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事務所 訪問

2020年11月号

桶屋泰三税理士事務所 写真

地場企業への手厚い経営支援を徹底
その思いとノウハウを次世代へ

富山市を中心として、幅広い業種・業態の企業・団体の経営支援に尽力している桶屋泰三税理士事務所の所長、桶屋 泰三先生。大企業の監査役やさまざまな対外的な役職も務めるかたわら、将来を見据えて次世代を担う人材の育成にも力を入れています。その歩みとこれからの展望について伺いました。

顧問先の経営状況に寄り添ったサポート

まず桶屋先生が独立・開業された経緯からお聞かせくださいますか。

桶屋 泰三所長(以下、敬称略) 夜間大学で税務を学びながら会計事務所で働いていたのですが、夜間大学を卒業する年にその事務所の所長が亡くなってしまいました。そして、後を継いだ先生の方針で、税理士資格を取得した次の年の1月から私を含め当時そこに所属していた税理士3人がそれぞれ独立することになったのです。

資格取得後すぐの開業だったのですね。当初の滑り出しはいかがでしたか。

桶屋 まだ資格を取得して間もない若輩でしたからツテなどがたくさんあるはずもなく、顧問先を新規開拓するのが大変でした。縁あって地元の銀行の職員の方たちの税務に関する社内研修の講師を務めさせてもらったり、その縁で銀行の支店の取引先企業を紹介してもらったりしながら、徐々に顧問先を増やしていくことができました。

どんな事務所を目指しましたか。当時掲げたコンセプトなどがあれば教えてください。

桶屋 とにかく「顧問先の経営状況を上向かせるお手伝いがしたい」という一心だったので、顧問先を訪問する際には労使関係や事業承継にまつわる悩み、事業規模の拡大や設備投資にあたっての借り入れなど、経営上のあらゆる悩み事・困り事をヒアリングするよう心掛けました。

 また、試算表や総勘定元帳などを通じて正確な経営数字をこまめに、迅速に顧問先に提供し、それを経営の判断材料として活用してもらうことにも力を入れてきました。現在もこの方針を貫いているのはもちろんのこと、職員がそれぞれ担当している全ての顧問先の関係書類は私自身が必ず目を通し、チェックするようにしています。

現在、どのような顧問先をご支援されていますか。

桶屋 家族経営の店から大企業まで規模はさまざまで、小売業・卸業や建設業、製造業、社会福祉法人や公益法人など業種・業界や形態もかなり幅広いので、それぞれのニーズに沿った経営支援を行っています。

複数の上場企業の監査役も務めていらっしゃいますね。

桶屋 海外に生産や販売の拠点を持っている大企業の監査役もしているので、海外出張の機会が多々あります。アメリカの他、ベトナムやタイ、シンガポールなどを回ることが多いですね。余談になりますが、これらアジア圏の新興国の企業を訪問していていつも感じるのは、女性が元気でしっかりしているということです。現地の企業で経営状況を尋ねると、対応してくれるのは決まって女性従業員です。細かな経営数字も含めて非常に明確な回答を得ることができるので、たびたび驚かされています。

写真1

応接室にもアクリル板を設けるなど、感染対策には余念がありません

写真2

母校である富山商業高校の同窓会長も務める桶屋先生。卒業生の朝乃山英樹関が2019年の大相撲夏場所で初優勝を果たした際には、同窓会から化粧回しを贈ったそうです。写真は、その贈呈式の様子が掲載された地元紙

コロナ禍を生き延びる中小企業のあり方

コロナ禍によるダメージとその対策としてあらゆる業界で進んでいる働き方改革など、中小企業をめぐる環境がめまぐるしく変化する中、顧問先の現況はいかがですか。また、税理士としてどういったことを重点的にアドバイスしていますか。

桶屋 今、中小企業には事業計画を立てた上で思い切った効率化やコストカットを実践できるかどうかが問われています。また、リーマンショックの時と同様、平時から地道に利益を上げてしっかりと税金を納め、内部留保を厚くしてきた企業はやはり強いですね。持続可能な経営のために非常時に備えるため健全経営に徹することがいかに大事か、これまで税理士として口をすっぱくして伝え続けてきましたが、この苦境を潤沢な自己資金で乗り切っている顧問先の姿をみると嬉しくなりますね。

