
信頼に基づく職員・顧問先との
フラットな関係が事務所経営の軸
福岡県北九州市小倉で開業10年を迎えた則松佳孝税理士事務所。職員たちが気兼ねなく 意見や要望を言える「フラットな関係」のおかげで開業以降、離職率はゼロ。信頼関係をベースとした リモートワークもうまく機能しているといいます。顧問先からも個々の状況に合わせた丁寧な 「伴走支援」が評判の則松 佳孝先生に、独自の事務所経営や今後の展望について伺いました。
セキュリティ万全のリモートワーク体制
現在、職員の方たちがリモートで働かれているそうですが、その体制をどうやって整えてきたのでしょうか。
開業当初から職員と「フラットな関係」を構築してきた
ことで、「リモートワークへ移行後も良好な関係を維持
できている」と則松 佳孝先生
則松 佳孝所長(以下、敬称略) 開業以前から、自分の事務所を設立したら自宅や出先でも事務所のサーバーと接続できるようにしたいと考えていました。そして、折しも開業の2015年にマイナンバー制度がスタートし、MJSも「ACELINK NX‐Pro」のIaaS※1対応やリモート機能の拡張に取り組んでいたので、営業の方と相談を重ね、情報漏えい対策に「SOXBOX NX(現・PCパトロール)」「FortiGate※2」、ウイルス対策ソフト、そして「MJSマイナンバー」などを導入し、開業初期からリモートワークが可能な環境を構築しました。大きな初期投資となりましたが、税理士としてそこはアピールポイントになると思いましたし、以前はシステムエンジニアとして働いていましたので、セキュリティに関しては特にこだわりました。
その後、開業5年目にコロナ禍で世間にリモートワークが一気に浸透し、当事務所でも全職員のリモートワーク体制を整えました。私自身が実践してきたリモートワークの仕組みを職員用に当てはめればよかったので、とてもスムーズに移行できましたね。
最近では「AI‐OCR 入力」も積極的に使っていますし、クラウド版の「PCパトロール for Cloud※3」も発売後、早々に導入しました。
※1 サーバーやストレージ、ネットワークなどのITインフラをインターネット経由で借りられるクラウドサービス
※2 米国Fortinet社が開発・販売する「次世代ファイアウォール(NGFW)」および「UTM(統合脅威管理)」製品のこと
※3 PCの稼働状況や操作履歴の記録、USB等のデバイス制御、Webアクセス制限により情報漏えいを防ぐクラウド型情報セキュリティ・労務管理ツール。SOXBOXシリーズの後継製品
「離職率ゼロ」を支える自由度の高いマネジメント
リモートワークを基本とする中で、職員の方たちとどのようにコミュニケーションを取り、信頼関係を築いているのかをお聞かせください。
則松 当事務所ではリモートワークへの移行以前から、職員との「フラットな関係」を基本としてきました。お互いに気兼ねなく意見や要望を言い合える関係性が整っていたので、リモートワークに移行した後もチャットツールを介して円滑なコミュニケーションを継続しており、信頼をベースに良好な関係を維持しています。勤怠管理システムは導入していますが、勤務状況を細かく管理することよりも、職員一人ひとりを信頼し、自主性を尊重することを大切にしています。それぞれが責任を持って仕事を進めてくれているので、タスクをきちんと完遂してくれれば必要以上に管理する必要はないと考えています。特に出社日を設けているわけではありませんが、職員が自主的に事務所へ来ることもあります。そうした際には、対面で相談や情報交換をしたり、一緒に昼食をとったりしています。リモートワークでも業務は十分に進められますが、信頼関係は日々の何気ないコミュニケーションの積み重ねで育まれるものだと思っています。だからこそ、職員と対面で話せる機会は大切にしています。
自由度の高いマネジメントを実践されているのですね。その根底にはどんな思いがあるのでしょうか。
則松 実は、私が過去にシステムエンジニアとして勤めていた会社は労働環境が過酷で、非常に辛い思いをしました。その反動で自分の事務所を設立するときは「職員に絶対に嫌な思いをさせない」と固く決意し、従業員からの要望にも可能な限り柔軟に応えています。子どもの行事や親の介護など、家族に関する用事があるなら最優先にするように伝えていますし、もちろん有給休暇も自由に取ってもらっています。
こうした方針のおかげか、当事務所では開業以来、離職はまだ一度もなく、パート職員が「ここでずっと働きたい」と正社員になってくれたケースもあります。また、一度産休に入った職員も無事に復職してくれていますね。
新システムを積極導入し先進的な経営支援を実践

執務室は白を基調とし、応接室は紺を基調とした先鋭的な
つくりです
現在、顧問先はどういった業種が多いでしょうか。
則松 開業前に勤めていた事務所で社会福祉法人やNPO法人などの非営利法人の会計・税務を担当していたこともあって、独立時にそれらの顧問先4〜5社を引き継がせていただきました。その後はご紹介を中心に顧問先が増え、現在では幼稚園・保育園や特別養護老人ホーム、障害福祉サービス事業所などの福祉関係の顧問先が全体の2〜3割となっています。その他にも建設業やサービス業など幅広い業種のお客様をサポートしていますが、その多くは年商5億円以下の地域に根差した中小・小規模事業者です。一社社一との距離が近く、経営者と直接対話しながら課題や将来について考えていけることが、当事務所の特徴だと考えています。
