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公認会計士・税理士<br>赤石雅英事務所 写真

事務所訪問

地域密着型の監査と税務会計で
「塩竃(しおがま)」の未来を拓く

生鮮マグロの水揚げ基地として全国的な知名度を誇る宮城県塩竈市。 この地に事務所を構える赤石 雅英所長は、税務会計業務の他、 長年にわたって東北地方の金融機関や生活協同組合の監査業務にも携わってきたそうです。 その精力的なお仕事ぶりとこれまでの歩みについて伺いました。

前職や地元での縁が事務所の経営基盤に

大学卒業後は専門学校で講師を務められていたそうですね。

赤石 雅英所長(以下、敬称略) 高校生の時に実家の鉄工所が倒産し、経済的にあまり余裕がなかったので、専門学校で講師を務めながら試験勉強に励んでいました。公認会計士試験には幸いにして2度目のチャレンジで合格することができましたが、実はその後も講師の仕事を続け、そのかたわらで監査法人の実務経験も積みました。そして、専門学校の先生の紹介で、センチュリー監査法人(現・EY新日本有限責任監査法人)に入所することになったのです。

監査法人に所属し、いよいよ本格的に実務に携わることになったのですね。

赤石 大手企業の監査などを担当し、2年後にようやく公認会計士3次試験に合格することができました。ただ、しばらくすると監査業務に明け暮れる日々に少しずつ違和感を覚えるようになっていきました。田舎育ちということもあり、休日になると「釣りに出かけたい」と思ったりするわけですが、東京だとそう簡単にはいきません。また、当時からゴルフに興じていたのですが、東京だと早朝に出かけなければ満足にゴルフを楽しむこともできません。そうこうしているうちに郷愁が募り、思い切って1995年に地元の宮城県塩竈市に戻ることにしたのです。

とはいえ、地方には監査業務のニーズがそれほどないように思います。
その点に関して、不安はありませんでしたか。

税務会計業務、監査業務に尽力されている
赤石 雅英先生

赤石 当時の上司に相談したら、当面は監査法人に非常勤職員として籍を置いたまま、それまで担当していた東京の会社の監査業務をいくつかさせてくれる(旅費も支給してくれる)ことになったので、生活費に関しては安心感がありました。また、1996年の金融三法改正を機に、信用金庫や労働金庫に監査を受ける義務が生じたのも追い風になりました。監査法人職員として東北労働金庫のブロック統合業務を担当したのを皮切りに、地元の塩竈市や石巻市の金融機関の監査も担当することになるなど、徐々に地元企業や地元の公認会計士との関係が広がっていったのです。また、その流れで消費生活協同組合の監査も舞い込むようになり、みやぎ生協やいわて生協の会計監査も担当することになりました。なお、生協に関しては法定監査を受ける義務はないものの、日本生活協同組合連合会が各生協に監査証明書の取得を推奨したことから、任意監査という形式で実施しています。

税務会計業務についてはどうでしたか。

赤石 地元ということもあって、親戚や知人の紹介で徐々に医療機関や調剤薬局などの顧問先が増えていきました。また、外貨建取引に関する会計処理など、地元では対応がやや難しい依頼も舞い込むようになりました。他方、塩竈の高齢化は都市部以上に深刻なので、「所長が急逝してしまった会計事務所を引き受けてほしい」といった相談も。MJSからは「後継者がいなくて困っている会計事務所がある」と紹介され、その顧問先を引き受けたこともあります。自ら積極的に営業活動に勤しんだことはないのですが、こうした縁のおかげで比較的順調に事務所を経営してこられたように思います。

