CHANNEL WEB

事務所 訪問

2022年10月号

中央税務会計事務所 写真

多様なニーズに応える「よろず相談所」として
顧問先支援に全力投球

総勢約90名、税務署OBや金融機関OBなど多様なバックグラウンドを擁する人材力を強みに、 地域の中小企業の経営を「よろず相談所」として長年にわたって支えてきた中央税務会計事務所。 2017年から所長として事務所を率いる中島由雅先生に、これまでの歩みと展望を伺いました。

父に憧れて税理士に新規分野開拓にも挑戦

中央税務会計事務所は1979年、中島由雅先生の父上である中島智先生が自宅の四畳半の部屋を事務所として開業し、そこから一代で数十人規模の事務所にまで成長させていったそうですね。中島先生は子どもの頃から父上の背中を眺めてこられたわけですが、当時からご自身も「税理士になろう」という思いはあったのでしょうか。

中島由雅所長(以下、敬称略) まさに「父への憧れ」が私の原点と言えると思います。山梨県出身の父は大学進学で上京、卒業後は働きながら資格の勉強に励み、何の地盤もない中で独立して裸一貫から税理士業をスタートさせました。経済的余裕があったわけでもなかったので生活はきわめて質素、経営を上向かせるために毎日遅くまで働いていましたが、愚痴をほとんど言わない人でした。リーマンショックで事務所経営が大変になった時も堂々としたもので、弱音ひとつ吐かずに働いていました。私はそうした父の奮闘と、父が地元の中小企業の経営者の方たちと交流し、感謝の言葉をかけてもらっている姿などを見て、子ども心に憧れを抱き、「父のように働きたい、父と同じ仕事がしたい」と漠然と思うようになったのです。

資格取得後、中央税務会計事務所に入所する前には横浜の会計事務所でも働いたそうですね。どんな学びがありましたか。

中島 所長にまず「税理士バッジは捨てろ」と言われ衝撃を受けました。経営者にとって税務は重要だが、それはほんの一部、税理士は税務会計だけでなくもっと幅広い経営サポートを行うべきだ、というわけです。また、税理士という肩書や資格ではなく、人としてしっかりと顧問先と向き合え、税理士という資格がなくなったとしても顧問先から必要とされるような存在になれ、という意味合いも込められていたのだと思います。  また、父から繰り返し「けっして上から目線で顧問先の税務にあたるのではなく、『よろず相談所』として顧問先の愚痴を聞いてあげられる存在になれ」と言われた影響も大きいですね。こうした先輩税理士の教えのおかげで、私はこれまで謙虚な姿勢で税理士の業務に取り組んでこられたように思います。税理士はバッジ、つまり資格によって守られているわけですが、そのことに胡坐をかくことなく、常にサービス業に徹したいと心掛けてきました。

中島先生が中央税務会計事務所に入所した2007年から所長となる17年までの約10年間、父上との関係性や事業承継はどうでしたか。

202210_visit_01

数多くのスタッフの方が機能的に働けるよう
レイアウトされたオフィスです

中島 最初の頃はしょっちゅう喧嘩を繰り返し、近所から「熱血中島家」と呼ばれてしまうほどでした。私は他の事務所での実務経験を踏まえ、自分なりの考えややりたいことがあったのですが、父は宛名書きやかばん持ちしかさせてくれず、意見を言う機会も与えてくれなかったため、猛反発して事あるごとにぶつかり合っていたのです。今、振り返ってみれば、父は10年ほどかけて私を育て、事業承継しようと考えてくれていて、最初の1、2年はとにかく周りに合わせることを私に課す方針だったのだと思います。実際、3、4年目頃からは徐々に任せてくれる仕事が増え、新しいことにも自由にチャレンジさせてもらえるようになっていきました。  例えば、医療分野における顧問先開拓がまさにそうです。私は中学、高校時代の同級生に歯科医などの医療従事者、開業医がたくさんいたので、その人脈を活かそうと考えたのです。当時、当事務所が抱える医療分野の顧問先は2社ほどだったのですが、医療機器メーカーともタッグを組んで数多くのドクターに営業をかけました。その際、社会保険診療報酬支払基金のOBに入所してもらい、厚生局の指導・監査に対する助言や審査支払機関の減点査定に対する助言が行えることを強みとして掲げたことが奏功し、徐々に新たな顧問先を獲得できるようになっていきました。現在では、医療分野は当事務所の顧問先の大きな柱となっています。

