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特集 SPECIAL FEATURE

顧問先より一歩先のデジタル化を意識

会計事務所業務の
デジタル化の実現方法を考える

令和4年度(2022年度)の税理士法改正で会計事務所のデジタル化対応が義務づけられました。デジタル化と 一口で言っても書類のペーパーレス化をはじめ、セキュリティ、テレワーク環境の整備など、やるべきことは多岐にわたります。 本特集では会計事務所業務のデジタル化に向けた第一歩について、MJS清水 直美理事部長が解説します。

清水 直美

MJS マーケティング・
営業推進部
副統括部門長
理事部長

清水 直美

会計事務所白書から見える
顧問先のIT支援ニーズ

 昨今、税理士会の各所フォーラムや会計事務所向けのセミナー・勉強会など、あらゆる場面で会計事務所業務のデジタル化の重要性が指摘されています。そのきっかけとなったのが令和4年度税理士法改正です。この改正により税理士業務の電子化を推し進める努力義務規定が定められました。2024年5月以降からはe‐Taxで申告書を提出している法人に対して納付書の送付を取り止めるなど、各所でペーパーレス化が推進されており、デジタル化の波がすぐそこまで来ています。

 まずは直近の状況を整理してみましょう。会計事務所白書2024「自計化に関する意識調査」(図1)にて、「会計事務所でどのようなデジタル化に取り組んだか」について尋ねたところ、「ペーパーレス」が38%と最も多く、「データ連携」(34%)、「セキュリティ」(30%)への対応が続きました。電子帳簿保存法(電帳法)の改正やインボイス制度などによる環境の変化で、まずは「ペーパーレス」「データ連携」に取り組み、会計事務所業務のデジタル化を進めようとしていることがうかがえます。

 また、「顧問先からITに関するサポートを求められることはありますか」という質問に対しては「求められる」と回答した方が全体の47%と、約半数の方が顧問先にITに関する知識を求められていることが分かりました。

 このうち、「どのような対応を求められるか」については85%が「システムの操作方法」と回答。「システムの移行や導入」に関しても62%に及びました。他にも「ネットワークのトラブル」(31%)、「データのバックアップやリカバリー」(22%)、「セキュリティ対策」(11%)、「リモート環境の構築」(7%)などとあり、それぞれ半数には満たないものの、会計事務所には広範囲に及ぶ対応が求められていることが見えてきました。

会計事務所のデジタル化に向けたポイントと対処を検討

 調査結果を踏まえた会計事務所のデジタル化のポイントは以下の3点です(図2)。
①紙情報の電子化(ペーパーレス)
②顧問先のデジタル化支援
③情報共有・所内業務の効率化

 このうち、③はテレワーク環境を整備する上でも欠かせませんが、①の「ペーパーレス」、②を通じた「データ連携」と「セキュリティ」の対応を進めていくこともテレワーク環境の整備に寄与します。 では、ここから上記のポイント3点を踏まえながら「顧問先対応のデジタル化」「事務所内業務のデジタル化」について解説します。

 「顧問先対応のデジタル化」では、電帳法への対応、クラウドの活用、コミュニケーションツールの活用を考えていきます。特に電帳法に対応できると、これまで保管するために紙で印刷する必要があった仕訳帳、総勘定元帳、売掛金・買掛金元帳などを、データで保管でき、ペーパーレス化につながります。そのためにはJIIMA認証※1を受けたソフトウェアを使うと安心です。MJSでは「ACELINK NX‐Pro」や、顧問先が利用する財務会計ソフトが認証されています。

※1 公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)により、電子帳簿保存法の法的要件を満たしたソフトであることを認証するもの

 次に、クラウドの活用についてですが、紙のレシート、領収書、通帳などをカメラで撮影、もしくはスキャナーなどで電子化し、それらの電子データを保管できる環境を整備することが肝要です。「かんたんクラウドファイルBOX」は、顧問先が直接レシートや領収書などの証憑をアップロードできるため、会計事務所はこれらの証憑回収のために顧問先に出向く必要がなくなります(図3)。それにより、AI‐OCR入力が活用できます。会計・所得税確定申告に加え、本年度から年末調整にも対応しました。さらに紙や画像データを回収しない方法としてスマートフォンを利用した「Edge Tracker経費精算・年末調整申告」などを導入する会計事務所も急速に増えています。最近は顧問先自身が紙から電子にしてほしいと会計事務所に要請するケースも増えています。

 最後にコミュニケーションツールの活用についてですが、会計事務所と顧問先の双方でスケジュールの進捗状況を共有できるツールを導入すると、特に相続案件の管理で役立ちます。相続人側ではどんな手続きをいつまでに済ませ、会計事務所側はいつまでに対応すればよいかが一目瞭然になるのです(図4)。