人口減少時代の中で漁業の再興に期待

地元に戻られて30年近くが経過しましたが、その間に塩竈にはどのような変化がありましたか。

愛犬のアビーちゃんも時に行き来する
オフィスです

赤石 塩竈はその名の通り、古代より製塩の地として知られてきました。また、近代に入ってからは天然の良港を活かした漁業で大いに栄えてきました。しかし、1977年頃に200海里問題(他国の岸から約370㎞の範囲内で、許可なく漁をすることが国際的に禁止されるようになったこと)が生じ、世界中の海で漁をしていた魚の水揚げ高が激減し、魚市場の活気がなくなりました。さらに水産加工業者さんたちは工場の機械を取り壊さざるを得ない状況となり、企業の倒産も増加しました。今も生鮮マグロ(本マグロ、メバチ、ビンナガ、キハダなど)の水揚げ基地として全国的に知られており、特に生鮮メバチマグロについては国内トップクラスの水揚げ量を誇っていますが、残念ながら往時のにぎわいはありません。
 ただ、塩竈には依然として「仙台に近い」という地理的優位性があります。この点を最大限に活用することができれば、国内旅行者はもちろん、インバウンドを呼び込むこともできるはずです。漁業関係者はもちろん、地域全体で旅行者を誘致する活動を強化すれば、まだまだ可能性はあるように思います。例えば塩竈といえば「寿司屋が多い」ことで知られていますが、反面、その他の店では手の込んだ魚料理をあまり食べる機会がないように感じます。漁師飯など塩竈ならではの食文化で旅行者をおもてなしすることができれば、観光地としてのレベルを向上させることができるのではないでしょうか。

そういったレベルアップを推進していくにはどういったことが必要でしょうか。

赤石 過去の成功体験に固執することなく、客観的な視点で地元を見つめ、改善すべきところを改善することが大事だと思います。そのためにも、若者にはできるだけ一度は地元から出て、他地域で活動してみてほしいですね。私自身、東京で働いた経験や監査業務でさまざまな地域に出かけることで、客観的な視点を日々、アップデートし続けることができています。人口減少時代である今こそ、そうやって得た視点や知見を地元に還元すべきだと思うのです。また、旅行者の誘致は塩竈市単独ではなく近隣の「二市三町(多賀城市、塩釜市、七ヶ浜町、松島町、利府町)」が一体となって展開すべきと思います。通りすがりの町ではなく二泊三日で楽しめる地域づくりを目指すべきと考えます。

夫婦二人三脚で次代を担う職員を育成

これまでにさまざまな公職も務められてきたそうですね。

赤石 現在は日本公認会計士協会東北会の副会長や地元地公体の入札監視委員会などの公職を務めていますが、2020年までは宮城地方最低賃金審議会の公益委員も務めました。

大変お忙しいかと思いますが、職員の皆さんの教育やマネジメントはどうなさっているのでしょうか。

赤石 職員教育については、OJT(オンザジョブトレーニング)が中心ですね。また当事務所の場合、妻がもともと会計事務所での勤務経験があり、実務をほぼマスターしていたことから、早い段階で妻が職員の指導を担ってくれていました。現在も職員のマネジメントは妻が中心となっており、私は安心して事務所を離れての監査業務や公的な職務に力を注ぐことができています。

最近は人手不足に悩む事務所が多いようですが、そのあたりについてはいかがですか。

赤石 当事務所の場合は地元の専門学校から随時、簿記2級程度の能力を持っている生徒を採用しています。皆さんとても優秀で、大いに助かっています。

ところで、こちらの事務所の建物は自宅兼事務所なのですか。

赤石 そうです。建物自体は2000年に竣工しました。事務所の裏の高台もうちの敷地なので、いつかは階段なりエレベーターなりを整備して、ドッグランをつくってみたいと考えています。愛犬のアビーもきっと喜ぶと思います。

素敵な夢ですね。その他、事務所の将来像について思い描いていることはありますか。

赤石 当事務所には後継者がいないので、現在、税理士を目指している職員が資格を取得してくれたら後を託したいと思っています。そうやって肩の荷を下ろせたら、週に1日くらいの頻度でゴルフに興じたいですね。

