などの手続きにも対応できるようにしました。さらに目下、社会保険労務士の資格取得にも取り組んでおり、人事・労務管理や社会保険・労働保険の手続き、就業規則の作成・改定、助成金の申請代行などにもワンストップで対応できる体制の構築を目指しています。もちろん、私自身がこうした他士業の資格を取得するだけでなく、職員たちにも各種申請手続きに関する勉強をしてもらっています。また、建設業許可申請を担当する人材を新たに雇用するなど、採用活動にも力を入れています。
最近、新卒の採用も行ったそうですね。
東 顧問先数の拡大に合わせて20代の若手を中心に年1人ペースで採用を続けており、今年4月には当事務所としては数十年ぶりに新卒採用を行いました。20~30年勤続しているベテランがそうした若手職員を指導していますが、勤続10年前後の中間層が少ないのが現状の課題です。今年2月に敷地内に新たに2階建てのオフィスも建てたので、引き続き人員拡充を進めたいと思います。
最後に、事務所の事業承継についてお聞かせください。
東 幸いにも現在、大学4年生の娘が税理士を目指しています。既に当事務所の業務も一部手伝ってくれており、頼もしい限りです。大学卒業後は別の事務所に就職して実務経験を積むようですが、いずれは事務所を引き継いでもらいたいと考えています。気が早いかもしれませんが、娘にはぜひとも私の父の代から掲げてきた「笑顔と信頼のパートナーシップ」を守り、和気あいあいとした雰囲気の事務所にしていってほしいですね。
今後より一層の発展をお祈り申し上げます。
History & Story税理士までのあゆみ
小学3年生の時、先代の父が会社員を辞めて税理士となったことで、初めて税理士という職業を知った東先生。「いずれは父の事務所を引き継ぎたい」という思いはあったそうですが、大学卒業後は地元の玉名市役所に就職。環境や年金、福祉関係の部署に計6年間勤め、広く市民の生活の実態に触れたといいます。そんな折、先代が一時期、体調を崩されたことを機に、あらためて事務所の承継を意識された東先生は、市役所を退職し、先代が経営する会計事務所に入所。実務に携わるかたわら勉強を続け、2012年に税理士資格を取得されました。その後、14年には税理士法人化を果たして先代とともに代表税理士となり、さらに2年後には妹の菜保子さんが熊本支店の担当税理士として加わり、2拠点体制となりました。
税理士法人東パートナーズ
- 所在地/
- 熊本県玉名市伊倉南方985-1
- TEL/
- 0968-73-6628
- 設立/
- 2012年
- 職員数/
- 16名
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熊本県玉名市の名産品とご当地グルメ
「横島ハピナス」
「横島ハピナス」のPRチラシ。
現在、HPも制作中/輪切りにした横島ハピナスの上にチーズを載せてオーブンへ。簡単にできる絶品レシピです ※「横島ハピナス」公式インスタグラムより
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熊本県玉名市は農業が盛んで、特にトマトやイチゴ、ミカンの産地として知られていますが、忘れてはならないのがナスです。熊本県のナスの生産量は全国2位の実績を誇り、この中でも玉名市横島町の横島ハピナス生産組合が「みんながハッピーになれるようなナス」ということで命名したブランドナス「横島ハピナス」がこのところ存在感を増しているようです。
生産農家のひとりである坂西 英一郎さんによれば、これは海に面したミネラル豊富な横島町の土で「PC筑陽」という品種の長ナスを丁寧に栽培したブランド長ナス。特徴は「皮が薄く、種が少ない」ことで、「火を通すとふわとろ食感になり、お子様にも食べやすく人気」だといいます。坂西さん自身、輪切りにした「横島ハピナス」の上にチーズを載せ、オーブンで焼いて食べるのが大好きなのだとか。
横島ハピナス生産組合では今、そんな「横島ハピナス」の販路拡大に向け、地域内外のイベントに出展するなどしてPRに奮闘中。組合に所属している約16軒の農家には30~40代の若手が多く、活気に溢れています。町内の物産館などで購入できるため、現地を訪れる際にはぜひお買い求めください。
「大輪ラーメン」
王道の玉名ラーメンは800円(税込)
国道208号線沿いに佇む大輪ラーメン
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「玉名ラーメン」をご存じでしょうか。熊本ラーメンのルーツともいわれるご当地ラーメンで、市内に10数軒の専門店があります。その中でも名店として知られるのが玉名市岱明町(たいめいまち)の老舗「大輪ラーメン」です。
同店大将の坂本 季之(としゆき)さんによれば、玉名ラーメンの特徴は何より「野菜や鶏ガラ、背脂などを使わず、豚骨だけでダシを取る」こと。豚の頭骨、背骨、ゲンコツから自然に出る脂で作られたスープはコクと旨みたっぷりで濃厚ながらしつこくなく、まろやかな味わいに仕上がっています。また、ラーメンをお客様の元に提供する際、卓上で手づくりの「煎りニンニク」のチップを振りかけるのも玉名流。食べる直前にニンニクが加わることで芳醇な香が一気に立ち、ラーメンの旨みが引き立てられます。
今年で43年目となる大輪ラーメンでは、創業者の坂本 章(あきら)さんから息子の季之さんへ玉名ラーメンの伝統がしっかりと引き継がれており、先代の頃からの常連客も多いそうです。「家業を継ぐことを決意した31歳の時から父が病気で急逝してしまうまでの9年間、父と一緒に厨房に立って学んだことがうちのラーメンのすべて」と話す季之さん。7年前に店舗を移転した際には、厨房の環境や機材の変化でそれまでの仕上がりを取り戻すのに苦労されましたが、「あらためて父から教わったことや調理の基本を学び直したおかげで、今後どう環境が変わっても同じ味わいを完璧に再現できるという自信が得られた」といいます。
苦難を乗り越えて玉名ラーメンの王道をひた走る大輪ラーメン。これからも季之さんには末永くその味を守り続けてほしいと思います。