「事務所内業務のデジタル化」に事務所管理システムを活用

 「事務所内業務のデジタル化」に向けては業務の進捗管理、顧客情報の管理、テレワークへの対応が重要事項になります。

 まず、業務の進捗管理ですが、これは決算書、法人税申告書、経営分析書類の作成といった「期限がある業務(タスク)」が該当します。そのためには職員全員のToDo(期限が定まっていない業務)を可視化し、職員全員で情報共有するところから始めましょう。これには「ACELINK NX‐Pro業務進捗管理」(オフィス・マネージャー)の活用がおすすめです(図5)。各人が抱えているToDoはカレンダーを介して情報共有でき、感覚的に入力操作が可能です。年間スケジュールを登録していれば、決算など、必要なタスクを自動作成するので、対応漏れを防止できるのも利点です。また、期日のアラート機能も付与できますので、ぜひ活用いただければと思います。

 次に顧客情報の管理ですが、ここで最も重要なのは顧問先の対応状況を蓄積し、共有していくことです。「ACELINK NX‐Pro事務所管理」では、「対応履歴」「財務・税務情報」「税務調査」の記録などが該当します。情報を蓄積していくことで、「税務調査」であれば、顧問先の税務調査記録の一覧をワンクリックで確認でき、これから調査が入る顧問先について調べる際にも、過去の指摘事項をすぐに確認できます。「対応履歴」についても同様で、顧問先の社長や窓口担当者との過去のやり取り、人となりなどを逐一記録していくことで、引き継ぎやトラブルの回避などに役立ちます。そして、データを蓄積し、一元管理することで「データ分析と活用」へと幅を広げることができます。データ分析の一例を挙げると、顧問料の改定に向けて、対象の顧問先と近い条件の顧問先を抽出して、適正な顧問料を割り出すといったことが考えられるでしょう。

 そして、テレワーク環境の整備では、「領収書・帳票の電子化」、パソコン(PC)・ネットワーク・クラウドなどの「ICT環境の整備」に加えて、「セキュリティ対策」も講じなくてはなりません。これらに対応するため、自社サーバーをお持ちの会計事務所であれば、安全なリモートアクセス環境の構築に向け、VPN※2の導入を検討されることもあるかもしれません。ですが、MJSではお客様向けにクラウドを活用してオフィスのPCにアクセスできる「MJS DX Cloud」をご提供していますので、VPNの構築は不要になります。サーバーやネットワーク機器の搬入、設置なども必要なく、申し込みから1週間ほどでご利用いただけます。また、社内にサーバーを置かず、定期的なハードウェアのメンテナンスもクラウド管理者が行うので、運用管理コストを大幅に削減できます。Microsoft Azureをプラットフォームに採用しているので、十分なセキュリティ対策が取れ、BCP(事業継続計画)対策としても最適です。

※2 仮想プライベートネットワーク(Virtual Private Network)の略で、通常のインターネット回線を使って   安全でプライベートな通信環境を構築する技術・サービス

 加えて、会計事務所は改正個人情報保護法に基づきPCの操作履歴を収集しておく必要があります。これは他にもテレワークの実施には毎日必ず業務日報や進捗報告を上長に提出するといった「勤務状況の報告」、テレワークで使用している端末に顧問先のデータを絶対に残さないようにする「守秘義務の遵守」といった課題がありますが、これらへの対応策としてログ監視システム(図6)の導入をおすすめしています。

生成AIの活用方法とこれからの会計事務所DX

 生成AIの活用については、先ほどお伝えした顧問先の対応状況のデータ化を進めることで、いずれはAIによる顧問先向け資料の作成に役立てることができるかもしれません。なお、MJSでは生成AIを活用した分析ツールとして、「ACELINK NX‐Pro」と連携利用できる「Hirameki 7」の「経営分析プラス」を提供しています。こちらは「Hirameki 7」上に顧問先企業の会計データをアップロードするだけで、プロンプトの入力なしに生成AIによるグラフや統計資料に基づくコメントの入った「月次レポート」と「年次レポート」を作成できます。なお、年次レポートはコメントの要約を読み上げる動画も同時作成してくれます。PowerPoint形式でダウンロード可能なため、税理士としての専門的な視点で確認・編集した上で顧問先への経営報告や経営指導に活用することができます。

「Hirameki 7」ご紹介ページ

 この他、繰り返し行う作業についてはロボットによる自動応対が可能な会計事務所向けRPA(Robotic Process Automation)も利用できます。

 今後はこういったAIやRPAが介在するソリューションが多く展開していくことでしょう。MJSではこれからも新しい制度、新しい技術への対応に力を入れていく所存です。まずは気軽にMJSにご相談いただければと思います。

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