職員との関係性にも通じるのですが、顧問先とも堅苦しさのない、何でも気軽に相談し合える関係づくりを心がけています。常に顧問先の本音に耳を傾け、経営の実態を把握するよう努めており、そのことがさまざまな局面で役立っています。
新しいシステムも積極的に活用されているそうですね。
則松 新しいものはまず試しに使ってみることにしています。最近では「Hirameki 7」※4を導入してみました。追加オプションの「経営分析プラス」を活用し「ACELINK NX‐Pro」の中にある顧問先の会計データを取り込むことで、自動でビジュアル化された経営分析レポートを作成できる点は非常に便利です。特にシステムが連動しているおかげで、情報漏えいなどのリスクはかなり抑えられており、安心してお客様のデータをアップロードできるので高く評価しています。職員から「顧問先への説明がしやすくなった」という声が上がっていますし、顧問先からも「数字だけではなくグラフがついた資料が分かりやすい」と好評です。会計データを〝見える化〟できるので、今後の経営について話し合うきっかけにもなっています。今後も機能のさらなる進化を期待しています。
※4 MJSグループのトライベック社が展開するDX支援ツール。生成AIを活用したWebサイト作成や名刺管理機能の他、顧問先企業の会計データを元にビジュアルレポート、経営分析報告書などを自動生成する「経営分析プラス」などがある
最後に事務所の今後の展望をお聞かせください。
則松 生成AIやデジタル化によって社会は大きく変わっていきます。しかし、その変化についていけず、不安を抱える人や企業も少なくありません。また、税法や社会制度も年々複雑になっています。だからこそ、これからの税理士には、記帳や申告書を作るだけではなく、顧問先に寄り添い、将来の方向性を一緒に考えていく役割が、これまで以上に求められると考えています。私はこれからも、顧問先と一緒に考え、一緒に歩んでいける税理士でありたいです。
本日はありがとうございました。今後ますますのご発展をお祈り申し上げます。
History & Story税理士までのあゆみ
北九州市小倉出身。大学卒業後、大手電機メーカーでシステムエンジニアとして勤務した則松先生はその後、税理士を志して地元の会計事務所へ転職し、社会福祉法人やNPO法人など非営利法人の会計・税務を中心に経験を積まれました。約8年の勤務を経て税理士資格を取得し、2015年に則松佳孝税理士事務所を開業。2022年には中小企業診断士の資格も取得し、地域の中小・小規模事業者や福祉関係の顧問先を中心に税務・経営の両面から伴走支援を行っています。
則松佳孝税理士事務所
- 所在地/
- 福岡県北九州市小倉南区徳力一丁目14番地6号 佐野ビル3F
- TEL/
- 093-967-6508
- 設立/
- 2015年9月
- 職員数/
- 4名
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小倉の自慢の事業所と散策スポット
お土産に「桑の実工房」
北九州市小倉北区京町にあるショップ「一丁目の元気」外観
則松先生も愛用している靴べら
温もり溢れる木製のおもちゃも人気商品
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則松先生が顧問を務める社会福祉法人桑の実会は、障害福祉サービス事業所「桑の実工房」を運営しています。今年で創立30年を迎えたこの事業所は現在、主に知的障害や発達障害のある方々約40名が利用し、一人ひとりのより良い暮らしの実現を目指して生活支援と生産活動に取り組んでいます。生産活動では、染色・木工・アートクラフト・小倉織によるオリジナル商品を製作するとともに、企業や行政からの記念品やノベルティの受注も数多く手掛けています。
2016年にはG7北九州エネルギー大臣会合の記念品として「藍染ハンカチ」が採用された他、北九州市社会福祉協議会創立60周年記念ノベルティとして「木製ターナー」1000本を製作、今年も福岡県苅田町の新生児木製品贈呈事業に木製玩具が採択されたそうです。
利用者と職員が協力しながら丁寧なものづくりを積み重ねており、デザイン性と品質の高さには定評があります。商品は北九州市小倉北区京町にあるショップ「一丁目の元気」で販売しています。北九州の旅のお土産やギフトにもピッタリなのでぜひチェックしてみてください。
春の散歩道「志井川の桜並木」
大きく枝を張った桜が川面に覆いかぶさるように咲く姿が美しいと評判
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小倉南区を流れる「志井川の桜並木」は、紫川の支流である志井川の両岸を鮮やかに彩るお花見スポット。例年3月下旬から4月上旬にかけて、志井から徳力地区へと続く川沿いに見事な桜が咲き誇り「桜のトンネル」を作り出します。水面に映り込むピンク色の花びらや足元に広がる黄色の菜の花とのコントラストが美しく、歩を進めるごとに多彩な情景を楽しむことができます。則松先生もこの川沿いをのんびりと散策するのがお気に入りとのこと。桜の時期に小倉を訪れることがあれば、ぜひ立ち寄ってみてください。