層の厚い人材を擁する「よろず相談所」

父上の代から掲げられているコンセプト「よろず相談所」について、その意図するところをもう少し詳しく教えてください。

中島 自分たちの専門領域でなくても、中小企業の経営者と雑談したり、愚痴を聞く中で彼らも自覚できていなかった課題を見える化し、一緒に経営に対する考えや方針を整理したり、他の士業の先生を紹介したり、と手助けをすることが「よろず相談所」としてのあり方だと思っています。コロナ禍を機にリモートツールが普及した今、時代に逆行していると言われるかもしれませんが、基本は「訪問」です。顧問先企業の経営者としっかり会い、フェイス・トゥ・フェイスでコミュニケーションを取ることが何より大事だと思います。  私は父から引き継いだこの「よろず相談所」としての税理士のあり方をさらに推し進めようと、より具体的な経営サポートに対応できる体制づくりに取り組んできました。税務署OBはもちろんのこと、融資や事業再生のサポートやアドバイスを行える金融機関OB、補助金などのサポートが得意な中小企業診断士などを事務所に迎え、人材の層を厚くすることで、より幅広く「よろず相談所」を実践できるようになったと自負しています。事実、私が入所した約15年前には当事務所のスタッフは50人ほどでしたが、現在は約90名います。当然、人数が多いため数多くの事例が集積されており、それぞれが経験したこと、感じたことを随時共有することでその後の経営サポートに活かせるのが、当事務所の大きな強みとなっています。

新人教育にも注力し顧問先支援に全力を尽くす

202210_visit_02

父上から引き継いだ事務所をさらに磨き上げられている
中島由雅先生

90名もの大所帯となると、それが強みである一方で事務所のコンセプトをどう全体に共有し、いかに一人ひとりの人材を育てていくか、といったことが課題になると思います。その部分はいかがでしょうか。

中島 まずアポイント取りの仕方や訪問後のフォローなど顧問先サポートの基本的なところについては「当たり前基準」というルールブックをつくって、スタッフ全員で共有するようにしています。また週1回、さまざまなテーマの事例やノウハウを共有したり、専門知識を学んだりする委員会活動を実施しており、例えばその一つである「教育委員会」では、若手や中途人材への教育の仕方をテーマに話し合い、顧問先とのやり取りのロールプレイングを定期的に行ったりしています。  もちろん、新人教育にも力を入れています。当事務所では基本的に未経験者を採用しているのですが、最初の1年間は研修期間という位置づけで人材育成に取り組んでいるのです。「法人税入門」や「申告書類の作り方」といったビデオ教材や先輩スタッフによるOJT、さまざまな外部研修などを通して、新人が着実にスキルアップしていけるような仕組みを整えています。

最後に今後の展望をお聞かせください。

中島 これからもスタッフの層の厚さを強みに、「よろず相談所」として幅広いテーマに応えていきたいと思っています。中でも昨今、今年1月に施行された改正電子帳簿保存法、来年から適用予定のインボイス制度など、中小企業にとって大きな環境変化につながる要因が多く、その周知徹底と対策のサポートには全力を尽くしています。こうした制度の変化やAIの導入、電子化の進展などによって、これまで以上に企業規模の大小を問わず明瞭な帳簿を作成することが大事になっていくので、我々としては事務所全体であらためてMJSの基幹ソフトへの習熟度や活用マニュアルを見直すなど、万全の体制を整えていきたいと思います。

本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします。

税理士までのあゆみ

父上への憧れから税理士を目指した中島 由雅先生は27歳の時に税理士資格を取得、いくつかの会計事務所に勤務し実務経験を積んだ後、2007年に中央税務会計事務所に入所されました。当初は父子でぶつかることも多く、喧嘩が絶えなかったそうですが、徐々に仕事を任され、5~6年目頃には父上からの信頼を得て採用人事も全面的に行うまでになっていたといいます。 ところが、あと数年で事業承継という時に父上が倒れ、72歳の若さで帰らぬ人に。急遽、所長となった中島先生はそれでも大勢のスタッフを鼓舞して業務に励み、事務所のさらなる躍進に尽力されました。結果、現在に至るまで毎月必ず新規顧問先を獲得し続けているとのことです。

中央税務会計事務所

所在地
埼玉県さいたま市中央区大戸6-30-1
TEL
048-855-4466
設立
1979年
職員数
約90名
URL
https://chuotax.com

▲ ページトップ