次世代を担う人材に伝えたいこと

将来を見据えて、新たな体制づくりにも積極的に取り組んでいると伺いました。

桶屋 北陸地方に大手監査法人の支店などが進出する動きも目立ってきているので、長年、地場に根付いてやってきた事務所ならではの手厚い経営支援をより強化・拡充していかねばならないと考えています。現状では私自身が全ての顧問先の書類をチェックするようにしていますが、当事務所には税理士が2人いるので、彼らにチェック業務を徐々に移行してより層が厚く対応できる体制にして、3~5年以内には税理士法人化も果たしたいですね。

職員の方たちの教育については、どのような取り組みを実践していますか。

顧問先支援に尽力しながら、今後を見据えた 組織の体制強化も図っている桶屋 泰三先生

顧問先支援に尽力しながら、今後を見据えた組織の体制
強化も図っている桶屋 泰三先生

桶屋 MJSや税理士会のセミナー、研修会に積極的に参加するよう呼び掛けている他、所内でも折に触れて研修や勉強会などを行っています。

 また、先述した通り、私が全ての顧問先の書類に目を通しているので、問題があれば即座に職員にそれを共有することができます。単純なケアレスミスから会計上の疑問点や不明瞭な点、売上と仕入れのバランスなど、注意すべきポイントや見方をその場で詳しく伝えています。もちろん、先方に確認すべき事項がある場合は、職員のすぐ隣で電話を掛けるようにしています。私と顧問先とのやりとりを聞くことで、職員には質問の仕方や話し方のニュアンスなど多くのことを学んでもらっています。そして、私が職員たちに常日頃から伝えているのは、「自分がその企業の経営者だというつもりで顧問先の経営数字と向き合いなさい」ということです。当事者意識で事に臨むだけで、数字の見え方が大きく変わってくるからです。

 ここ10年ほどで職員の平均年齢が高まってきたので、事務所の将来を考えて20代の若者の採用にも力を入れています。次世代を担う人材に育ってもらうために、こうした考え方や作法を日々しっかり伝えるよう心掛けています。

今後の若手職員の方たちの成長が楽しみですね。ところで、桶屋先生は今年7月から、北陸ミロク会計人会の会長を務めていらっしゃいます。最後に北陸会の会長としての今後の意気込みや方針をお聞かせいただけますでしょうか。

桶屋 北陸各県をしっかり回って多くの会員たちの意見や要望を聞き、それを会計人会の活動に生かしつつ、会員の新規開拓も図っていきたいと考えています。

 また、今後ますますDX(デジタルトランスフォーメーション)が進むことで、会計事務所の業務もこれまで以上にICT(情報通信技術)を活用した効率化が求められ、より高付加価値なサービスを打ち出さねば生き残れなくなっていくと思います。その中にあって、MJSのシステムは実に心強い味方です。例えば当事務所では、ホームページの「お客様サポート」にログインすれば、顧問先のパソコンを遠隔操作して課題解決のお手伝いができるというサービスを行っています。が、現状ではこうした数多くのシステムを把握し、使いこなしている事務所はそう多くはないと思います。そこで、会計人会が音頭をとって有用なシステムを先進的に活用している事務所の協力を得て勉強会を開くなど、会員の意識啓発や先進事例共有の場を積極的に設けていきたいと思います。

本日はありがとうございました。ますますのご発展をお祈りいたします。

税理士までのあゆみ

 桶屋先生はご両親が事業を営んでおられたので、小さい頃から「大人になったら家業を手伝おう」と思い、高校も商業高校に進んだそうです。しかし、当のご両親から「不況下でも生き残れるような会社に就職したほうがいい」と言われ、方針転換をすることに。簿記が大好きで得意だったことから、その能力を生かせる仕事として税理士を選んだといいます。 高校卒業後は、地元の会計事務所に勤めながら富山大学の夜間授業で税務を学び、3年後には税理士試験に合格。勤め先の先生の方針により独立、1980年1月に現在の事務所を開業されたそうです。

桶屋泰三税理士事務所

所在地
富山県富山市舟橋北町7-15
TEL
076-441-2322
FAX
076-441-1999
設立
1980年
職員数
26名

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