本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします。

History & Story税理士・会計士までのあゆみ

 赤石先生の父上は塩竈市で鉄工所を経営していて、先生は 3 人姉弟の末っ子でした。「実家の鉄工所は兄が継ぐことになっていたので、私は母親から『資格を取りなさい』と言われていました」と振り返ります。そんな赤石先生のもとに転機が訪れたのは中学2年生の時のこと。赤石先生の姉上の見合い相手として紹介された人が公認会計士だったことで、初めてそういった職業があることを知り、関心を持つようになったのです。こうして先生は明治大学に進学。1981年に大学を卒業してからは専門学校に通い始め、1983年に公認会計士2次試験を突破しました。そして、専門学校でしばらく講師として働いた後にセンチュリー監査法人で実務経験を積み、3次試験に合格。晴れて公認会計士となりました

公認会計士・税理士
赤石雅英事務所

公認会計士・税理士<br>赤石雅英事務所
所在地/
宮城県塩竈市小松崎3-5
TEL/
022-364-1775
設立/
1996年
職員数/
5名

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塩竈が誇る神社とスイーツ店を巡る!!

鹽竈(しおがま)神社

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古代より東北鎮護・陸奥国一之宮として多くの人たちの崇敬を集めてきた神社で、今も地域住民からは「しおがまさま」と呼ばれています。その歴史は古く、平安時代初期に編纂された『弘仁式』に「鹽竈神を祭る料壱萬束」と記され、厚い祭祀料を授かっていたとされています。武家社会となってからは伊達氏の崇敬が厚く、現在の社殿も仙台藩4代の綱村公から5代の吉村公にわたり、9年の歳月をかけ、宝永元年(1704年)に竣工されたものだそうです。
 こうした背景もあって、境内の本殿・拝殿・四足門(唐門)・廻廊・随神門以下14棟と石鳥居1基は、国の重要文化財の指定を受けています。なお、社殿の左宮には武甕槌神(たけみかづちのかみ)、右宮には経津主神(ふつぬしのかみ)といった武神が祀られており、社殿の右手にある別宮には主祭神である鹽土老翁神(しおつちおぢのかみ)が祀られています。この鹽土老翁神は塩づくりを伝えた神として知られ、境内ではご利益に満ちた「御神塩」も販売されています。
 ちなみに、鹽竈神社は桜の名所としても有名で、国の天然記念物に指定されている鹽竈桜をはじめ、ソメイヨシノやシダレザクラなど約300本の桜が咲き誇ります。その美しさは東北地方でも指折りですので、花見の時期にぜひご来訪ください。





塩竈スイーツ
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塩竈には昔ながらのおいしいスイーツがそこかしこにあります。1つ目のお勧めは「太田屋もち店」です。ボリューム満点のおはぎや大福はいずれも一つずつ丁寧に作られていることが分かる優しい味わいで、私も思わず2個、3個と食べてしまうほどです。またお正月の板餅(切り餅)で作る雑煮や海苔餅(磯辺焼き)は絶品で、「今まで食べてきたお餅は何だったの?」と唸らずにはいられません。
 2つ目のお勧めは洋菓子・カステラの「土井精菓」です。数ある商品の中で私は特にコーヒーロールが大好物。香り豊かなコーヒークリームとコーヒー入りの生地の相性が抜群です。しかも、どことなく懐かしい味わいがするので、老若男女を問わず、多くの人たちの心を掴むと思います。
 3つ目のお勧めは創業100年の歴史を誇る「菓匠榮太楼」です。私のイチオシは何といっても「なまどら焼」。北海道産の厳選あずき、フレッシュな生クリームをミックスしたクリーミーな中あん、そして蜂蜜をたっぷり含んだ特製の皮のハーモニーがたまりません。コーヒーにも煎茶にも合う不思議な菓子です。バリエーションも豊富なので、好みの味を探す楽しみもあります。
 このように、塩竈には魚以外にもおいしいものがたくさんあります。来訪された折には、ぜひスイーツ巡りも楽しんでみてください。

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